151 同じこと
何かと、暗いことがありますが、少しでも退屈をこのお話で紛らわせることができれば、幸いです。
【トカゲは爬虫類、イモリは両生類、ミズトカゲは絶対に両生類、トカゲじゃない】
と、ネアは口にしたいのを我慢しながら、昼食のために侍女見習い仲間と宿に戻った。戻る間、フォニーは昼から泳ぎに行くことについて楽しみであることを何度も口にし、はしゃいでいた。何故か、ティマもフォニーにつられて跳ねるように足取りになっていた。何やら言いたそうな一人と、はしゃぐ二人をラウニは微妙な表情で見つめていた。
「泳ぎに行くだけでそんなにハイテンションになれますか。それと、さっきから何か考え込んでいるような子もいるし・・・」
「トカゲは水の中で生活しないから・・・」
ラウニの言葉が呼び水になったのか、ネアはついに心の中に滓のように沈んでいた思いを口にした。
「え?」
ネアの言葉にラウニは奇声をあげそうになった。
「トカゲって・・・」
「ミズトカゲはトカゲじゃない」
ネアは力説するようにラウニを見つめた。ネアが、己の拳を強く握りしめているのに気づいたのはその少し後であった。
「でも、アレはミズトカゲって名前ですよ」
何を言っているんだとばかりにラウニは呆れた声を上げた。
「ラウニ姐さんは、熊族ですよね。それを何となく似ているからって穴熊族って言われるようなものです」
ネアが力説するが、ラウニはもう一つ響いていないようで首を傾げた。
「でも、あれは昔からミズトカゲって呼ばれていますよ。熊族は昔から熊族だし、間違えて穴熊族なんて誰も言いませんよ」
「そうかも知れませんが、何か、こう、納得いかない・・・。フォニー姐さんがカブトムシもセミも皆、虫の一言で片づけるような・・・」
ネアは、自分の思いを何とか伝えようとして、フォニーを例えとして使ったのであるが、これに本人が反応した。
「いくら、うちでもカブトムシとセミの違いぐらい分かるよ。ネアはなんでここまでミズトカゲにこだわるのかな。その方が不思議だよ」
「ミズトカゲって小さくて、可愛かったよ・・・です」
フォニーどころか、ティマですらネアの思いが一切伝わっていないことを確認するとネアは深いため息をついた。
「私の中の問題ですから・・・、ただ、自分が犬もどき族なんて言われているみたいで・・・」
ネアは力なく呟くと軽く頭を振った。
「それより、お昼からの水泳ですよ。新しい水着もありますから、楽しみですよ」
無理やり話題を変えてネアは、はしゃぐことを心に決めた。
昼食前にアーシャが宿にやってきていた。特に整体の依頼はないのであるが、ここでの昼食と温泉が目当てで足しげく出勤しているようである。これのおかげで飛び込みの整体の依頼に応えたり、宿泊客に整体を薦めたりなどして癒しの星明り亭の営業に協力していた。
「うわー、これって、際どい・・・でもこの柄って、私の柄にあわせているのかな、ちょっと見たら裸みたいだけど、いいよねー」
アーシャはご隠居様から贈られた水着を手にしてはしゃいでいた。それもやはり布を随分と節約したビキニタイプであった。
ネアたちは宿が用意してくれた浮き輪だとか、軽食、飲み物を荷車に積み込み、その荷車をアーシャが引いてヨッゴの湖に向かって進みだした。
「レイシーさんとビブちゃんは荷車に乗ってくださいね。クッションをじゅんびしています。山道はちょっとキツイですから」
荷車を止めてアーシャは明るくレイシーに荷車に乗るように勧めた。
「アーシャちゃん、キツイでしょ」
ビブを抱き、杖をついて歩くレイシーはその体色から、昼下がりのお日様の光を余すところなく吸収し、随分と辛そうな表情になっていた。
「米豹族は、力はありますからね。遠慮せずにどうぞ」
「じゃ、アーシャちゃん、ありがとう」
