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鎧を脱いで  作者: C・ハオリム
第12章 つながり
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152 肩すかし

折角のGWがなんとも残念な感じになって、心が折れそうになりますが、

学者先生は「不屈」という言葉の意味を知らぬとみえる。不屈とは折れた事がないという意味ではない! 折れてなお立ちあがる者を言うのだ!!  by 刀耳(超電磁空手家)

と自分に言い聞かせている間にポシっと折れています。

 アーシャが避難小屋の前に設置してあるゴツイ木製テーブルの上で、手際よく、甘瓜を切り分けていた。

 「猫系だと、爪で切るのかと思ってた・・・ました」

 ティマはアーシャがナイフで甘瓜を切っていたのがちょっと気に入らない様であった。ネアはそんなアーシャに自分の掌をティマに見せ、爪を出してみせた。

 「引っ掻くことはできても、切ることはできないですよ」

 「でも、アーシャさんやレイシーさんみたいな大きな猫さんだったら」

 ティマはネアの肉球をつついたり、飛び出た爪をそっと触りながら納得いかない表情を浮かべた。

 「大きな猫って言っても、本当の猫と豹じゃ違うでしょうけど、獣人だとそんなに違わないわよ。ティマちゃんも本当のリスの大きさじゃないでしょ」

 レイシーはティマに己の黒い肉球のついた掌を見せて、鋭い爪を出してみせた。そんなに違わないとレイシーは口にしたが、やはり、少し猫より大きいようにネアには感じられた。

 【この子には悪いけど、同じ猫系なら、イエネコよりヤマネコ、大型猫科の方が良かったかな。ひょっとして、猫系というのは、皆同じ能力なのか・・・】

 「レイシーさん、豹族や米豹族の人と私のような猫族って、種族によって能力に違いがあるのでしょうか」

 ネアはティマに肉球を見せているレイシーに疑問に思ったことを投げかけた。

 「そうねー、本当の動物の大きさによるんだけど、大きな猫科の人は、力があって、ネアちゃんみたいな小さな猫科の人は身が軽いって特徴があるわよ。でも、同じ大型でも私とアーシャちゃんはちょっと違うかな、力で言うとアーシャちゃんの方があるし、身が軽いのは豹族の方だし。猫だからって、私たちみたいな大型猫族に比べて劣っているってことはないわよ」

 ちょっと不安そうなネアにレイシーは偽ることなく、この世界で一般的な種族の特性を語った。ネアは、レイシーの言葉に小さく頷いた。

 【素早さが強みになるのかな・・・、そうすると、この中で一番素早いのはティマかな】

 ネアは、早速、アーシャが切った甘瓜に齧りついているティマをレイシーの言葉に当てはめて眺めた。

 「さっさと来ないと、甘い所なくなるよ」

 自ら、ちょいと大きめ切り分けた甘瓜を片手にアーシャは物思いに耽っているネアに声をかけた。

 「あ、そこの、赤い所、いただきます」 

 ネアはアーシャの言葉に促されるように切り分けられた甘瓜を手にしていた。


 「見てよ、あれ」

 シャルが甘瓜を片手にさっきまで男たちが杭を打っていた場所を指さした。際どい水着でありながら、がっしりと甘瓜をキープしている姿は聊か残念であった。シャルが指さした場所には、目の粗い簾のようなものできっちりと区切られていた。

 「そこまでして、私らを見たくないんだ。そんなに見たくないなら、ケフの郷に別荘なんて作らなければいいのに」

 アーシャは呆れたように、湖岸に作られた即席の壁を見て牙をむいた。

 「言わなかったけど、私のこと、猫のねーちゃんって言うし、シャルに弄ばれるから注意しろって、失礼この上ない連中だよ。ボーデンか何か知らないけど、身体中の関節外してやりたいぐらいだよ」

