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「それじゃ、終わるまで馬車の外で待ってますね!」
「何言ってるのクラミ? 貴女の体を拭くのですよ」
リトスの言葉に自分の手足を見る。ゴブリンの返り血で手足はよごれ―――汚い。
神様の贈り物だからなのか、何故かワンピースは汚れておらず白く美しいままだ。
そんな事よりも、今は体を拭くという重大な案件をどうするか悩む。
(体を拭く? 体を拭くって事は、裸になるんだよな……リトス様の裸。いやいやいや! さすがにマズ……イ。マズイか? 今は女だし)
葛藤する中、クラミは尊敬する男の言葉を思い出す。「男ってのは……女の誘いを断るって野暮な真似しちゃ~いけないぞ。」父親の言葉だ。だから聞かないと行けないよな。と、思いリトスの瞳を見つめ「お願いします。」と頭を下げる。
リトスは、何も無い空間から箱を取り出し、中から綺麗に畳まれた白いタオルを複数枚取り出す。それを見て驚くクラミだが、直ぐ様興味が薄れ、体を拭くというイベントについて考える。
(服はどうする? やっぱ此処は男が脱がすべきか? しかしそれだと、がっついて見えないか? 良し落ち着け、まずは相手の出方を見よう)
何か違う方向に考えるクラミ。見た目可愛い黒髪の女の子だが、中身は健全な思春期真っ只中の少年である。そういう考になってしまうのもしょうが無い。そんなクラミをよそに、リトスはタオルを湯に付け絞り、微笑みかけ、手を差し伸ばす。
「手を出して」
差し出された手に、右手を重ねると優しく拭いてくれる。指の一本一本丁寧に拭き、ゆっくりと手の甲に移動して、腕を何度もなぞる。右手が終われば左手も同様に優しく拭いてくれる。リトスは、先ほど自分が余計な事を言って落ち込んでしまったクラミの為に、少しでも元気が出るように、手を拭いていく。
それに対してクラミは、(手の次は、一体何処を拭くのですか!)などと考えていた。
両腕を拭き終わり、新しいタオルをまた湯に付け今度は、クラミに手渡す。
(まさか!? リトス様! 『これで私を拭きなさい。』って事ですか!!)
「クラミ」
「はい!」
「これで自分の足を拭きなさい。」
「…………はい」
期待していた答えとは裏腹に、自分で腕を拭いていくリトス。その様子を何時迄も眺めている訳もいかず、足を拭く。粗方綺麗になったので、盥でタオルを洗うと湯が赤く染まる。
リトスが近くの紐を引くとベルが鳴り、馬車をノックする音と、執事の声が聞こえてくる。
「お呼びですかお嬢……女伯爵様?」
「湯を下げて頂戴。それと、お嬢様で結構よ」
「畏まりました。お嬢様」
執事は嬉しそうに騎士を呼び、湯を持たせ去る。湯を持ち去る騎士を見て絶望するクラミ。体を拭くというイベントは終わったのか? 確かに拭いたけど……釈然としない思いに駆られるクラミをよそに、別の騎士が新しい湯を持ってきた。
(一回だけじゃ~綺麗にならないし、もう一回手足を拭くのか。馬車の中で裸になるとか普通は、無いか。)
騎士が去った後、妄想に近い淡い期待から冷め、リトスはタオルを湯に付けクラミを見て一言。
「それじゃ、体を拭きましょうか?」
「はい!?」
「クラミ上だけ脱がすわね」
また手を拭くのだと思い手を差し出すが、リトスはその手を取らずに、優しく抱きつく様に体を密着させながら、両脇の下から手をい入れ、クラミのワンピースの後ろに付いているボタンを外していく。
クラミはいきなりリトスに抱きつかれた事ににより、思考が停止しする。そんなクラミをよそに、一個、また一個とボタンを外していき、最後のボタンを外し、リトスは抱きつくの止め少し離れクラミの肩に手を添えて、ゆっくりと下にずらして行き、腰の所で手が止まる。
クラミのシミ一つ無い雪の様な肌と純白のレースがあしらわれたブラが露わになった。腰の所で止まっていた手がゆっくりと体のラインを確かめるかのように登って、脇の下辺りで止まる。
そこから、体を密着させ手が後ろに周り、ブラを外そうとするがホックが見当たらなく外せない。
そこで、リトスは抱きついたまま、クラミの耳元で五月蝿く無いように、小声で話しかける。
「クラミ、ホックが無いのですが?」
「ハイ、マエニアリマス。ハズシマス」
「変わっているのですね? 私が外してみてもいいかしら?」
「ハイ、どうぞ!?」
リトスは、同性愛者でも少女の体を弄るのも趣味ではないし、したこともない。ただ元気の無いクラミの為に、普段自分がお風呂に入るとき侍女に服を脱がしてもらって、体を拭いてもらっている様にしているのだが、初めて相手の服を脱がすことに戸惑い恐る恐る、という状況なのだ。
思考が段々と回復するクラミは、今自分の置かれている、ありえない状況に狼狽え、耳元で囁くリトスの声が、脳に甘く優しく溶けこむに連れて、雪のように白い肌は紅く染まり、呼吸するのが苦しくなってくる。
リトスはリトスで、耳元で乱れるクラミの呼吸に体の芯が熱くなって来るのを感じつつ、そっと体を離し、背中に回っていた手をクラミの肌を撫でながら、小ぶりの胸まで運び両手で包み、ホックを外さば、這うように動く手が肩に来る。そして、肩紐を掴み下ろしていく。
クラミは恥ずかしさのあまり、白いワンピースの裾を両手で握りしめ、顔を伏す。その先には小ぶりの二つ丘が朱く染まり、小さなピンク色の淡い果実が自己主張するかのように立っていた。
(クラミったら。フフ恥ずかしがってるのね?)
