表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/114

2-1 ②

「……ラミ」

「クラミ!」

「はい!」


 リトスの呼びかけに、自分の世界から帰ってきたクラミは慌てて返事をし、顔を持ち上げ周りを確認する。

 何時のまにか食事を終え、目の前にはお茶が置かれていた。


「報酬の話しをしたいのだけど、気分が悪いなら部屋で休んでいてもいいのよ?」

「いえ、大丈夫です!」

「…………」


 心配させまいと、力強く返事をして笑顔を見せるクラミ。対するリトスは、不機嫌そうな表情で後ろに控えている執事を呼び耳打ちをして、向き直る。

 執事は部屋を後にし、その背中を見送ったリトスが口を開く。


「改めまして、ゴブリン・『将 軍』(ストラティゴス)及び、『 王 』(ヴァスィリャス)討伐して頂き、エライオンの領主としてお礼を申し上げます」


 リトスは軽く頭を下げ、それを見て動揺したクラミは両手と頭を横に振る。


「頭を上げてくださいリトス様、私は当然の事をしたまでです。それに、昨日もお礼の言葉を貰いましたし」

「こういう事は形が大事なのよ」


 そう言いながら、お茶の入ったカップに口を付けるリトス。

 普段とは違う空気のせいで、喉がカラカラに渇いたクラミもお茶を啜った。

 二人が喉を潤していると、食堂のドアがノックされる。リトスが短く「入れ」と、言うと、お盆を持った執事が入ってきた。


「クラミ、これは街からのお礼よ」


 そう言うと、クラミの前に執事が白い袋を置く。それを訝しげに袋を見た後、リトスを見つめる。


「あの、これは?」

「私からの報奨金よ。それと、『将 軍』(ストラティゴス)『 王 』(ヴァスィリャス)のモンスターコアをこちらで買い取ってもいいかしら?」

「あ、はい。問題ないので、お願いします」


 モンスターコアの用途や価値がイマイチ解らないクラミは、軽く返事をした。すると執事がまた、クラミの前に白い袋を置く。今度は二つだ。

 合計三つの袋を見ているクラミにリトスが話しかける。


「まず、街からの報酬が金貨十枚。それと『将 軍』(ストラティゴス)のモンスターコアが金貨三枚。『 王 』(ヴァスィリャス)が金貨七枚で買い取らせてもらったわ。

 合計、金貨二十枚。確認してちょうだい」


 またしても大金を貰ったクラミは涙目で縋るようにリトスを見つめた。


「昨日もギルドから報奨金をもらいましたけど……」

「ええ、それだけの働きをしたのよクラミは」

「ならこのお金は貰えませんよ」

「そんなこと無いわ。もしクラミが居なければ、街は甚大な被害を受けていたでしょう。

 本当は、金貨五十枚を渡す予定だったのだけど……残りの金貨も持ってきましょうか?」


 勢いよく首をブンブン横に振るクラミ。リトスはそんな彼女を見て頬を綻ばせるが、咳払いをして引き締まった、真剣な表情で口を開く。


「納得したのなら、金貨を確認してちょうだい」

「はい……」


 クラミは白い袋から一枚一枚、丁寧に取り出し、テーブルの上に並べていく。

 それをリトスは、只眺めており、クラミが「二十枚、ちゃんとあります」と、言うと、両手を握り締めて返した。


「そう。これでお礼は済ませたわね……」


 一人肯き、クラミを睨みつける。


「私の用件は全て済んだわ。クラミは何かある?」


 荒い語気にたじろぐクラミは、勢いよく立ち上がり、頭を下げた。


「今までお世話になりました」


 その言葉に「ええ。」と、短く返して、自分のスカートを握り締める。

 クラミは困った表情で扉に向って歩き、再度、頭を下げるが、リトスは何も返さず、窓に視線を向けていた。




 「ありがとうございました」その言葉を残し、クラミは食堂から出て行った。

 リトスの後ろに立つ執事は、わざとらしく大きなため息をつく。


「何か文句でもあるのかしら?」

「お嬢様……それで宜しいのですか?」


 何も返さず黙り込むリトス。執事は二度目のため息を吐き、独り言を呟きながら、クラミが座っていた場所に歩を進める。


「まったく、誰に似たのやら。一言、素直の気持ちを言えばお互いが幸せになれるものを……」

「五月蠅いわよ。私はこの街の領主、リトス・ブレ・エライオンなのよ……」


 噛みつくリトスの言葉など何処吹く風と言わんばかりの執事は、クラミが忘れていった白い袋を手に取る。


「お嬢様のご両親、私どもの一番の願いは……お嬢様の幸せなのですよ、女伯爵様(カウンティス)


 そう言い残し、部屋を出る執事。その後ろ姿を睨み付けるリトスは、口を開くが、言葉が出ない。

 一人っきりなった食堂のテーブルに突っ伏し、空を見上げる。


女伯爵(カウンティス)か。…………私は。……ッ確りしろ、リトス・ブレ・エライオン!」


 突如立ち上がり、淀む心を一喝するように自分の頬を両手で叩き、リトスは大股で執務室を目指して歩いて行った。


モンスターコアの金額が……。

Gランクのゴブリンのコアが銅貨二十五枚。これを基準に――。

Fランクが二倍の銅貨五十枚枚。

Eランクが三倍の銅貨七十五枚。

Dランクが四倍の銀貨一枚。

Cランクが二十倍の銀貨五枚。

~~~壁てきな?~~~

Bランクが四百倍の金貨一枚。

Aランクが四千倍の金貨十枚。

Sランクが四万倍の金貨百枚=白金貨一枚。

SSランクは、単体では無く軍勢とかなので×

SSSとか……無理ぽ。



リトスは色を付けてコアを買い取ってくれました。

ギルドからの報奨金は街が出してます。


リトスさんは、クラミが出て行くのが我慢できず、けれど、引き留める言葉(部屋でやすんでいてもいいのよ?)が届かないので、追い出すことに。

出て行かれのでは無く、自分から追い出すことで、傷を浅く済ませようとした感じです。

その為、話しの流れが……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