 「怒らない、怒らない、あれ見て気づかない、あの立派な別荘、雪が積もったらすぐに壊れるよ。食べ物を置いていたら、冬知らずまではいかないけど、遅く寝る熊にごっそりと荒らされるよ。いくら立派に作っても、この夏だけだよ。がれきの後片付けは面倒だけど。焚き付けには困らなくなるよ」

 むすっとするアーシャの背中をなだめるように撫でながらシャルが辛辣な口調で言いながら、別荘を睨みつけていた。

 「立派なことは立派だけど、なんか、こう・・・、趣味が・・・ね」

 ラウニはシャルと一緒に別荘を眺めて苦笑した。その別荘は良く見れば見るほど、この風景に馴染んでおらず、その目的が自分の財を見せびらかすためにだけあるように見えた。

 「あれは、成金趣味だね。お金を使って貴族になったのが作るお屋敷とよく似てるもんね」

 フォニーが辛辣な批評を下すと、皆と同じように眺めていたティマが

 「ゴテゴテしてて、落ち着かないです」

 と、素直な感想を漏らした。

 「こんな小さな子にも分かるような趣味の悪さって、何かを通り越して、逆に清々しく思えるね」

 簡素なテーブルに作り付けになったベンチに腰を降ろしたレイシーが呆れたように呟いた。

 「休憩したから、もうひと泳ぎしようかな」

 ネアは、趣味の悪い別荘をちらりと見ると湖の中に入って行った。その後をティマが駆け足に追いかけると、

 「危ないから、一人で行っちゃダメです」

 ラウニとフォニーも慌ててティマを追いかけて行った。

 「あの壁のこと、村の役場に報告するの?」

 ネアたちの背中を見守りながら、レイシーがシャルにそっと尋ねた。

 「多分、水利に関係することで何かあると思いますから、明日にでも父さんから伝えてもらおうかなって思っています。難しいことは分からないけど、漁をするひとには邪魔でしかありませんから」

 シャルは面白くなさそう言うと、余計な仕事が増えたとこぼした。

 「嫌がらせにさ、あの壁の近くで泳ごうよ。嫌でもあいつらの目に、この素晴らしい身体を見えるようにさ」

 アーシャが悪戯っぽく言うと、シャルはニタリとして頷いて、早速壁の近くに向けて歩き出した。

 「トラブルにならなければいいけど。ね、ビブ、私たちも泳ぎに行こうか」

 レイシーは砂浜で小さな山を作って遊んでいるビブに声をかけると、彼女を優しく抱き上げて、水の中に入って行った。


 「今夜はこの砂浜で宴会でもやるんでしょうね」

 ネアは先行したアーシャの後を何とかネコカキで追いかけると、薄い壁の向こうに、簡易のコンロやら野外に置くには派手すぎるテーブルや椅子を見て、それらが設置されめ様子を呆れたように見つめているアーシャに声をかけた。

