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4-5 ②

 ―冒険者ギルド 客室―


 二人の男が対面式のソファーに座り、渋い顔でお茶を飲んでいた。


「それで、調査の方は如何でしたかな?」


 その内の一人、燕尾服を着た初老の執事が自慢のカイゼル髭を撫でながら、向かいに座っているギルドマスターに話しかけるが、彼は返事をすることも無く腕を組んだまま瞑目している。


「状況は予想以上に悪いと言うことですか……ふむ」


 その態度に執事はこの街、エライオンに重大な危機が迫っていることを悟り、ギルドマスターに事態の詳細な現状を話せと、催促するように睨み付けた。


「そうですな……これは確定では無いのですが――」


 ギルドマスターは重々しい口を開く。


「今回のゴブリンの異常発生ですが、ゴブリン・『将 軍』(ストラティゴス)が、原因かと思われます」

『将 軍』(ストラティゴス)!? 確認したのですか!」

「いえ、個体は未確認なのですが、街周辺で鉄の剣を使うゴブリンがいたと報告があり、半信半疑で調査したところ……森の中で鉄装備を使うゴブリンを複数確認しております」


 ギルドマスターの話を聞き、腕を組んだ執事はソファーに腰を深く沈めて険しい顔になる。

 

 ゴブリン・『将 軍』(ストラティゴス)とは何か?

 ゴブリンは通常、30~50体の群れで生活をし、近くの木を石で削り倒して、棍棒を造り、それを使いながら周辺のモンスターや動物、人を襲い、それを食料や繁殖用として使う。

 

 その中から時折、様々な力を持つ異様なゴブリンが生まれる。

 それらは、進化固体と呼ばれる。

 これは、ゴブリンに限った話しでは無く、どのモンスターからも稀に現われる現象で、特徴としては通常の固体よりも何倍も体が大きかったり、馬鹿げた怪力や、並外れた魔力を発揮して周辺に甚大な被害をもたらしたりする。


 その中でもゴブリンは異様だ。

 進化固体が出ると、群れの個体数が爆発的に増え、全体の知能が増すのだ。

 その為ただの棍棒から、石斧や、弓などを造るに至のだが、街の周辺や、森で見つけたゴブリンが使っていたのは、粗末な出来ではあるが鉄の剣。鉄鉱石を掘り起こし、精錬して鉄を造るほどの知性を身に付けている。


 30年ほど前にエライオンの街は、鉄を扱えるほどに成長した群れに襲われたことがある…………それが、今回のゴブリンと同じであろう『将 軍』(ストラティゴス)。ギルドで確認されているゴブリンの進化固体でも、上位二位に値するモンスターなのだ。


 因みに一位はゴブリン・ 王 (ヴァスィリャス)。何百年も昔に襲われたと、記録に載っているモンスターだが、本当に存在するのか不明である。



 想像以上の事態に執事は眉間に皺を寄せ、心を落ち着かせる為にお茶を飲み干し、口を開く。


「ギルドマスター、この街を襲うと思いますかな?」

「間違いなく。ここ最近、ゴブリンが多かったのも偵察だったのでしょう」


 二人はため息を吐き、押し黙る。

 執事は街の領主――リトスにこの事を報告する為に、憂鬱な気分を振り払い、ギルドマスターの考えを聞いていく。


「今回のモンスターランクはどうなりますかな?」

「……普通の群れならDランクですが…………Sランクが妥当かと」

「やはりその規模になりますか……緊急招集を今日中に掛けておいてください」

「既に手配をしておりますので、ご安心ください」


 その言葉を聞いても安心など出来ずにいた。

 

 それもその筈、この街を襲うであろうゴブリンは鉄の装備品を使う。それだけでも充分驚異なのだが、それ以上に進化固体がいるとモンスターの脅威の格が上がってくる。

 その格をモンスターランクと呼び、それはモンスターの脅威に対して必要とする冒険者、騎士の数で決められている。


 執事は最悪の事態、SSランクを念頭に置いて城へと帰っていた。





 Gランク――駆け出しの冒険者(F,Gランク)が一人で対応できるレベル。

       例 単体のゴブリン、コボルトなど


 Fランク――初級冒険者(Eランク)が一人で対応できるレベル。

       例 単体のオーク、複数のゴブリンなど


 Eランク――中級冒険者(Dランク)一人で対応できるレベル。

       例 単体のゴーレム、複数のオークなど


 Dランク――中級冒険者(Cランク)、騎士が一人で対応できるレベル。

       例 単体のダイアーウルフ、ゴブリンの群れなど


 Cランク――上級冒険者(Bランク)、中級騎士が一人で対応できるレベル。

       例 単体のオーガ、複数のダイアーウルフなど


 Bランク――上級冒険者(Aランク)、上級騎士が複数で対応するレベル。

       例 単体のワイバーン、複数のオーガなど


 Aランク――特級冒険者(Sランク)、王族近衛兵が複数で対応するレベル。

       例 単体のレッサーデーモンなど


 Sランク――街の冒険者に強制招集が掛かり、街の騎士全てと共同で対応するレベル。

       例 単体の下級ドラゴン グレーターデーモン、モンスターの群れなど

 

 SSランク――街の住民に徴兵を掛けて対応するレベル。

       例 単体のアークデーモン、モンスターの軍勢など


 SSSランク――国家存亡の危機。

       例 伝説上のドラゴンなど

 

読んで頂き、ブックマーク登録ありがとうございます。


連続更新記録が……


モンスターのランク今回思いつきで書いたので

よく解らないです。


取敢えず、将軍が強いと感じてもらえると嬉しいです。

モンスターランクBから隔絶した強さって感じです。

ストラティゴスは、ギリシャ語で将軍です。

クラミ以外皆ギリシャ語なので無理矢理付けました。

本当はジェネラルが良いです。



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