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4-3 ②

 クラミは走りながら「俺なんでこんな開けた場所を走っているんだろう?」と、奇襲の失敗を感じるが、ゴブリンは気づくことも無く同族の屍を貪る。


「ギャミィィ!」


 駆け抜けてきたクラミは後ろからゴブリンの後頭部を掴むと、しゃがむように腰を落とし、そのまま地面に叩き付ける。断末魔の悲鳴を聞き、近くにいたゴブリンが雄叫びを上げれば、ほかのゴブリンも気づき一斉にクラミを睨み付ける。


「ギィ! ギィィ! ミギャァ……」


 ゴブリンが食事の為に手放した棍棒を掴むと、髪を浮かせて一回転。叫んだゴブリンの後頭部に遠心力を加えた一撃を入れた。今度は手加減をしたのか、頭を押えて転げ回り動かなくなる。


「二体目、次いくぞ……しゃぁぁ!」


 今し方絶命したゴブリンの棍棒を拾い、両腕をクロスさせ棍棒を背中に回し雄叫びを上げて、二体いる方へと駆けだした。


「ミギャ……」「ギャァ! ァ……」


 クラミは二体のゴブリンの間に入り込むと、クロスさせていた両腕を開き、二体のゴブリンの横顔に棍棒を叩き付けて吹き飛ばす。


「ギシャァァァ!」


 大ぶりの攻撃して隙だらけのクラミに最後の一体が襲いかかる。

 それに気づき、棍棒で受けようとするが――


「うおぉ! 危ない……」


 クラミは棍棒を使わずに、地面を力任せに蹴り、後ろに転げるように逃げる。

 クラミが今までいた場所に黒い物が突き刺さる。そいつは今までのゴブリンと違って、手に持っている物は鉄の剣だ。

 そのゴブリンはクラミを見ると勝ち誇ったように、にやりと口角を引きつり上げ笑う。


「クラミ! 危険だから替わるね」


 ソフィアの声が聞こえたと同時にクラミ横を風が通り抜けと思えば、ゴブリンの首が落ちる。


「大丈夫だった?」


 一瞬の出来事にクラミは呆然とした表情でソフィアを見ながら肯く。


「ソフィアって本当に速いですよね……横を通り抜けたと思ったら、いつの間にか目の前にいるし」


 クラミのその言葉に無い胸を張り、自慢げに語りだす。


「すごいでしょ。ふふ、これがBランク冒険者の実力だよ!」

「全然見えませんでしたよ!」


 そんなやり取りを行い、コアを抜き取る作業を開始する。今度は失敗することも無く、クラミは4個のコアを手に入れた。クラミは嬉しそうに捕った狸の皮算用をしているが、ソフィアの顔は優れない。


「どうかしたんですか?」

 

 心配そうにクラミが声を掛けるが、笑顔を見せて、


「何でも無いよ。それより、もう少しここで狩りでもする?」


 ソフィアが何を考えているのか解らないが、クラミに心配を掛けない様に配慮しているのは分かる。水臭いなぁ~と思いつつ、飼料集めをしながらゴブリンが出てくるのを待つことに。



 その後、四体のゴブリンに2度ほど遭遇するが、すべて返り討ちにした。

 今日一日の成果は、


 クラミ  ゴブリン討伐数 十三体  

      モンスターコア獲得数 十三個 内、一つ破損 

      飼料売却額 銅貨二十枚 内、銅貨十枚寄付


 ソフィア ゴブリン討伐数 三体

      モンスターコア獲得数 三個

      拾得 鉄の剣 一本

      飼料売却額 銅貨二十枚 内、銅貨十枚寄付


 と、その成果にほくほく顔のクラミであった。



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