レイシーは荷車の後ろに足を下ろし腰かけるように乗るのを確認したアーシャは再び荷車を引き出した。その速度はレイシーを乗せる前と全く変わっていなかった。
「あれ、ドクターの姿を見てないですけど、急患でもあったのですか」
ネアは昼食の時にも姿を見せなかったドクターのことが少し気になり、荷車でほっと一息ついているレイシーに尋ねた。
「あの人はね、ウェル君のご実家に新しく処方した薬を卸しに行っているのよ。新しい薬を作る材料も買いたいみたいだし、宿で臨時で診療する準備のための薬を仕入れるみたいね。ウェル君もそれに付き合っているわよ。こう言うことも修行の一つだって、ね」
レイシーは荷車の横を歩くネアにドクターについて説明し、それに付き合わされているウェルことを思って小さくため息をついた。
「そうだよー、お兄ちゃん、ドクター・ジングルの所に修行に行ってから、随分としっかりしてきたんだよ。ちょっと、かっこよくなった気がするよ」
アーシャがちょっと誇らしげに胸を張って荷車を引いた。心なしか荷車の速度が上がったようにネアには感じられた。
「そうよねー、ウェル君、ちょっと見違えたなー。逞しくなったように思うよ。優しい所はそのまんまだけど」
シャルは久しぶりに会った時のウェルの成長した姿に少し驚いたことを思い出しながら口にした。
「男子、三日会わざれば刮目して見よ。ですね」
ネアは最初に出会った頃のちょっと頼りない感じのウェルのことを思い出し、彼が随分と成長していると感じていた。それに、比べて自分は・・・、ボタンの縫い付けが上手くなったことぐらい、かと皮肉な笑みが口元に浮かんだ。
「ネアちゃん、その言葉ってどういう意味」
「私も、初めて耳にしたわ。何か難しそうな言葉ね」
ネアの言葉にアーシャが首を傾げ、レイシーは少し怪訝な表情を浮かべていた。それを悟ったネアは、やらかした、と内心後悔したが、こうなってはもう遅い、何とか言い逃れをしなくては頭を高速回転させた。
「その気になって、鍛錬すれば三日もすれば、見違えるぐらい成長するって意味らしいです。前に、ラスコーさんとお話しした時に教えてもらいました」
ネアは、しれっとラスコーに片棒を担いでもらうことにした。シャルはネアがまれ人の知識をうっかり披露したことを悟り、ネアにむかってニタリと笑った。
「冬とは全く違うよ」
波のない静かな湖面に周りの山々と緑の木々を写し込んだヨッゴの湖は静かにたたずんでいた。ただ、騒音に近いセミの鳴き声がそれらの静かな風景に色を添えているとするか、台無しにしているかは見る者の主観にかかる所が大きかった。
「あれ、あんな建物ありましたか」
ラウニは避難小屋の対岸にちょっとした大きさの別荘のような建物を見て首を傾げた。
「あれね、ヤヅの郷の商人が儲けたみたいで、あそこに雪が解けてからすぐに作ったんだよ。村としては建ててほしくはないんだよね。湖に汚れた水が流れ込むから」
シャルがうんざりしたようにその建物を見た。別荘は誰かが滞在しているようで、大きく設えられた窓が開かれ、その奥に人影がちらりと見えた。
「村の役人に金貨を投げつけて建てたみたいよ」
アーシャは村で囁かれる噂を口にして、肩をすくめた。
「なんか、難しいお話があるんですね。でも、折角の風景が台無しになってます」
ラウニは残念そうに言うと、更衣室となっている避難小屋に自分の水着とタオルを持って入って行った。
【これは、キツイ・・・、変態になったような気がする・・・】
ネアは真っ白のビキニタイプの水着を身に付けて顔をしかめた。昨年のスクール水着もキツかったが、今年はさらにキツイと感じていた。
「これって、せくしーってヤツじゃないかな」
