異世界ライフの始まり
エピローグ
クラミが目を覚ますと、何も無い空間に居た。
辺りを見渡すと、見覚えのある白いローブを着た少年がクラミを見つめている。
「酷い事になってたね?」
その言葉が何を指しているのか分らず、思わず首を傾げた。
「無理しすぎだよ。アレじゃ、心が壊れちゃうよ?」
「ああ……確かにアレは酷かったですね」
クラミは『将 軍』と『 王 』との戦いを思い出し、背筋に冷たい物が走る。
「それと、色々な加護を貰いすぎて……変な事になっているね。特にボクが与えた加護、―どんなに筋トレしても筋肉が付かない―が、可笑しな事になっているよ!」
「全然、面白くねぇ……です!」
少年はクラミに指を突き刺し、空いている手でお腹を押えながら笑っている。
相変わらずの神様だ。
クラミは眉間に皺を寄せ、口を開く。
「元の体に戻してもらえませんか?」
「ええぇぇぇ~~。戻しても良いけど……パーツが足りないでしょ! ちゃんと探さないと……」
思わず、ため息を漏らし、明後日の方向を見ながら、愚痴をもらす。
「広い世界で、どうやって探すんですか……」
「うう~ん~勘?」
「…………」
無言で見つめてくるクラミに対して、少年は悪戯っぽく口を開いた。
「まぁ~、もっとやる気が出るように、玉と棒をちゃんと見つけたら……元の世界に帰して上げるよ!」
「!? でも、俺って死んだんですよね? 大丈夫なんですか」
少年はポカンとした表情でクラミを見つめる。
「…………俺って死んだんですよね!?」
「ほら! アレだよ! ボク神様だよ、神様だから大・丈・夫☆」
その態度に訝しげな表情になるクラミ。
少年は視線を逸らし、何かを思いだいたように喋りだす。
「そ、そうだ! ご褒美。ゴブリン相手に頑張っていたから、ボク、ご褒美を準備していたんだよ!」
「……話を逸らしてませんか?」
「ちがうよ! それじゃあ、いらないの!」
ぷくーっと頬を膨らませ、少年は地団駄を踏みながら怒る。
こんな姿でも一応、相手は神様だ。クラミは謝り、ご褒美の話に食い付くことに。
「最初から素直に喜べば良いのに……。
クラミは魔法が使えないみたいだから、この魔法の袋をあげるよ! アイテムボックスの魔法と同じ効果だよ!」
「そうなんですか! 凄そうですね!」
少年は自慢げに語り出す。
「すごいよ~。これ、すんごいんだよ! 無制限に何でも入るし、とりたい物をイメージしながら手を入れて――」
少年は袋に手を入れ、そして何かを徐に引き抜いた。
それは、酷く淫猥なキノコだ。少年はそれを見つめながら、クラミに突き出す。
「…………去年、キノコ狩りしたときのだ」
「それ、キノコじゃないでしょ! 棒じゃないですか!?」
「……クラミ、ここで装備していくかい?」
「嫌だよ、汚いし! 神様が装備すれば良いじゃないですか!」
少年は無言で袋に仕舞い、クラミの手に魔法の袋を握らした。
「要らねぇよ!」
「ぇぇぇぇ~、ボクも要らないよ!」
「じゃーなんで、狩ったんだよ……ですか!」
「てへぺろ!」
そう言いながら、クラミの服で手を拭く。
クラミはその手を叩き、袋を突き出す。
「返します! 他人の棒とか――」
「でも、装備できるよ!」
「いや、だから――」
「ああ、もうこんな時間だ!」
クラミの周りに光が集まり出す。少年は少し距離を取り、笑顔で手を振る。
「ちゃんと自分の棒と玉を見つけたら、元の世界に帰してあげるから、本当に頑張ってね!」
少年のイイ笑顔を見ながらクラミは光と共に消えていく。
「ふふ……楽しみだよ!」
クラミが目を覚ますと、今度は薄暗い場所であった。
だが、そこは見慣れた部屋で、隣には見慣れたリトスの寝顔。
規則だだしく、静かに聞こえる呼吸音。
何時もの様に、左手は握り締められている。
先ほどの不快な悪夢を振り払い、リトスの頬を撫で、もう一度深い眠りにつくことに。
「おやすみなさい、リトス様」
読んで頂き、ブックマーク登録ありがとうございます。
一章読んで、如何でしたか?
私は、これから反省会です。
玉がなァァァァァィィィ! p.s.棒もありませんでした(仮)について。
この話『玉梨』は、ギャップを意識して書いております。
クラミは美少女だけど、男。
リトスは周りの人間には強気で、クラミには甘える。
ソフィアさんは……常識人だけど、クラミに対してサディスト?
美少女が巨大武器などなど et cetera
ストーリーもできるだけ、ほのぼの日常系からのグロを目指しています。
後、5-5 ③で、<加護--が発動しました> と、ありましたが、これは伏線でも何でもないです。
<加護-どんなに筋トレしても筋肉が付かない-が発動しました>
あの戦いの最中に、『筋肉が付かない』とか出たら……そう思い、わざと書きません――書けませんでした。
こんな感じで、全八章 100万文字目指して書いていきますので、これからも宜しくお願い致します。