表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/114

3-3 ②


「っふ~。本気で行ったんですが……全然駄目でしたね」

「そんなこと「そんな事無いぞぉぉぉ! 中々に見所があるぞ。男爵様、ギルドはお嬢ちゃんを歓迎いたします!」」


 落ち込むクラミを余所に、周りの評価は良かった。ソフィアは落ち武者を睨みながらクラミを褒めてくれ、落ち武者はハゲじゃないことをアピールしつつもクラミを褒める。執事も驚嘆の顔から笑顔を見せ褒めてくれる。訳が分らないクラミにソフィアが教えてくれる。


「私と、Bランクの冒険者とあれだけ戦えて、肉体強化の魔法も使ったでしょ? たぶんCランクぐらいの実力者かな?」

「確かにあれほどの力すごいが、Cランクまでいかないだろ。戦い方が全然なっちゃいない」

「私は褒めて伸ばすタイプなのハゲ。クラミこれから登録するでしょ? 一緒にいこうか」


 Bだとか、Cだとか言われ混乱するクラミの背中を押しながらソフィアは、落ち武者と口論しながらギルドの入り口に向かい歩く。ギルドの入り口で執事と別れ、手続きをする為に中に入る。中に入ると落ち武者は奥へと引っ込み、ソフィアと一緒にギルドの窓口で受付する。銀貨を一枚渡し受付嬢から紙を貰い、それに名前を記入する。


「ソフィア、あの字が書けないんですが」

「じゃー私が書くね」


 名前以外に記入する所が無く、そのまま提出すれば、5分ほどで待つと安っぽい名刺サイズの木の板を渡された。裏には名前であろう字が記入されていた。クラミがそれを手に取り眺めていると、ソフィアが話しかけてくる。


「クラミそれが冒険者の印だよ」

「なんて言うか……安っぽいですね」


 木の板をひらひらと振りながら、ぞんざいに扱うクラミ。もし無くしたり壊したりすれば叉、銀貨一枚支払う羽目になるとも知らず。それに構わずソフィアが説明を続ける。


「まだランクが低いからね、Dランクに上がれば銅のプレートに変わるよ」

「ランクですか……ランクについて聞いても良いですか?」


 顎を右手の親指と曲げた人差し指で挟みながら首をかしげるクラミ。


「そう言えばまだ説明してなかったね。まずランクは全8階級あるんだよ。Sが最高の冒険者に送られるクラスで印もミスリル製のプレート。その下にA・Bがあり、この階級になれば上級冒険者でAランクは金のプレートでBは銀ね」


 話しながら銀色に輝く冒険者の印を見せてくれるソフィア。クラミがそれに驚き、何度も交互にソフィアと銀のプレートを見る。それに恥ずかしくなり、さっさとプレートをしまう。


「それでC・Dの階級が中級冒険者で、この3つクラスは銅のプレート。最後にE・F・Gの階級が駆け出しで木のプレート。今のクラミがいるクラスだね」

「どうやってクラスを上げるんですか」

「まずGからFに上がるにはゴブリンのモンスターコア1つが必要なんだよ」

「一個だけで良いんですか!?」


 何度もゴブリンを素手で倒しているクラミからすれば楽勝の話しだ。一般人の男性(農民)でもゴブリンくらいなら、装備さえ調達できれば楽に倒せる。が、その装備が高くて元を取るにも結構なモンスターコアが必要になり、その間にゴブリン以上のモンスターにでも出合えば……それなら畑仕事の方が安全で収入も安定するから、よその街から来た者以外に冒険者になる者は少ない。


「まだ駆け出しだからね、最低限モンスターを倒せるだけの強さが必要なんだよ。次にFからEにはゴブリンのコア10個ひつよなんだよ。取敢えず今は、Eランク目指して頑張ろうか」

「はい! 早速行きますか?」


 その話しを聞き生き生きとした表情で返事をするが


「いやいや、クラミ装備が無いじゃん。装備を買ってからだよ」

「お金が無いんですよ」


 腰に下げている袋を逆さにして、落ちてくる銅貨一枚を見せる。


「それじゃ~雑用の仕事してお金を貯めよっか。私が選んでも良いかな?」


 クラミが肯くとソフィアが歩き出し、その後ろを歩く。入り口で止まり近くの壁に目を遣るソフィア。釣られて視線を向けると沢山の張り紙が貼られていた。


「これが雑用の仕事依頼だよ。駆け出しがこの依頼をこなしてお金を稼ぎ、装備を調えて外でモンスターを狩るんだよ」


 ソフィアの説明に肯きながら、張り紙を見るが全く読めないので、ぼーっとしていると、近くの男が話しかけてくる。


「お嬢ちゃん銅貨一枚で張り紙10枚読むよ」

「私が居るから結構よ」


 ソフィアが冷たくあしらい男は別の人に同じように話しかける。文字が読めない人の代わり読んで上げる仕事のようだ。そんな男を見ているとソフィアが一枚の紙を持って話しかける。


「クラミこの仕事なんてどうかな? 家畜エリアの仕事で外に出るけど私が居るから大丈夫だよ」

「家畜エリアですか? よく分らないですがソフィアが言うならそれで」


 張り紙を持って窓口で仕事を受け、ギルドからでる。


「さてと。クラミ頑張ろっか!」

「うっす! 初仕事頑張ります!」

「その返事は……今度から駄目ね」


 ソフィアにだめ出しされつつ一緒に街を歩いて行く。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