顔を伏せるクラミに対して、体を触って乳頭が勃った事に対して、恥ずかしがってると悟り、右手を肩に回し、自分の方に体を傾け黒髪を撫で、左手のタオルを優しく左の鎖骨に当てる。同時にクラミの体に電気でも走ったかのように、少しだけ跳ねる。
「緊張しないでクラミ。」
「すいません。人に体を拭いてもらった事がなくて。」
「いいのよ。ゆっくり深呼吸して。」
潤んだ瞳でリトスを見つめ、言われるがまま深呼吸する。小ぶりの胸が小さく膨れ上がり、萎んでいくをを繰り返すに連れて荒れた呼吸は落ち着き、体を撫で拭かれる感覚がが今までにない刺激に変わり戸惑う。
リトスの手がクラミと話しつつ鎖骨に当てたタオルを肩までずらし、ゆっくりと脇下に潜り込み、腰まで下ろしまた上がってくる。
そして、クラミの小ぶりの丘を下から撫で、形をなぞるように動き、山頂を目指す様に手を覆いかぶせる。タオルの上からでも分かるくらいに膨れ上がった小さな淡い色の果実をリトスは、親指と人差指触れるかのように挟み、弾力のある触感を楽しむかのように拭いていく。
「んぁ……んん……ぁ……」
クラミの必死に声をださい様に噤むぐ口から甘く艶のある声が漏れ、リトスは不意に思う。自分自身を慰める場合は強めにイジルが、今クラミにそれをしたらどうなるのか――ゆっくり力を入れ弾く。
「あっ! ……ぁぁぁ! っっっっっんああぁぁぁ!!!」
体をハジケさせる様に背を反り返し、甘いから声から、いやらしく官能的な叫びを上げ、リトスに撓垂れながら目を閉じ荒い呼吸をするクラミ。その口からは涎が一滴落ち、リトスは人差し指でクラミの顎を持ち上げ親指で桜色の厚めの唇に涎を塗り込むかのように撫で、自然と自分の唇を近づけ―――
「おじょぉぉぉぉさま!! なにごとですか!!! おじょ…………さ……ま?」
「何でもあり……」
「「「「「…………っごく!」」」」」
執事の乱入にその行為は止められ、慌てて駆けつけた騎士達は、クラミの姿に生唾を飲み見つめる。
「お前たち! 散りなさい!!」
「「「「「……は、ハイ!!! 」」」」」
一息まを置いて、直ぐ様馬車から離れる。クラミの姿を脳内に焼き付けて。
リトスは、クラミを抱きしめ頭を撫で謝る。
「御免なさい。クラミ。淑女たる者を複数の殿方の目に晒してしまって……本当に御免なさい」
「……ん……はぁ……はぁぁ……いえ気にしてませんから。」
「それでも……」
「それなら……もう……少し、こうして……ても良い……ですか?」
落ち着かない呼吸のまま、リトスを抱きしめ返し持たれかかれ思う。
(もとは男だし、男に裸見られるよりも、リトス様の行いの方が問題なんじゃないか?)
そう思いつつ、瞼が重く閉じていく。
<レスヴィア・ジリャ・ピレインの加護-同性愛(女)-が発動しました>