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エルパネラ  作者: 業秋
2/2

卒業

エルパネラ。


こいつによって大切な何かを奪われなかったものはいないと言っても過言ではないほどない世界中に影響を与えたウィルス。


このウィルスが確認された当時、地球に90億人ほど居た人類は今では30億人以下となっていた。


多過ぎた人類を間引いてくれて良かった。と本気で思っているやつも少なくはない俺自身も他人に対しての関心は元々薄い方であったから人類が3分の1以下に減ったという事実に心痛めたりはしないが冒頭でも言ったとおり、このウィルスによって大切なものを奪われてないやつなどいない俺も例外なくその中の1人でありエルパネラによって、母親と祖父、そして何人かの多い方ではなかった友達も失った為、良かったなどと思ったりはしない。


だがしかし、死ねた人間はまだ良かったのかもしれない…致死率ほぼ99.97%というとんでもなく凶悪なウィルスといえど症状が現れてから回復した者も何人か存在する。


エルパネラの初期症状である青い痣のようなものが消えなかったことから青憑き、海外ではps(pool surfaced)とも呼ばれエルパネラで疲弊した人々の憎悪の吹き溜まりとなっていた。


俺の妹もそんな青憑きの1人であり現在14歳の中学2年であるが虐めが原因により不登校になってしまっている。

父親も青憑きの社会的な風当たりの強さは知っており学校に行かなくなったことに対しては特に気にしておらず、むしろ虐められていると知った時に怒りのあまり学校に殴り込みをかけようとしたほどだ。


うちの父親は立場上、社会的な地位に関してはトップレベルであるため周りの人間は何もしてこないが地域や家庭によっては青憑きが家に居るというだけで地域ぐるみでの虐めを行い最悪の場合には殺人につながることもある。


俺は家族が好きだ。

顔も名前も知らない他人のことなんてどうでもいいが家族は何にも変え難い大事なものだと思っている。妹がいじめられていると知った時、父が殴り込みをかけようとするのを止める為に一瞬、冷静になっていなければ俺も何をしでかしていたか分からないほどに激怒していた。


現在、高3の3月。

俺は来月から近くの国立大学に通うことになるが、特に大学生活に不安や期待などは感じていない。

単位を落とさないこと、それさえ出来れば何の問題もないだろう、卒業までの4年間…終わってみればあっという間だったと先輩達は言うが俺はこの4年をあっという間なんて言葉で終わらすつもりはない。

この4年間はその後に俺が成長するための糧であり俺、市孕 統也という生き物の産まれてから今までの18年間の集大成であり、きっと様々な壁が待っているのだろう…

ならば俺はその全てを砕き我を通してみせるッ!!




-side out




「そろそろ行くかな。」

と呟くと着るのは最後になるであろう学ランに少し寂しげな表情を浮かべ袖を通すと統也は学校に行くための準備を始める。


「本当はおにいの卒業式行きたかったんだけどなー、眼鏡かけてマフラーとマスク外さなきゃバレないかな」

ジーバイスと呼ばれる端末を触りながら本当に残念そうな顔を浮かべるのは統也の妹、莉菜。その首元には青憑きと呼ばれ蔑まれる原因となっている痣の様なものがある。


「残念だけど仕方ないさ気付かれずに参加することも出来なくは無いだろうが、もしバレて騒ぎになったら今度こそ父さんが誰かを殴り飛ばしそうだし、それで傷付く莉菜も見たくない。だから悪いんだけどさ家で待っててくれると兄としては助かるかな」


「分かってるよー!ちょっと言ってみただけだから、わたしだって面倒なことはなるべく起こしたくないし!それにしても卒業まで早かったね。初めておにいの制服を見たのがつい先月くらいな気がするのに」

焦りながら誤魔化すように言うが、やはりその目には残念そうな色が見える。


「昨日、婆ちゃんにも同じ事言われた。」


「え?どこかで会ったの?」


「ジーバイス買ったらしくてさ、昨日使い方教えてくれって通話かかってきて話してる時に言われた。後で莉菜にも通話するって言ってたけど…かかってこなかった?」


「あー…そういえば夕方に知らない端末からかかってきて思わず切っちゃったんだけど、あれお婆ちゃんだったんだ悪いことしちゃったなー」

申し訳なさそうな顔をするとジーバイスを触り耳に何かを付ける


「あ、お婆ちゃん?莉菜だよ!昨日はごめんね……」


通話を始めた莉菜を横目に、ちょうど準備の終わった統也は鞄を持ち玄関へと向かう。靴紐を結び いよいよか…と色んな感情が混ざった声で小さく呟きドアに手をかけると


「おにい行ってらっしゃぁぁぁい!!!」

直後にリビングから家の周辺にも聞こえそうなほどの声量で莉菜の叫び声が響く


「………そんなに叫ばなくても聞こえるっての」

呆れながらも少し嬉しそうな表情を浮かべ







「行ってきます。」



読んで頂き、ありがとうございます。

短いですが投稿ペースを保つには、このくらいが書きやすいです。ストック貯めていると性格的に途中で飽きてしまうので

毎週何曜日更新!ボリュームたっぷり!とか出来ないのが残念です。

書くことに慣れれば出来るかもしれませんが


では、また次の話でー

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