 「そうみたいだね」

 アーシャはそう言うと、空を見あげた。

 「シャルちゃん、あの雲って」

 「あちゃー、入道雲だね。しかも、結構気合入っているよ」

 「キツイのが来るよ。あの調子だと、夜の初め頃かな」

 2人は空に仁王立ちする入道雲を見つめてクスリと笑った。

 「ネアちゃん、さ、行こう、そろそろ天気が悪くなってくるから」

 アーシャはそう言うと、そっとネアの背中を押した。

 「アーシャちゃん、先に皆に換える準備をするように伝えて。ちょっと冷たい風が吹いてきたから、このままだと風邪ひくからね」

 シャルはそう言うと、ひたすら今夜の宴の準備をしているボーデン家の使用人たちに同情の色を滲ませた視線を送った。


 ネアたちが着替えて宿に戻ろうとする頃から空はどんどんと鉛色になり、宿に着くころには雨がパラパラと降りだしていた。

 「冷えた身体を温めないと、風邪ひくよ。さ、お風呂に行くよ」

 ネアたちはシャルに先導され浴場に向かった。その光景を複雑な表情で見つめるラスコーの姿があった。そして彼の睨みつけるような視線は主としてネアに向けられていた。

 「やましいことは何もしませんよ。と、言うか、何もできませんよ。この身体だと、もう何もないんですから」

 ネアはそっとラスコーの元に行くと小さく囁いた。その言葉に、ラスコーはフンと鼻先であしらうと、さっさと厨房に入って行った。


 「どうして、雨が降るって分かったんですか。いつもだったら湿気が増えるのは何となく分かるけど、泳いでいてから分からないし・・・」

 ラウニは不思議そうに湯につかって身体を温めているアーシャに尋ねた。

 「全身の毛が湿気てくる感じね。あれは、空に入道雲があったでしょ。あれが出ると思いっきり降るのよ。せっかく可愛い傘を買ったのに、誰も見ていない夜に使うなんて・・・」

 そう言うとアーシャはがっくりと項垂れた。

 「この雨は明日一日続くよ。今日1日泊って、それで明日の夜に馬車で帰ったらどうかな」

 シャルがちょっとへこんでいるアーシャに提案すると、それを聞いていたレイシーが口を開いた。

 「アーシャちゃん、良ければ、今日と明日、整体をお願いできるかな。前にやってもらったら、とても調子が良くて、今日も冷えたり、天気が急に悪くなったけど、古傷が前ほど痛まなかったから。勿論、お代は弾むわよ。格安で泊めてもらってるんだから」

 レイシーはお湯の中で左足をさすりながらアーシャに整体をしてくれるように頼んでいた。

 「ええ、がっつりと歪みを治しますから」

 アーシャはレイシーの言葉に胸を張って応えた。

 「じゃ、ビブちゃんはその間、お姐ちゃんと一緒に遊んでようね」

 シャルはレイシーに抱かれているビブに声をかけると、ビブは元気よく「あーい」と返事した。

 「な、なにこの可愛いお返事、私、ちょっと眩暈が・・・」

 シャルはそのままブクブクとお湯の中に沈んでいった。

 「この世界は大人になると皆、病んでいくのかな」

 どこかで見た風景だと冷めた目でシャルを見ているティマを見ながらネアは小さく肩をすくめた。


 ネアたちが風呂から上がった頃には、外は本格的に降っていた。

 「父さん、湖の別荘の連中、湖の浜に柵作っていたよ。あの別荘の主が私たちみたいな穢れが嫌いなんだって。今夜、浜でなんか宴でもするみたいだったよ。お生憎様ね。あの準備からすると随分と凝ったことをしようとしていたみたいだけど、期待倒れになったんじゃないかな」

 風呂から上がったシャルは濡れた輝く金髪をタオルで乾かしながらラスコーに今日の午後にヨッゴの湖で会ったことを簡単に説明した。

 「そうかー、役場が散々、この村は穢れの民が多いって説明したのにな。なーに、抗議に言っても金を投げつけてくるだけだろうが、少しでも潤うなら抗議に行くべきだな。どうせ、この冬であの別荘は雪で圧し潰されるんだけどな。これも、さんざん説明したらしいんだが・・・。空に金を叩きつけたら雪があの別荘をよけて降ってくれるとでも思ってるのかねー」

