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鎧を脱いで  作者: C・ハオリム
第13章 ずれ
178/342

166 見せつけと楽しみ

折角の夏も、感染症のために楽しめないような状況ですが、こんなお話で退屈を少しでも潰せて頂けたならば本望です。

 ナトロの接待を受けた後、彗星は、人数の増えた正義と秩序の実行隊を率いてもう何度目か数えることも面倒くさくなった世直しと言う名の穢れの民の殲滅行動に旅立った。彼のそんな思いとは裏腹に、英雄と選ばれし男たちを一目でも見ようと毎度のことながらコデルの郷の都の大通りは街を守る城門までの間、ぎっしりと暇人が並んでいた。

 「漸く、私たちの行動が実を結びつつありますね」

 立ち並ぶ人々が全て真人であることを確認したハイリは満足げに彗星に話しかけた。

 「そのようだな・・・」

 嬉しそうなハイリに反して彗星の表情は冴えなかった。

 【ゲームの駒扱いされて嬉しいヤツっているのか。ま、後ろの連中はそんなこと関係ないようだが】

 彗星は集まった人々の歓声に応えることもなく後を続く鎧の連中をちらりと振り返って小さなため息をついた。

 「英雄様、もっと笑顔で民にお応えください。彼らを正義に導き、そのお礼に集まった民なのですから」

 ハイリの言葉に彗星は頷くと、とってつけた様な笑顔で観衆に手を振り、歓声は一段と大きくなった。


 「汚えー村だな」

 コデルの郷から馬で一昼夜の距離にある沼沢地に隣接した村に足を踏み入れた彗星はそう言うと顔をしかめた。村の中には沼沢地と言う特性なのか、何かが腐ったような臭いがうっすらと立ち込めていた。

 「しかし、見てください。出迎えてくれている村人は皆、真人ですよ。彼らは正しい道を歩いているのですよ」

 村と外部を仕切る木で作られた柵の出入り口から中央の広場まで村人が総出で怯えたように立ち並んでいた。それを見てハイリは満足したような表情を浮かべた。

 「英雄様が態々こんな場所まで足を運んでくださっているのだ、お前らの態度は不敬に値する」

 1の文字が穿たれた鎧を着た男が村長らしき老人に馬の上から叱責した。

 「お、お前たち、歓迎のあいさつをせんか」

 村長らしき老人は立ち並ぶ村人たちに慌てたように声をかけると、あちこちから「歓迎します」や「英雄様、万歳」の声が途切れ途切れに上がった。1の文字が穿たれた鎧の男はそんな有様にため息をついてこれ以上の追及はしないことにした。そんな時、どこからか赤ん坊の泣く声が聞こえてきた。その声を聞いて村長の表情が強張った。

 「全員で出迎えているのではないのか、嘘をついたな。探して連れてこい」

 1の文字が穿たれた鎧を着た男が周りの鎧の男たちに声をかけると、彼らは「はっ」と一言発して、村の家々に入って行った。

 「英雄様、原因はコレです」

 暫くすると、7の文字が穿たれた鎧を着た男が、真人の赤ん坊を抱きかかえた兎族の若い女の髪を引きずりながら一軒の家から出てきた。

 「誘拐したのか」

 1の文字が穿たれた鎧を着た男はその女に鋭く尋ねると、その女は首を振った。

 「この子は、私がお腹を痛めて産んだ子です」

 彗星の前に引きずられてきた女は彗星の前に立ってこの子供は実の子であると主張した。 

 「立ったまま英雄様に声をかけるとは不敬っ」

 7の文字が穿たれた鎧を着た男はその女はをいきなり殴り倒した。

 「何と穢らわしいことを・・・、無辜な真人をだまして、このような、この世にあってはいけないモノを産み落とすとは、正義の道を踏み外すことに真人を巻き込む悪逆な・・・」

