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目を覚ますとすぐにパソコンに向かう。攻略サイトでユニコーンを検索してみると1件ヒットした。
未確認情報をまとめたページに遭遇した人が書き込んだようだった。内容はあの時とほぼ同じ。3度目で有無を言わさず町に返されたそうだ。これについてはこれからの遭遇情報に期待、とだけ記されている。とりあえず、同じように遭遇したとだけ書いておこう。
あの町でプレイヤーが足止めされているということは、ストーリーのネタバレはないと考えて他のページを見ていく。
少し気になったのは盗賊団を討伐して欲しいと住人に頼まれるイベント。パーティを組んだ状態である人物に話しかけると発生したそうだ。いくつかのコメントにより情報が補完され、恐らくは攻撃スキルがLv4以上の人間がリーダーとなった、3人以上のパーティだと発生すると結論付けられていた。
「条件がなかなか厳しいよな。しかもまだ達成してないみたいだし……」
かなりスキルを使用したと思っていた俺がようやくLv2。4になるにはどれほど戦闘を経験したのだろうか。
コメントにはもしかしたらこのイベントで次に進めるのでは、という期待の声も多い。しかし盗賊団ということは人間を倒すことになる。できればそんなイベントはお断りしたいものだ。まぁ前提条件に達していないので杞憂なのだが。
育成ページに飛んでみると取得スキルについて注意書きがされていた。
戦士・弓使いはスキル発動にスタミナと微量の魔力を消費する。剣を振り回したり、移動しながら矢を射るために当然といえば当然だが。そのため、必須スキルとして「スタミナ上昇」「スタミナ回復速度上昇」が挙げられている。
スキルを装備できるのは8つまで。そして剣を扱うための基本スキルが1つ。残り5つのスキルをどう選ぶかでどんなキャラクターになるかが決まるのでコメント欄では熱い議論が交わされていた。
「魔道師はその点スタミナ消費が無いもんな」
一応、杖を振ったりするのだが。まぁ詠唱を行う必要があったり、消費魔力の大きさからさすがに設定されなかったようだ。現在、「詠唱破棄」スキルは店売りされていないのであまり魔道師はソロで狩りをしないらしい。ソロ狩りができる俺は恵まれているのかも。ぼっちプレイヤーは町周辺の弱い敵だけを相手に狩りをするしかなさそうだな。
その代わり、「高速詠唱」スキルは店売りされており、まずはそれを取得するのが基本みたいだ。「魔力上昇」「高速詠唱」が必須スキルとして、次点で「魔力回復速度上昇」「各種属性強化」だった。
コメントから町の周りには弱点が違うリンクモンスターがいて、特定の属性のみ強化しても殲滅力が変わらないことがあるらしい。これは勉強になった。パーティは前衛2人後衛3人か、前衛3人後衛2人のどちらかが安定しているそうだが、前衛のみの5人パーティがいたという目撃証言もある。何でも『森の妖精』というクランのメンバーらしい。名前と全く合っていないのだがそれでいいのだろうか。
情報を集め、これからどうするかを考える。
まずはローブの新調。サラさんはギルドに入っているそうなので聞いてみるのも良さそうだ。安物でもいいので大体の値段が知りたい。それと回復アイテム。これはサラさんに素材を渡すことになっているので問題無し。となると、ハーブのあった洞窟付近を狩場にする方がいいな。シンさんはどうかわからないけど、一応そこを中心に狩ると伝えておこう。
すっかり夕食が遅くなってしまった。まぁ一人暮らしだから文句言う人間はいない。今から食べるのはコンビニで買ってきた弁当にミニうどんのつけ合わせだ。適当だがこれでも十分お腹は膨れる。食べ終わったら軽く掃除と夏休みの課題に取り掛かった。
確かにゲームも大事だが、一応学生の本分は勉強。今からログインしても2時間といったところだし微妙な時間だ。ならさっさと課題を済ませようと思う。もちろん2時間で終わるような量ではないのでこれからも空き時間でやっていかなければならないが。
翌日、午前中に買い物を済ませ、昼食を取ってすぐログインする。
フレンドを確認すると二人ともログインしていた。サラさんはいつログアウトしているのだろう。まぁ人それぞれか。
サラさんに会いにいつもの場所へ行くと、笑顔で出迎えてくれた。外面は素敵なお姉さんなのになぁ。
ユニコーンは未確認情報に載っていたと伝えると、しばらく情報が更新されるまで気にしない方がいいと言われた。そしてトレードが申請される。
「かなりの量が売れたからね。じゃあ代金と、ついでにポーションだよ」
1500パールにライフポーションとマナポーションを5本ずつ渡された。これはありがたい。
「ありがとうございます。魔力回復は休憩するしかなかったので助かりますよ」
「魔道師ならマナポはいつも持っておかなきゃね。戦士と違ってリポDがいらないんだし」
はて? リポDとな? 元気になる液体なんて売ってたっけ?
「あ、リポDってのはスタミナポーションのことね。名前長いし効果が似てるからみんなそう呼ぶの」
なるほど。確かにわかりやすい。スタミナ消費が激しいから大変そうだな。
そうだ、ローブのことも聞きたいんだった。
「ローブが欲しいんですけど、店売りのアイテムと職人プレイヤーの作るものとじゃどっちがいいんでしょう?」
金が余ってるというわけでもないし、適当に買うって選択はできないからな。
「店で買うのはやめておいた方がいいよ。欲しい色が無いこともあるし何よりも高い。職人は素材さえ渡せばかなり安くしてもらえるからね」
知り合いに織物スキルを持った人がいるそうなので聞いてくれることになった。
返事はすぐ来たようで、素材は洞窟の入り口にいたモンスターなどが落とす布切れが15個、染色する場合は各色の顔料が必要になるそうだ。
「赤が欲しいんだったね。赤色の材料は……草原に生えてる赤い花じゃなかったかな。持ってきたら作ってあげるよ」
顔料は調合スキルを持った職人が作るらしい。俺もそのうち職人スキルを覚えた方が良いかもしれないな。
「わかりました。その時はお願いします。ではちょっと行ってきますね」
気をつけてね、と送り出された俺は外に出る前にシンさんにメールを送る。2人なら狩り効率も上がるしスキルの成長もさせやすいと思ったからだ。
東門で待つと書かれた返事が届き、合流するため東門に急ぐ。
「おう。元気してたか」
門ではツンツン頭がぶんぶんと手を振っていた。
「おかげさまで。ちょっとレベル上げと金策をやりたいので一緒に行きませんか?」
「そうだな。俺も金が欲しいし。そろそろ防具の良いのが欲しいんだよ」
お互いに目的が一致ということで人型モンスターを中心に狩りをすることに決める。ドロップは全て公平に分けることにし、採集は自由にということになった。
「赤いローブかぁ。お前は炎をよく使うし、似合うと思うぜ」
「なのでここの花もいるんですよねぇ」
ドロップを拾いながらそんな会話を交わす。
シンさんは金属素材が欲しいそうだが、たまにギルドから頼まれる護衛クエストでしか手に入らないそうで、後は店で買うしかないためずっと貯金をしているという。
「次の町が開放されたらまた変わるかもしれないんだよなぁ。誰でもいいからさっさと開放してくれねぇかな」
ぐだぐだとおしゃべりをしながらも、俺たちはモンスターを討伐していった。