フォニーはネアと同じデザインで黒の水着を身に付けて、可愛く見えるようにいろいろとポーズをとりながらはしゃいだ声を上げていた。
「ちょっと、布がすくないです」
ラウニは黒の地毛に映えた黄色の水着を身に付けて恥ずかしそうにタオルを身に巻いていた。
「みんなとお揃いだ」
ティマは年齢にしては大人びた赤い水着に歓声をあげていた。
「皆よく似合っているねー」
ネアたちにそう声をかけてきたのは切れ込みの激しい水色のビキニタイプの水着を身に付けたシャルだった。
「皆よくお似合いよ。でも、ご隠居様、どうやって私たちのサイズをしったのかな・・・、不思議ね。ね、ビブ」
ビブの着替えを終えたレイシーは、半ば呆れたような笑顔を浮かべた。その時、納得いかないような調子でアーシャが着込んだ水着を皆に見せた。
「これって、来ている意味があるのかな・・・、それより泳ごうか」
そう言いながら、ヒョウ柄ならぬジャガー柄のワンピース型の水着を身に付けたアーシャが微妙な表情でネアたちを促した。
「せくしーってヤツかな・・・?」
「似合っていると思いますが」
フォニーとラウニはそう言うとさっさと避難小屋から出ようとした。
「うわっ」
捕虫網を片手にジャイアントカブトムシの捕獲に仲間を引き連れて湖畔に繰り出してきたバイゴの目の中にいきなり、艶やかなモノが飛び込んできた。彼の目の前には若々しい肢体に際どい水着をまとったシャルの姿があった。余りのことに、この少年たちは言葉を失い、フリーズしてしまった。
「なにかあったの?」
「どうしたのかな?」
その後に続いて出てきたアーシャとレイシーの姿はさらに彼らに追い打ちをかけた。
【あの年齢で、いきなり出くわすと、刺激がキツイよな・・・】
ネアは固まっているバイゴの傍にそっとよって、肩を叩くと
「スケベ」
と、一言耳元でささやいてやった。
「俺は助平じゃないぞ」
バイゴは囁いたネアを睨みつけた。
「あ、お前はセーフだ」
年齢相応の背格好のネアを見たバイゴはほっと落ち着いたような声を出してネアを見つめた。
「セーフと言う割には、目つきがいやらしいですよ」
「あらら、君たち皆、いやらしいね」
ネアはニタリと笑いながら引きつるバイゴを見つめ返した。そして、何かを言い繕おうとした彼にフォニーが追い打ちをかけた。
「俺たち、そんなつもりは、な、冬知らずの姐さんなら分かってくれるよな」
バイゴたちは助けを求めるようにラウニを見たが、ラウニはむすっとして
「私は、冬知らずの姐さんじゃありません。それに、貴方たちのいやらしい目つきは嘘じゃないですよ」
彼らを斬り捨てた。
「一体、何を言い合っているのかしら、あら可愛い坊やたちね、これから虫取りかな」
「バイゴじゃないの、いつの間に大人になるものなのね」
良く分からない窮地に立っているバイゴに真打のレイシーがその肢体を惜しむことなく晒しながら優しく話しかけ、アーシャがそれに支援砲撃を実施していた。
「お、おい、行くぞ」
「お、おう」
少年たちは何かから逃げ出すように走り出して林の中に消えていった。余談であるが、暫く彼らは夜な夜なレイシーたちの姿を思い出して悶々とすることになるが、それは甘酸っぱい少年のころの思い出として彼らの心に焼き付くことになった。
「つ、冷たいです。でも気持ちいい」
湖に足を付けたティマが思わず声を上げた。
「山から湧いてくる水だけだったらとても入れないけど、湖の中から温泉が湧いているから泳げるんだよ」
アーシャはそう言うとじゃぶじゃぶと水の中に入って行き、すーっと気持ちよさそうに泳ぎだした。
「アーシャは泳ぎがうまいよねー、漁師になれるんじゃないかなー」
波打ち際で足を出したり引っ込めたりしているティマに浮き輪を手渡しながらシャルが水棲動物のように泳ぐアーシャを見つめた。
「水の中は体重がそんなにかからないから、歩くのも楽ね」