 母親の言葉を聞いてハイリは眉間にしわを寄せ、吐き気を押さえるようにしながら言葉を吐き出した。

 「英雄様、悪がなされています。いかがいたしましょうか」

 子供を抱えたまま倒れこんた女を汚物を見るような目で見ていたハイリが分かりきった事を彗星に尋ねてきた。

 「悪は正さねばなるまい」

 決まりきった言葉であった。悪がなされている、そう聞いたなら、彗星が口にする台詞はこれ以外なかった。もし、ここで庇ったりしたら、自分の存在価値はなくなってしまうと彼は信じていた。

 「了解しました。ここに、英雄の名のもと、正義を実行し、秩序を回復します」

 心配そうに親子を見守る村人にハイリは声高く宣言した。

 「悪、即、滅」

 7の文字が穿たれた鎧を着た男が兎族の女から泣きわめく赤ん坊をもぎ取ると、高々と掲げ、そこから勢いをつけて地面に叩きつけた。その時、鈍い音がして泣き声はしなくなった。もう動かなくなった、赤ん坊だったものの頭をを7の文字が穿たれた鎧を着た男は更に踏み抜いた。

 「ーっ」

 母親は、当初何が起こったのか理解できなかったようであったが、一拍後、大声を上げてひしゃげた我が子を抱きしめようと身体を傾けた時、7の文字が穿たれた鎧を着た男が素早く動いた。

 「ぶっ」

 7の文字が穿たれた鎧を着た男は、前かがみになった母親の顎を思いっきり蹴り上げた。母親は仰向けに倒れた、彼は母親の毛におおわれた喉を思いっきり踏み抜くと側頭部を蹴りぬいた。母親は首を歪な角度に曲げたまま動かなくなった。

 「正義は為され、悪は退けられた」

 1の文字が穿たれた鎧を着た男が声高に宣言した。その声に合わせるように鎧の男たちは歓声を上げた。

 「うぉーっ」

 彼らが歓声を上げている時、妙な雄たけび声を上げながら若い真人の男が鬼のような形相で1の文字が穿たれた鎧を着た男に襲い掛かろうとした、しかし、それは為されることはなかった。

 「ぐっ」

 3の文字が穿たれた鎧を着た男が彼を掴むとそのままその場に投げ倒し、素早く関節を決めて動けなくしてしまった。

 「俺の子供を、俺の女房を」

 取り押さえられた男は大声で喚きたてていた。それを耳にしたハイリは馬から降りるとその男の前に屈みこんで視線を合わせた。

 「貴方は、アレに誑かされた被害者です。私たちは貴方が正義の道に戻れるようにしたのです。今はまだ、アレの影響があるかもしれませんが、その内、我々に感謝を捧げることになるようになりますよ。貴方は正義の道に戻れるのですから」

 ハイリは優しく喚く男に囁くと彼を取り押さえている3の文字が穿たれた鎧を着た男に鋭い視線を投げかけた。

 「彼が二度と悪に走らぬように教育をしてあげなさい」

 「畏まりました」

 3の文字が穿たれた鎧を着た男は組み敷いた男を無理やり立たせると村はずれの方向に引きずるように連れて行った。その後を3人ほどの鎧の男たちがついて行った。

 「この村で、おぞましい悪がなされていた。この責任は貴様にある。どう責任を取るのだ」

 男が連れて行かれるのを確認した1の文字が穿たれた鎧を着た男は顔の色を無くしている村長に詰め寄った。

 「見過ごしたのか、見逃したのか」

 1の文字が穿たれた鎧を着た男は村長に静かに、しかし、威圧的に抱拗ねた。

 「み、見過ごしておりました」

 村長は慌てて答えた。この答えを聞いた1の文字が穿たれた鎧を着た男は素早くナイフを取り出すと村長の顔面の前で一閃した。

 「ううう」

 村長は顔面を押さえその場に蹲った。その指間からは鮮血が零れ落ちていた。

 「こんな悪を見過ごすような目は、意味はないだろ」

 1の文字が穿たれた鎧を着た男は村長の両眼をナイフで切り裂くと蹲る村長に静かに声をかけた。

 「ほかに隠していることはないだろうな」

 村人はただ黙って首を横に振るだけであった。

 「隠していても、すぐに分かるからな」

 1の文字が穿たれた鎧を着た男は蹲る村長をそのままに村の中心に向けて足を進めて行った。

 「教育が始まったようですね」

 遠くから響いてくる男の悲鳴を聞いてハイリがにっこりしながら彗星に話しかけてきた。

 「そうだな・・・」

 ハイリの表情とは逆に彗星の顔には何の表情も浮かんでいなかった。最初のころは自分で手を下し、それなりに楽しむこともできたが、最近は見るだけで、それすらも飽きて来ていたのであった。