 ラスコーはそう言うとやれやれとため息をついた。

 「こんなに降るとは思わなかったぞ」

 「今日はきつく降るって、言ったでしょ」

 ラスコーが役場にどう説明しようかと考えていると、宿にびしょ濡れになったドクターと大荷物を背負ったウェルが駆け込んできた。

 「ほーっ、床限定の濡らす男か。折角の男前が雨で台無しだな。元々何かと台無しだが。風邪ひくからさっさと風呂に入れ」

 そんな2人にラスコーは床を濡らすなと言うと手で浴場を指して、さっさと入れと促した。

 「客をぞんざいに扱うとは・・・」

 「ドクター、破格で宿泊させて頂いてるんですから」

 むすっとするドクターをウェルはなだめようとしていた。

 「この荷物、ちょっと玄関に置かしてください。そのカバンは防水ですから、ちょっと置いておくと乾くと思いますので」

 ウェルはそう言うと、さっさと荷物を置いて浴場に向かおうとした。

 「あなた、ちゃんとお風呂に入ってください。風邪ひいて私たちやウェル君にうつしたら嫌ですよ」

 レイシーがアーシャの施術ブースから声をかけた。

 「わしの心配はしてくれんのか・・・」

 悲し気なため息をつきながらドクターが浴場に入って行った。

 「ウェル君、今日は泊まっていくといいよ。アーシャも泊まるから」

 シャルがロビーから大声でウェルに呼び掛けた。

 「アイツも泊まるのか・・・」

 ラスコーもどこか悲し気なため息をついて厨房に夕食の準備のために入って行った。


 「ちょいとネアさん、こっちを手伝ってもらえないか」

 夕食後、外はバケツをひっくり返したような大雨になっていた。そんな中、ネアたちが食器の後片付けや掃除を手伝っているとラスコーが手招きしながら声をかけてきた。

 「はーい、今すぐに」

 何か嫌な予感を抱きながらネアはラスコーに付いて行った。

 「まあ、座ってくれ」

 ラスコーは自分の書斎にネアを招き入れると、小さな椅子を指した。

 「俺は、ずっとまれ人は過去から来た存在だと思っていたんじゃが、ネアさんの言葉から、その考えは誤っていると判断したんじゃ。そして、まれ人がどこから来るか・・・、悩んでおってな、行き詰っとったら、行商人がこんな書物を持っていたんじゃよ」

 ラスコーは書棚から古ぼけた書物を一冊取り出した。それには、そのものずばり「まれ人考」とタイトルが付けられていた。

 「著者が「求道」のリョウアンという人物らしいが、心当たりはあるかな」

 ネアはラスコーの質問に首を振って答えた。

 「そうだろうな、これを見てくれ」

 ラスコーはネアの前に毛足の長いブラシを一つ差し出した。

 「この著者が言うには、世界と言うのは、このブラシの毛の1本に過ぎない、目には見えないし、行き来はできないが、並行的に世界が存在すると言っている。何かのはずみで・・・」

 ラスコーはブラシの毛の1本を指先ではじいた。それは周りの毛に当たって元の場所に収まった。

 「近くの世界に何らかの影響を与える。つまり、まれ人はこの並行的に存在する世界からやってきたと言っているんだよ」

 「並行的に?過去にもまれ人が来ているようですが、そんなに頻繁に世界を超えるような、何かのはずみってあるんでしょうか」

 ネアはラスコーの言う「何かのはずみ」がなんであるか見当がつかなかった、また、そんなに頻繁にそんなことが発生しているのかと訝しく思った。

 「並行的な世界と言うのは、ネアが前にいた世界と、この世界の差異が大きいから疑問に思っているようじゃが、ネアが今朝食べたビスケットが2枚の世界と3枚の世界も並行的に存在しているようじゃな」

 ラスコーは並行的に存在するとされる世界は実はとても似通っていると説明した。

 「並行する世界はブラシのように規則正しく並んでいるようじゃないらしい。瞬間瞬間に枝分かれして、無数に発生している。同じ場所から枝分かれした世界同士の時間が同じように進んでいるわけでもないようじゃ、だから、巨大なはずみが発生すれば玉突き的にまれ人がやってくることが考えられる。時期も場所もランダムにだ。これは、俺の考えなんだが、ひょっとすると、恒常的にまれ人が来ているが、前の世界とあまり変わっていないから気づかずにいるとも考えられる。それでも、まれ人が何故不思議の力を持っているかまでは分からん、これからの課題じゃな」

