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世界の隣人 -Another World-  作者: タンス
第2章 冒険者の町ソフィア
16/46

ジャンルをファンタジーに変更しました。

科学技術の話とか全然出てこないですし……

「黒いユニコーンねぇ……」


 俺は露店を客の相手をしていたサラさんを見つけ、時間をもらって洞窟での出来事を話した。


「よく道は覚えていないんですけど、広場にハーブが一面に生えていて、真ん中に石が置いてありました。そこでユニコーンに攻撃されて町に戻ってきたんです。サラお姉さんも知らないなら攻略サイトを探すしか無さそうですね」


 約束は約束なので「お姉さん」を名前の後につける。しかし、にやけると思っていたサラさんは表情を崩した様子は無い。


「私も情報通ってわけじゃないからね。せいぜい、買い物に来たプレイヤーから話を聞くくらいだし。生産プレイヤーに期待しちゃダメだよ。でも……もしかしたら次の町に行くためのイベントなのかもね」


「次の町、ですか?」


「うん。実は、この町からはどこの町とか村にも行けないんだ。何でもポータルの魔力が枯渇したとかなんとか。当然、徒歩で探そうとしたプレイヤーもいたけど途中の道が崩れていたり、見えない障壁に阻まれたそうだよ。みんな進むためのイベント探しで大変みたい」


 なるほど。ならあのユニコーンを倒せば……。いや、倒すところなんて想像つかない。一撃死なんてバランス崩壊もいいとこだ。……一撃死? 負けイベントじゃないか? もしそうなら他に何かあるはず。だがまだ誰も見つけていないのならユニコーンを倒すしか……?

 

 頭の中でぐるぐると考えが駆け巡る。お互いに無言のまま、しばらく時間が過ぎた。


「まぁここで考え込んでても変わらないさ。ログアウトして情報を書き込んでみたらどうかな? もしかしたらそのイベントが関係しているかもしれないからね」


 言われたとおりログアウトしようとして、思いとどまる。もう1つ目的があったんだった。


「あ、これ素材です。とりあえず見つけたハーブは片っ端から持ってきました」


 インベントリから山盛りのハーブを取り出す。サラさんの前にはハーブの小山ができ、目を数度、瞬かせている。


「うわぁ。これはまた大量に持ってきたね。在庫がかなり増えそうだ。代金は少し待って欲しい。この量を一度に払ってしまったら私が文無しになりそうだよ」


 サラさんが苦笑いをしている。さすがに採り過ぎたかも。生産スキルを持ってないから必要な量がわからなかった。そういえばスキルの取得もやっておかないとな。戻るのはスキル屋に行ってからにしよう。


「あ、後で大丈夫です。今からちょっとスキルを見てきてそれからログアウトするので。今度会った時にお願いします」


 助かるよ、と見送ってくれたサラさんに頭を下げ、俺はスキル屋に向かう。職業によって行く店が違い、生産スキルはまた独立して扱っているそうだ。4軒の店があるが、実際にお世話になるのは2軒だけになる。まずは魔道師スキルを扱う店に入ることにした。


 現在のスキルは魔法が2種類のみ。しかもお互いに反発する属性のため、もう1つ別の種類が欲しい。見たところ、残りの属性は雷魔法だけのようだ。


「スキルは雷魔法と……魔力上昇だな」


 魔力の底上げをすれば、結果的に火力の上昇が見込める。魔力の自然回復力を上げるスキルもあって迷ったが、殲滅力をとってみた。ちなみにこの2つで3234パール。いやなんだこの値段。確か雷魔法が2000パールに魔力上昇が1300だったはず。


「そういえば称号見てなかった」


 ステータスから称号の確認をする。『期待の新人』の効果にこの値段の正体があるかもしれない。



 現在の称号:期待の新人

 

 ・売買時に2%のボーナス

 


 やっぱりか。じゃああの枝売った時も、と考えたが桁が違った。さすがに12パールにはボーナスの効果は出なかったんだろう。

 店主に代金を渡し、ステータス画面でスキルを装備した。水魔法を外すことも考えたが水が弱点のモンスターがいるかもしれない。攻撃手段を減らすのはやめておこう。


「お客さん。スキル強化はしていかないんで?」


 色白のひょろ長い店主から声をかけられる。意外と声は渋いな。


「強化?」


「はい。見たところ炎魔法の強化可能ですな。代金は294パールですのでご一考を」


 スキルは使ったら勝手にレベルが上がっていくものと思ってたよ。ここで強化しない限りずっと最初のままか。宿屋に泊まらないとレベルが上がらないゲームを思い出してしまうな。


「じゃあ強化します。ほいお金」


 294パールを渡す。2%ボーナスで端数出まくりだな。ぴったりとした数字が好きなんだけど、お金だから少しでも安くあるべきだ。

 代金を受け取った店主から飴玉のような物を手渡された。


「これを飲んでいただければすぐに強化できますんで。ではこれで」


 体を揺らしながらひひっと不気味な笑い声を出している。なんか微妙な人だ。だがスキル強化、つまりはレベルアップ。成長したのが目に見えるのはモチベーション上がるな。まずはあれを飲み込んで、と……。


「用が済んだなら退店を。ここは私の家ですからな」


 店主からありがたいお言葉を頂いた。しょうがない、どこか適当な所を探すか。

 

 少し行った十字路にあるベンチに座り、さっきの飴玉らしき物を口に入れた。ふんわりとほのかな甘さが口に広がる。そしてすぐに溶けてなくなってしまった。


「これで終わり? とりあえずステータス確認っと」


 ステータス画面を表示する。そこには少し変わった情報が映し出された。



 ・ケイスケ

 ・職業:魔道師

 ・称号:期待の新人

 ・スキル:炎魔法Lv2+1・水魔法Lv1・雷魔法Lv1・魔力上昇

 ・装備:一角獣の杖(炎+1・炎魔法詠唱破棄)・布のローブ・一角獣のミトン・布のズボン・革の靴



「おー。ちゃんとレベル上がってるな。どんどん魔道師って感じがしてきた。あとはローブだけど絶対足りないよなぁ」


 今の手持ちは300パールも無い。これでは今日の宿泊代で綺麗さっぱり無くなってしまう。ログアウトすれば泊まる必要もないし、サラさんに素材の代金をもらうまで待つか。もう日も暮れてきているし外に出るのは危ない。もしアクティブモンスター、――見つけ次第襲い掛かかってくるモンスターがいた場合、お世辞にも防御力の高いと言えない魔道師では死んでしまう可能性がある。


「ログアウトしよう。サラさんにメールだけしとくか」


 今からログアウトするとだけ書いたメールを送り、ボタンを押す。そして現実世界に戻っていった。

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