 【できれば、街の一つぐらいぶっ潰すのも面白いかもな】

 恐怖に佇む村人たちを眺めながら彗星はふともっと血が流れることを考えていた。


 「私に、あの正義と秩序の実行隊に入れと申されるのですね」

 エイディ・ルインはサボトの郷の郷主である父親であるジェシク・ルインを睨みつけていた。

 サボトの郷は王都に隣接している巨大な郷であり、ターレの地においての経済力、軍事力、発言力は大きく、どこの郷も無視できない郷の一つであった。その郷主の長なのであるエイディに半ば勘当のような処分を郷主は下したのである。

 「父上、私が長男であり、この郷の継承第1位であることをご存じですよね」

 エイディは父親であるジェシクの処置に不服を申し立てた。

 「エイディ、お前にもう継承権はないぞ。この郷はお前の弟のネイルが継承することに決まった。何故か分かるか」

 ジェシクは己の息子に重々しく問いかけた。

 「私の能力にネイルが嫉妬してあらぬことを父上に吹き込んだのかと」

 エイディは端正な顔に疑問の表情を浮かべながら自分の推測を口にした。

 「違うわ。お前は気の向くままに血を流しすぎた。お前がその年になるまで何人の侍女を手にかけた。何人の郷の民を血祭りにあげた。この館の使用人を何人殺めた。答えられるか」

 ジェシクは苦虫をかみつぶしたような表情で目の前に控えている息子に言葉を投げつけた。

 「そんなつまらないことが理由ですか。あの者たちにはいくらでも代わりが居りますので、少々乱雑に扱ったところで、郷の運営になんら影響はないかと」

 ジェシクはしげしげと息子の顔を見て、深いため息をついた。

 「気分次第で暴れる者なんぞ、誰が信用できるか、貴様は約束を反故にすることでも名が売れているようだな。もうよい、この事は決定事項であり、覆ることはない。この週のうちに正義と秩序の実行隊に入隊するのだ。それができない場合は、犠牲は出ようが、お前を始末する」

 エイディは父親の言葉がコケ脅しではないことを本能的に悟った。この郷で一番の剣の腕を誇るエイディであるが、郷の全員を敵に回すと勝ち目は見えてこなかった。

 「厄介払いですね。いいでしょう。これが最初で最後の親孝行ですよ。アンタの首、いつまでも胴体とつながっていると思わないことだね」

 エイディは郷主である父親に指さして宣言すると、あいさつをすることもなく退出していった。

 「なんで、あんなものに育ってしまったのだ・・・」

 郷主であるジェシクは悲し気に深いため息をついた。


 「この村の悪は正されました。残念な事ですが、私たちに襲い掛かった罪びとは悔い改めることなく、亡くなりました。彼の魂が正義の光に照らされることを祈ります。ここに居る皆さんは正義を行っているものだと信じています。しかし、隠れて悪を為すものがいます。そんな者どもについて耳にしたり、目にしたら我々に教えてください。悪の道を進んだものの財産の3割は情報料として支払われます。皆さんが悪の道に進まないことをお祈りしています」

 結局、妻子を殺された男は教育と言う名の元の拷問に耐え切れず、絶命したようであった。そんなことも些細な事とばかりに恐怖に震える村人にハイリは言い放つと彗星に村から出ようと小声で話しかけてきた。