 ラスコーは一気にしゃべるとブラシを机の上に置いた。そして、ネアをじっと見つめた。

 「この著者は、自分が魂だけがやってきたまれ人だと書いておる。この著者が言うには、この世界に来る前に巨大な糸の束のようなモノ、巨大な糸の束と言うのもそれが一番近い表現らしいが、そんなモノを見たそうだ。ネアは、何かそんなモノは見なかったか」

 ラスコーは椅子にちょこんと腰かけているネアににじり寄るように身を乗り出した。

 「気づいたら、居たんですよ。それに前の世界の記憶も前にお話ししたように虫食いだらけ、自分のかつての名前すら憶えていないんですよ。そこまで期待されても、そんな劇的なことはありませんでしたよ。こっちに来たことがなによりも劇的でしたが」

 ネアは、ラスコーの問いかけに肩をすくめて答えた。今のネアにラスコーが期待する様な情報は持ち合わせていなかった。

 「でも、まれ人が持つ不思議の力、これがどうやって発揮されるのかが重要かなと思いますよ。原因が分かれば、上手くいけば、その不思議の力を消すこともできるかもしれない。不思議の力が無ければ、まれ人を恐れる必要はありませんから」

 ネアはラスコーの研究がどうも明後日の方向に突進しているように思えてきた。そんなネアの心中を察することなく、ラスコーは並行世界のイメージを詩的に説明しようとしていた。

 「話は変わりますが、お部屋でかけっこ、でどれだけ潤いましたか?」

 ネアはラスコーが並行世界について吟じている最中に、冷めた目つきでラスコーに尋ねかけた。

 「随分といい感じになっているみたいですね。しかも、拡張セット、特製の駒、しかも限定生産品まで、・・・美味しいですね。お手紙に合った私たちのおかげとはこのことですよね」

 「随分と知っているようじゃね。そう、あのゲームでこの村も結構にぎわっておるよ。あの王都から落ちてきた芸術家の先生も駒の作成に随分と熱をいれておるからな。今度は大人バージョンを発売しようかとしておるぐらいじゃよ」

 ネアはラスコーの言葉にふーんと頷いて、ニヤリとした。

 「大人バージョン?」

 「至るところまで微に入り細に入り作り上げた駒じゃな。紳士たちに人気が出るじゃろうな」

 ネアは冬に見たモザイクを入れるレベルの裸婦の雪像を思い出してため息をついた。そして、じっくりとラスコーを見つめて徐に口を開いた。

 「ゲームのアイデアの入手、まれ人についての知識、しかも本人か直接聞ける、これらは随分と美味しいことですよね。いい思いをしておられますね」

 黒い笑みを浮かべるネアにラスコーは引きつったような笑みを返した。

 「だから、お前さんたちの宿代はタダじゃよ。この先、ずっとな。それだけじゃ不満か」

 「人には、感謝を表すやり方がいろいろあるそうですからね。ラスコーさんの良心に期待します」

 「随分と厳しいことを言うようになったな。その可愛らしい顔からは想像もできんわ」

 ラスコーはため息をつくとしばらく考え、やっと口を開いた。

 「明日からのおやつとデザートを楽しみにしておいてくれ。それとな、シャルとの入浴はできるだけ避けてくれ。分かってはおるが、どうも気が気でなくてな」

 一人娘の身を案じてラスコーはネアに頼み込んだ。

 「できる限り努力はしますが、私だけ別行動をすると、姐さんたちは鋭いですから、きっと問い詰めてきます。これは避けたいので、確約はできません」

 ネアの言葉にラスコーは肩をおとして

 「そうか・・・」

 と答えただけであった。

今回はまれ人についてちょっと説明しているようなお話です。ラスコーはブラシを例えに使っていますが、イメージとしては何本もの弦がある弦楽器にも近いイメージです。その弦は隣り合っていても、同じ時間を刻んでいるとは言えず、真横に会っても枝分かれした時点から同じ時間が経過しているとは言い切れない不確実な世界です。

今回も駄文にお付き合いいただきありがとうございます。また、ブックマーク、評価いただいた方に感謝を申し上げます。

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