レイシーはビブを抱いたまま水の中を歩いていた。ビブは時折かかる水しぶきにきゃっきゃっと声を立てて喜んでいた。
「アーシャさんすごいね、うちらは精々イヌかきぐらいだもんね」
「あたしは、リスかき」
フォニーがイヌかきで泳ぐよこをティマが浮き輪をつけて同じような仕草で泳いでいた。
「お魚がいますね。お魚をみると、どうしても」
ラウニは水の中をじっと見つめて、そしてドブンと潜っていった。
「楽しみ方はそれぞれだねー、で、ネアちゃんはどうするのかな」
立ったまま穏やかな波に揺られながら周りのはしゃぎっぷりを眺めていたネアにシャルが声をかけた。
「さっきの、男子、三日会わざれば刮目して見よって、お父さんから聞いたんじゃなくて、ネアちゃんが知っていた言葉でしょ」
「ご存じなんですね」
ニコニコしながら突っ込んでくるシャルにネアは戸惑いながら応えた。
「一応ね、お父さんもお母さんも知っているよ。誰にも言わないけどね。でも、わきが甘いよ」
シャルは悪戯っぽく笑うとネアの脇をつついて、すいーっと泳いで行ってしまった。
「・・・こんないい景色の中でイヌかきじゃ、しまらないけど、仕方ないか」
ネアは、水の中に放り込まれた猫のように耳を伏せて暫く泳いでいた。
「あれ、何かな?」
ティマと一緒にバシャバシャやっていたフォニーが浜辺の一角をじっと見つめて首を傾げた。そこには、数人の使用人と思しき真人の男たちが湖の中に杭をうち、そこにロープを張っていた。
「なにかしら、ねえ、アーシャちゃんは何か分かる」
シャルが偶々近くを通り過ぎようとしたアーシャに声をかけ、男たちの方向を指さした。
「なんだろ。私は何も聞いてないよ。ちょっと見てくる」
アーシャはシャルに声をかけて、水音もさせずに泳いでいった。
「うわっ、なんだ」
男たちに何をしようとしているのか聞こうとしたアーシャが水中から姿を現した時、男たちは驚きの声を上げた。
「何してるんですかー」
「喋ったぞ、こいつ喋るぞ」
アーシャの問いかけに男たちはハンマーやら木の杭を手にして身構えた。
「いきなり、何だよー、失礼じゃないか」
ザバッと水を滴らせて水の中から姿を現したアーシャに男たちは絶句した。異形の頭部、毛の生えた手足以上に、アーシャのボディラインは彼らの中にある、ナニかに確実に働きかけ、男たちは構えを解いた。
「ネコのねえちゃんか・・・・、すまねぇな。てっきり何かの化け物かと思ったよ」
男の一人は安堵のため息をついて、アーシャを見た。
「私は、米豹族だよ。こんなに可愛い化け物なんていないよ。それより、おじさんたち何やってんの」
アーシャは男たちの失礼な言動を気にしていない様に、疑問を投げかけた。
「柵を作ってんのさ。ボーデン様は穢れの民がお嫌いでな、ねえちゃんたち穢れの民が我が子であるルッテ様たちに近づかないようにするためさ。面倒を避けたけれゃ、近づかい事だ。さ、あっちに行け」
男は手でアーシャを追い払う仕草をしてみせた。
「なんだよ。ここは、私たちがずっと住んでいた所なのにさ」
アーシャは、彼女を無視するように作業を続ける男たちを睨みつけていた。
「アーシャどうしたの」
駆け付けたシャルはアーシャは少し寂しげな表情を浮かべてこちらを見つめているのに気づいた。
「別荘のお金持ちに私たちを近づけさせないためだって」
シャルはやり切れないきもちで呟くように言葉を吐き出すアーシャに近寄りそっと肩を抱いた。
「酷い話だよね。アンタたち、ちょっと・・・」
シャルが怒りの言葉を男たちにぶつけようとした時、そっと肩を叩かれその方向を見た。
「レイシーさん・・・」
そこにはレイシーが寂しげな表情を浮かべて頭を振り、それ以上シャルに言うなと、言葉にせず告げていた。
