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3-5

 ブロンド髪の少女に絡んでいる3人組の男を見るとソフィアは、アイテムボックスから抜き身の短剣を二刀取り出し、無表情で歩き出す。が、それよりも先にクラミが駆けだす。クラミの行動に呆気にとられて見ていると、


「おい! お前らその子に何をしている!」


 クラミが低い声で3人の男に睨み付けながら吐き捨てる。男達は一瞬体を震えさせ、振り返り、クラミとソフィアを見ると仲間の顔を見渡し下卑た笑みを見せてくる。


「おぉ! お嬢ちゃんも一緒に遊びたいのか?」

「やったな、これでお前の後を使わなくてすむぜ」


 そう言いながらブロンド髪の少女を捕まえている男に話しかけ、その男は胸を触りなが舌舐めずりをする。


「何言っている! まずは3人とも俺が味見するに決まってギャァァ」


 話し終わる前に、クラミは右腕の拳を男の顔にぶつけ、仰け反ると脇腹に追い打ちの左フックを突き刺させば男はお腹を押えて悶絶する。倒れた男を呆然と見ている奴の脹ら脛目掛けて、腰ぐらいの高さまで上げた膝を斜めに傾け、振り下ろしのローキックを入れれば、足を押えようと屈んだ頭を両手で掴み、腰を回して膝蹴りを入れる。

 

「な、な、なんだよお前は! 来るな近づくな!」


 最後の一人が腰からナイフを引き抜き、クラミに剣先を向けて威嚇する。クラミは臆すること無く、足下で脇腹を押えて呻いている鈍 器(男の足)を手に取り、引きずりながら震える男を睨み付け歩く。

 男は、涙を零し顔を歪めてクラミに斬りかかるが、鈍器を振り下ろすクラミの方が早かった。


(クラミ……私との戦いでも本気じゃなかった?)


 その戦い方を見て背筋に冷たいものが走るソフィア。実力では絶対に勝てる自信はあるが――

 クラミの頬に男の返り血が一滴つき、一本の線を描くように垂れる。クラミは視線に気付き、振り返りソフィアに笑顔を見せれば、ソフィアの心臓が締め付けられた様に苦しくなる。今日何ども見たはずの笑顔なのに……怖くて、怖くて、恐くて、それ以上にたまらなく愛おしくて――頬を赤らめてたソフィアは、胸元を握りしめて冷静を装いながらクラミの心配をする。


「怪我はない?」

「はい。私は大丈夫ですが……お嬢さんもう大丈夫ですよ! お怪我は有りませんでしたか」


 爽やかな笑顔を見せながら少女に振り返れば、


「ひっ! だ、大丈夫です」

(デジャブュぅ~前にもこんなことあったな~)


 ブロンド髪の少女が引きつった笑顔を見せるので、やるせない気持ちになるクラミ。


「あ、あの……昨日に続いて、今日もありがとうございます。それじゃ私はこれで失礼いたします」


 よく見れば昨日ゴブリンから助けた少女であった。その少女は深々と頭を下げて一礼する。頭を上げる際に、胸が揺れるのを確認できた。巨乳――巨乳少女だ。

 喉を鳴らし見つめるクラミ。少女はクラミの視線に気づき胸を押える。ソフィアは冷たい表情で話しかけた。


「クラミって、おっぱいが好きだよね……それも大きい方がいいんだ?」

「へ? あれ、あれですよ? おっぱいが大好きで……見てないですよ? それよりもあの伸びている3人組はいいんですか?」


 初めて見せるソフィアの表情に動揺して訳の分らない事を言いつつ、話しを逸らすクラミ。丁度騒ぎを聞きつけたのか、複数の騎士が走って来る。クラミを見ると騎士達は敬礼をして、事情を聞くと直ぐさま男達を引きずるように連れて行く。


「取り調べとかしないんですか? もしかしたら俺たちが加害者かもしれないのに……」

「ブレ家のお客様がそんなことしないでしょ」


 冷たく答えるソフィア。寂しそうに納得するクラミは肩を落としてブロンド髪の少女の顔を見る。が、目に入ったのはその大きな――


「ねぇ~クラミ?」

「あぅあぅ~あの、私はこれで」

「待って! 一人で帰るのは危険だから家まで送るよ」


 少女は遠慮していたがソフィアが有無を言わさず手を握る。それを羨ましそうに見つめるクラミ。ソフィアはそれを無視して歩き出す。もし今クラミに触れれば――


「あ、あの家はそこじゃ無いです。反対です」


 少女が申し訳なさそうに家の場所を告げ、3人で南門の方角へと歩き出す。


「あ、あの建物です」


 少女が指さすその先には、寂れた建物とその隣には協会が見える。



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