 「貴様らの悪は必ず露見する。隠しても無駄だと魂に刻んでおけ」

 彗星は村人たちに大音声で怒鳴りつけると、馬を返してさっさと村から出て行った。その後をハイリ、正義と秩序の実行隊の面々が続いて行った。

 【難癖をつけて、始末する。その上、チクったら相手の財産の3割が転がり込む、しかも後の7割は俺たちのモノとなる。いい商売だわ】

 彗星は馬上で揺られながら皮肉な笑みを浮かべた。


 「遅いっ」

 エイディは自分の荷造りをしている侍女をいきなり殴り飛ばした。彼女が決してモタモタしていたわけではなく、予定より早く彼が自室に戻ってきただけのことであった。こんな理不尽な暴力はエイディの周りでは普通のことであった。命を取られなかったことに神に感謝を捧げるレベルであった。

 「申し訳ありません」

 侍女は鼻血を流しながら、土下座してエイディに謝罪した。

 「貴様、絨毯を汚したな」

 彼女の謝罪なんぞ聞いていないエイディは土下座する侍女を蹴り飛ばした。彼女は妙なうめき声を上げて動かなくなった。

 「使えない奴ばかりだ。おい、さっさと続きをしろ」

 動かない侍女に声を投げつけるとエイディはつまらなそうに部屋から出て行った。

 「くそっ」

 郷主である父親から次期郷主の座はないと宣言されたエイディはむしゃくしゃしていた。先ほど、侍女を殴って蹴り飛ばしたことにより少しは気が晴れたが、それでも怒りは収まらなかった。

 「最後に大暴れするか……」

 ふつふつとたぎる怒りを端正なマスクの下に隠して、彼は館の地下に通じる階段を降りて行った。

 「エイディ様、今日も活きのイイが入ってますよ」

 館の地下は牢獄となっており、国家転覆を狙ったテロリスト、強盗殺人の常習者、他の郷の間者などが暗い地下牢に押し込められていた。もみ手でエイディにニヤニヤと笑いかけるのはこの牢獄の管理者であった。

 「あの強盗と暗殺に来たバカを訓練場に連れてこい」

 地下の一角に新たな武器を試験するための区画と言う名ばかりのテニスコート3面分ぐらいの空間が作られていた。作られた当初はウィンチで巻き上げるような弓を持った弩などを真面目に実験していたが、大きな戦が暫くなかったので最近は専らエイディの遊び場となっていた。訓練場の壁には大型の変換石を使用したランプが並べられ、昼間のオフィスのような明るさであった。

 「これがいいかな」

 エイディは殺傷力をそぎ落とした粗末な剣を手にすると、軽く素振りをしてみた。

 「入れっ」

 さっきの男がヘビー級のプロレスラーのような常習的犯罪者と無駄な筋肉は一切つけていない細身の暗殺者を連れて入ってくると、彼らを戒めていた縄をさっとほどき、そのまま訓練場から出ると扉を閉ざしてしまった。

 「初めましてだね、君らにチャンスを上げようと思ってね」

 エイディは訓練場の片隅のラックにかけてある剣を顎で示した。

 「紹介が遅れたけど、僕はサボトの郷の次期郷主になるはずだった男だ。君らの自己紹介はいらないよ。興味もないから。分かるだろ、ここで僕を始末すれば、君らは自由だ。そこの君なんか丁度良いんじゃないの」