「この人たちに言っても無駄。この人たちは雇われた人、だから、この人たちがどうかできることじゃないのよ」
レイシーはアーシャとシャルにそう言うと、その場を離れさせるように2人の肩を叩いて促した。
「言ったところではじまらない。ケフの郷が他の郷と違うだけ、これが世界の常識だから」
レイシーは諦めたように憤るアーシャとシャルに寂しげに言うと、作業にあたる男たちに背を向けて歩き出した。
「黒いネコでも、うっすらと模様があるんだなー」
「デカい猫族って言ってもスラっとしたのもいりゃ、ずんぐりしたのもいるんだなー。それにしても、あの耳の長いねえちゃん、えらく別嬪じゃねえかよ」
「ありゃ、エルフ族だ、深入りすると弄ばれて、えらい目にあわせられるだけだ」
男たちの中で少し年嵩の男がそう言うと、シャルに関わるなと若い衆に注意を促した。
「気分悪いよ」
アーシャたちのやり取りを耳にしていたフォニーはぷーっとふくれて吐き捨てるように言った。
「レイシーさんの言う通り、仕方のない事です」
ラウニは諦めたように言うと、また魚を追いかけだした。
「だって、おかしいよ。うちらが何か悪い事するわけないでしょ。悪い人は真人にもいるんだし。ネアはそう思わないの」
フォニーは受け入れられないとばかりにいきり立っていた、そしてずっと黙ったままのネアに同意を求めた。
「フォニー姐さんが虫を嫌うのと一緒みたいですよ。毒のある虫もハチミツを作ってくれるミツバチもハエを捕ってくれるクモも皆、虫、の一言で片づけるでしょ。自分たちと違うから、興味がないから、しりたくもないから、・・・で、勝手に嫌ってしまう。本当の姿をしることもしないで」
ネアは思ったことをポツリポツリとフォニーに告げた。
「でも、虫ってさ・・・、表情ないし、形が違うし」
「真人にとって穢れの民は皆そうでしょ。虫と違うのは2本足で言葉が通じるぐらい、それでもアレだけのことを普通に思われるんです。フォニー姐さんなら、あの人たちの気持ち、分かるんじゃないですか」
余りにも虫に対して辛辣な態度をとるフォニーと作業にあたっている男たちの姿がダブって見えたネアの素直な分析であった。
「虫からしたら、うちのやっていることって、あの人たちと同じなんだ・・・。うちも同じ・・・」
フォニーはそう呟くとそのままじっと考え込んでしまった。その内、その両目から涙があふれてきた。
「あんなに小さいのに、ちょっとしか生きられないのに、知りもしないで叩き潰したり、嫌ったりして・・・、ごめんなさい・・・」
フォニーはそこにいない、今まで辛辣な態度をとってきた虫たちに頭を下げて謝罪した。
「優しい子」
いつの間にかフォニーの傍にやってきたレイシーはそう声をかけると、ぎゅっとフォニーを抱きしめた。フォニーの顔は豊かなレイシーの胸にぐっとうずまる形になった。しかも、布を節約した水着を着たその胸に。
【その場所を変われ】
ネアは思わず口にしそうになったことを何とか飲み込んだ。
「おーい、皆、上がってきて、甘瓜もってきたら、これから切るよ」
ネアに羨ましがられながら、ぎゅっと抱きしめられているフォニーがアーシャの言葉に反応して顔を上げた。
「はーい、レイシーさん、ネア、食べに行こうよ。甘瓜っておいしいよね」
今までは打って変わって、甘瓜に全神経を傾注しているフォニーにレイシーはクスリと笑い、ネアは小さなため息をついていた。
この世界での甘瓜とは西瓜に似た夏の定番の食べ物です。我々が良く目にする西瓜と違うところは模様が、縦じまではなく、斑点になっていることぐらいです。糖度は非常に高く、酸味も聞いていて冷やしたものは絶品です。
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