《伝播》
ど、どうなっている・・・?
襲われない?
僕、食べられてない?
「ハハ、ハハハハ・・・」
・・・良かった。ホントに良かった。
死ぬかと思った。
自分で死ぬのとは全然違った。
何者かに殺される恐怖。心臓が摑まれるような感覚。ゆっくりと進む時間。自分の呼吸の音。
そして、絶望。
今になって全部が訪れてくる。
苦しい。体が震える。意識が遠くなる。
もう・・・無理・・・。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
「おや?さっきぶりじゃないか」
神様は笑いかけてきた。
「ぼ、僕ホントに死ぬかもって、もう終わるんだって思って・・・」
震えが止まらない。喉が渇く。呼吸が早くなる。
落ち着け、落ち着け、落ち着け
もう大丈夫だ・・・。大丈夫、大丈夫・・・。
しばらくしてようやく落ち着けた
「神様、神様は見てたんだろ?さっき、何があったんだ?」
「あぁ、さっきの熊はね、君に恐怖を《伝播》されて気絶したのよ。」
《伝播》?僕がもらった能力の事か?
つまり、
「僕の能力で熊が動かなくなったってことか?」
「そういうこと。《伝播》は物を伝える力を大きくする能力。君の恐怖が悲鳴を通してあの熊に伝わった。それも何倍にも強力にね」
神様は再び笑いかけて、
「君の勝利だよ。君の人生はやっと始まりを迎えるんだ。ここから本当の第二の人生の始まるんだ」
神様は今度は威厳のある顔を作って言った。
「行きたまえ!」
僕は深く頷いた。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
そして、僕は今日二回目の目覚めを迎えた。
次回、主人公の冒険が始まる?
意見・感想・指摘などなど
お待ちしています。