 エイディは、ニコニコしながら自己紹介すると暗殺者の男を向いて目をを細めた。

 「良く分からんが、お前を殺しゃいいわけだな」

 職業的犯罪者はラックから身体に合った大きな斧を手に取った。

 「・・・」

 暗殺者と呼ばれた男は黙ったまま細身の剣を手に取り構えると、いきなり襲い掛かってきた。

 「そう言うのは嫌いじゃないんだよ。なによりっ」

 暗殺者が横一閃した剣をさっと飛び退いてかわしたエイディは嬉しそうな表情になった。

 「だーっ」

 エイディの言葉が終わらないうちに常習的犯罪者が大上段から斧を打ち下ろしてきた。

 「いいねー」

 エイディはパンケーキナイフと化したなまくらでその攻撃を受けると、大男に前蹴りをいれた。思わず後ずさる大男を見てエイディはクスリと笑った。

 「いい感じだねー、僕を殺さないと自由になれないよ。それどころか、近いうちに吊られるからね」

 エイディの言葉にのせられたかのように二人は即興のコンビネーションで襲い掛かってくる。

 「遅いよ」

 エイディの剣が暗殺者の左肘を打ち据えた。本来なら肘から先が分離しているであろうが、刃を殺したなまくらである。彼の肘を砕くだけであった。

 「・・・」

 暗殺者はぶらんと垂れ下がった己の腕を見て舌打ちした。

 「くそっ、うっ」

 右手でエイディに斬りかかろうとしたがふらふらと揺れる左腕に激痛が走る。

 「あらあら、どうしたのかな、痛いのかなー」

 左腕を押さえる暗殺者にエイディは楽しそうに話しかける。その隙に斬りかかる大男、その攻撃をひょいと受けてなまくらを大男の膝に叩きつける。膝の力がいきなり抜けたようにその場に大男は崩れ落ちた。

 「寝るにはまだまだ早いよー、さ、僕はここにいるよー」

 震えながらも立ち上がろうとする大男の痛めた膝をまた蹴りつける。お男は悲鳴を上げて膝を抱えて丸くなってしまった。そんな大男を楽し気に見下ろしているエイディに激痛を堪えて暗殺者が下段から斬りかかってきた。

 「いいガッツだよ」

 エイディはしたたかに暗殺者の右の手首をなまくらで打ち付けた。暗殺者の手首は重力にまかせるまま、間接ではない所から垂れ下がった。苦痛の呻きを上げる暗殺の顔面にエイディはなまくらの柄を叩き込み、綺麗に前歯を折り取った。

 「いい男になったなー」

 口を折れた手で覆う暗殺者を見てエイディは笑い声をあげた。

 「剣があるからダメなのかな、ほら、丸腰だよ」

 エイディはなまくらを投げ捨てると、どこからでも打ち込んで来いばかりに両手を広げた。

 「くっ」

 暗殺者はカポエラを思わせるような見事な蹴りを浴びせかけようとしたが、彼の足はにこやかに微笑むエイディに固められていた。

 「足首はね、こうするとさ」

 暗殺者の足首を両手で固めていたエイディは、少しひねるような動きをすると、暗殺者の足首から鈍い音が響いた。暗殺者は血だらけになった口を開いて悲鳴を上げた。エイディは、そんな暗殺者を乱暴に突き放すと、今度は丸まってしまっている大男に近寄り、己の膝を抱えている左手を取った。

 「鍛えた腕だね。でもさ、力をこうかけるとさ」

 彼は簡単に大男にアームロックをかけると、そのままぐいっと力をかけると、何かが避けるような音が大男の肘から鳴り、大男は悲鳴を上げた。

 「まだ、右腕がのこっているねー」

 エイディは立ち上がると大男の右腕を蹴りぬいた。大男の腕は間接でもない所から妙な方向に曲がっていた。

 「これじゃ、どうすることもできないねー」

 エイディは戦闘不能になった2人を見ると肩をすくめた。

 「終わったぞ」

 扉の向こうに控えている牢獄の管理者に声をかけると、扉がすっと開き、管理者が恐る恐る姿をあらわした。

 「こいつらを縛ってこのままにしておいてよ。水も食べ物もいらないからさ」

 管理者に簡単に命ずるとエイディはその場を後にした。その表情は先ほどより少しばかり明るくなっていた。

新キャラのエイディ・ルイン氏は非の打ちどころのない容姿と切れる頭脳を持ち合わせています。人心掌握も巧みで、モテます。ただ、生まれついての凶暴性がそれらを台無しにすることがありそうですが、父親の権力と本人の巧みな弁舌で大ごとになったことはありません。

正義と秩序の実行隊は正義の名のもとであれば、何でも実行できる力をもっています。また、彼らに逆らうものは悪と認定されるので大っぴら非難することも難しい状況になっています。

今回も、この駄文にお付き合いいただきありがとうございます。また、ブックマーク、評価をして頂いた方に感謝を申し上げます。

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