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世界の隣人 -Another World-  作者: タンス
第3章 守護者ソラリス
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「お疲れさまでした。確かに鉄鉱石7個の納品を確認しました」


 ソラリスへ戻った俺はギルド支部に来ていた。もちろんクエスト報告のためだ。1日半掘り続けたおかげで鉄鉱石も十分集めることができた。ギルドへ渡したために数は減ったがそれでも10個近くは残っている。ついでに欠片の方も20個以上あった。


「もし鉄鉱石をお持ちでしたら買い取りを致しますよ。もちろん職人ギルドへ卸して頂いても構いませんが」


「いえ。このまま職人ギルドへ行ってみるので大丈夫です」


 そう言って断った俺に職員は1枚の紙を手渡してくる。


「こちらにサインをお願いします」


 その紙には日本語で文字が書かれており、内容はクエスト達成を確認したので報酬を渡した、ということだった。

 署名欄に名前を書くと、文字が淡く光り小さな皮袋が現れた。中身は1000パール。なるほど。報酬は紙から出る、ということか。


 支給品は返すように言われたのでインベントリから出す。破損があっても問題は無いそうだ。きっと見習い職人の練習台になるのだろう。  

 冒険者ギルドを出て、一路、職人ギルドを目指す。金属素材は魔道師には不必要だが鍛冶屋の仕事は見てみたい。ついでに欠片の処理も頼みたい。中身は鉄なんだし、数さえあれば鉄鉱石と同じように扱ってもらえるかもしれない。


 

 そういえばクエスト達成したのにいつものアナウンスが無かった。疑問に思って、ヘルプからそれらしき説明を探す。

 

「お。これかな」


 目に留まったのは、『クエストの達成について』という項目だった。読んでみると、アナウンスが流れるのは専用クエストと呼ばれるものだけらしい。クエスト内容は前もって知ることができない特殊なもので、試行錯誤して達成することでボーナスがもらえるそうだ。専用クエストには難易度が設定されており、ボーナスも難易度によって変わっていく。もちろん、難易度をプレイヤーが知ることはできない。


「まぁギルドに行く度に流れても困るしな」


 といってもそんなに流れた記憶は無いけど。予想では職人スキルを取って何か作ったら流れそうだ。スキルが上がりにくいし兼業してる人は大変だろうな。でも回復アイテムくらいは欲しいしなぁ。悩みどころだ。


 

 内円にある職人ギルドの看板は、自らの尾に食いつき環となった蛇の絵。なんでこんなデザインにしたのだろう。職人に関係無さそうなのに。

 ちなみにここでも建物は大きいものではなかった。外壁は他の建物と同じような石材が使われている。だが多くの職人を内包できるほどの建物ではない。職人ギルドは地上部分では無く、地下にその心臓部分を置いているのだろう。地下と2階層以上、どちらが技術的に大変なのかはわからんが。


 建物に入ると目に飛び込んできたのが質の良さそうな調度品たちだった。艶のある革張りのソファーに木目の美しいテーブル、視線を落とすとマーブル模様の石材が建物の床を彩っている。冒険者ギルドの端材で出来たような家具とは大違いだ。まぁ職人ギルドにこんな上質な物が必要かどうかは微妙だが……。実際、ギルド職員は数名しかおらず、冒険者も地下が目的だろうからこの場所を飾り付ける意味は怪しいものだ。

 

 とりあえずは地下に行ってみようと、下を向いた矢印が刻まれている扉に向かう。ドアノブに手を伸ばそうとした時、するりと職員らしき男性が目の前に割り込んできた。


「申し訳ありませんがこちらは職人ギルド員専用となっております。一般の方、未登録職人の方の出入りはご遠慮ください」


 男性は笑顔だったが、この先は通さないというオーラが見え隠れしている。勇者じゃない俺はどこでも出入り自由にはならないか。 

 

「あ、すみません。金属素材が手に入ったので職人に引き取ってもらおうと思ったんです」


 軽く目線を落とし、反省してるように装ってみる。いや、勝手に入ろうとしたのは悪かったな。

 

「素材は買い取りカウンターがありますのでそちらへどうぞ。ソラリスでは職人の仕事は基本、公開しておりません。ご了承ください」


 事務的に答えてくれた職員に連れられ買い取りカウンターへ向かう。どうやら鉄鉱石、欠片は両方とも買い取ってもらえるようだ。


 カウンターの職員から金を受け取っていると、メールが着たことを知らせるポップアップと電子音が響く。差出人を確認してみるとサラさんからだった。彼女もソラリスに来たようで、何か素材があったらもらうと書いてある。残念ながら調合に使える素材は持ってないので、また今度集めておく、とだけ返信することにした。



 ソラリスへ来てから1週間程度経ったか、ログアウトもしていたので少しズレてはいるだろうと思う。シンさんやサラさんとの合流を果たし、素材収集やスキルのレベル上げに勤しんでいたある日のことだった。


 カンカンカンカン……


 職人ギルド周辺を歩いていた俺たちはその突然の事態に止まってしまう。外円から断続的に響く金属音、最初は一方向からだけだったそれは、すぐに町中から鳴り響くことになる。町の雰囲気が変わり、住民らが姿を消していく。町全体に広がるのは緊張感か。張り詰めたような空気の中、後ろから金属が擦れる音と、数人の足音が近づいて来た。


「冒険者か! 非常事態だ。外円の城壁まで走ってもらいたい。そこで騎士団の指示を待ってくれ。我々はまだやるべきことがあるのでな」


 そう言って足早に去って行く騎士たち。顔を見合わせた俺たちはとりあえず、言われたとおりに外円に向かうことにした。

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