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リンと鬼  作者: すすす
旅時期
7/16

07:やまんば

 さて、私は、鬼の鹿角(しかづの)さんと旅は道連れ世は情け。

 渡る世間は鬼ばかり、ア、いえ。正式には鬼はない。


 前略、鬼の村に残してきたねえさん達、事件です。

 いま私は、逆さまに宙づりにされているわけで、頭に血が上るわけで……。


 やはり渡る世間は鬼ばかり、なのでしょうか。


 今日の昼間のことです。

 私と鹿角さんは、人里離れた山の中に、ぽつんと建ってる一軒家を見つけました。

 日暮れも近かったので、そのお宅に、一夜のお宿を求めました。

 一人暮らしのおばあさんは、人なつっこい微笑みで、私と鹿角さんを、快く迎えいれて下さったのです。

 代わりに私たちは、お年寄りの一人暮らしでご不便されてる、家の手伝いをします。

 そうして日も暮れて、草木も眠りについた頃。


 シャー コン シャー コン シャー


 耳元で刃物をとぐ音がして、私は目が覚めたのです。






 逆さの視界。それに、足首と手首の痛みです。

 なんと私は、手と足を縄で縛られて、天井の(はり)から、逆さにつるされていたのです。


 目に入るのは、囲炉裏と、湯をはった大釜。出刃包丁と砥石(といし)です。

 あら大変なごちそうの支度ですね。


 おばあさんは昼間の面影とはうってかわり、白髪は乱れ、着物から見える腕は土気色。

 瞳は、真っ黄色で血走っています。

 出刃包丁の手入れに満足がいって、ニタリと笑った口からは、黄色い牙がのぞきました。


 おばあさんは山姥(やまんば)だったのです。

 ヒイイ。私は一呼吸置いて、悲鳴を上げようとしました。


「フカァ、」


 やだ、変な声になってしまいました。

 私さるぐつわを噛まされています。失敗失敗。なにが。山深い所で一軒家を構える怪しいおばあさんに、お宿を求めた事が。


「おや、目が覚めたのかい。ヒッヒッヒッ、いいね。怖がらせた方が、肉が美味しくなるんだよ。」


 ねるねる的な笑い声を上げるおばあさん。練れば練るほどならぬ、怖がらせるほどって所です。

 鬼の村にお世話になって、幾星霜(いくせいそう)。最近はおかげさまで、お肉も付いてきました。


「もうちょっと太らせてからと思ったけどね。久しぶりのごちそうだから、我慢できなくて。フフフ、白い足だね。」


 おばあさんは節くれ立った冷たい手で、私のふくらはぎをなでました。

 それは、食べ頃を見定める手つきです。

 家畜か畑の野菜になった気分です。

 よく見えませんが、私は逆さの宙づりになっていて、着物のすそがめくれているんですね。はしたないです。


 私も食べるために、生き物を「頂いた」事がありますから、これからおこる出来事には想像がつきます。

 私はやまんばさんの(かて)になるんですね。

 しかしハイそうですか、とは言えません。できるものなら死にたくはないものです。


 私はもがいて梁をミシミシと言わせましたが、やまんばさんを嬉しがらせただけでした。


「オヤオヤ、生きがいいねぇひひひ。」


「……。」


 逆に私の足首が痛みました。荒縄から血が出そうです。

 さて鹿角さんはこんな時にどうしているのかというと、こっちのお家に大きな体が入らなかったので、納屋の方でお休みになっています。

 ちょっと離れているので、こちらの騒ぎは聞こえないでしょう。

 そして明日、私がいなくなったら、やまんばさんが「アァ、娘さんなら一足先に出てゆかれましたよ。」とか言っちゃえば、ごまかされちゃいます。


 私の人生これまででしょうか。

 まだ、渦巻き海峡も、三角巨大墓も、火ネズミの衣も見てないのに……。


「……。」


 シャー コン シャー コン


「……。」


 シャー コン シャー コン






 ――私は、カッと目を見開きました。


 そうです。まだアレもコレもソレもドレも見てないのに、死ねますか!

 やまんばさんが大釜の湯加減を見ているすきに、私は腹筋と柔軟を生かして、体を二つに折りたたみます。

 腹筋をする要領です。

 逆さまにぶら下がって、後ろ手に縛られているので、ちょっと苦しいです。

 両ひざを使って、さるぐつわを外そうとします。

 なかなかうまくいきません。


 と言う所で、みしみしいってるこちらを振り向いたやまんばさんと、奇っ怪なポーズをとってる私。

 目が合ってしまいました。


「なにをしているんだい? あまり暴れると、縄がほどけてしまうじゃないか。ちょっと早いけど、さきに血を抜いておこうかね。」


「…………。」


 やまんばさんは、慣れた手つきで、私の頸動脈に出刃包丁をあてがいます。

 私は、命が終わる恐怖に、さすがに震えました。


「ヒェッヒェッヒェッ。いいねえ、人間の泣き顔ってのは。我慢できないねえ。少し味見をしようか。」


 やまんばさんは、黄色い牙によだれを滴らせて、私のどっかをかじろうとします。その牙、痛そうですね。






「我慢がどうしたって。」


 その轟音と声は、鹿角さん!

 私とやまんばさんは、同時に、玄関を振り返りました。


 出入り口を壊して、木戸が崩れる音。その轟音と共に、鹿角さんが無理矢理、やまんばさんのお家に入ってきました。


「山姥、それくらいで我慢とは片腹痛い。」


 鹿角さん……。鬼の村では番頭さんだったので、ご苦労されたのですね……。

 私は、安心感と恐怖と感慨が入り交じって、涙を一つ、ポロリとこぼしました。


 ポロリといえば、私のえり元は大丈夫でしょうか……。

 着崩れしていたらはしたないです。こんな時にそんなこと気にするのも何ですが……。


 鹿角さんは木戸を壊すのに、外にあったナタを、片手に持っています。

 その重さを確かめるように、ヒュッ、と一振りします。

 私の足の長さくらいある、立派なナタですが、鹿角さんの体格と比べると、少し華奢なようです。


 どう見ても、やまんばさんが食べそうにない、鬼の鹿角さん。

 その鹿角さんの乱入に、やまんばさんは、獲物を横取られる獣の動きで、臨戦態勢に入りました。


「おやおや。眠り薬入りの粥は効かなかったのかね、おかしいね。」


「おかしいのはお前の納屋だ。双頭のムカデやら、大蛇や大クモがいるゲテモノ屋敷で、眠れもせぬわ。しかし人の頭蓋骨のオブジェはよかった。褒めてやろう。」


「気に入ったのなら、一つあげるよ。右から6つめのがオススメだよ。味も良かった。」


 なにやら悪趣味な交渉をしながら、鹿角さんとやまんばさんは、じりじりと、お互いの距離を測ります。


 ……納屋に頭蓋骨って、明らかに今までの犠牲者さんですよね。

 鹿角さん、それを見て何も思わなかったのですか。本当に飾りだと思ったのですか。


 私の疑念をよそに、先に仕掛けたのは、やまんばさんです。

 やまんばさんは、研ぎたての出刃包丁を振り上げて、鹿角さんの首に飛びつきます。






 鹿角さんのナタと、やまんばさんの出刃包丁の戦いです。


 やまんばさんは流石女性。絶妙な包丁さばきです。

 一方、鹿角さんは力押しです。やまんばさんの出刃包丁を、強くたたき返しました。


 やまんばさんは、圧倒的に体重(ウェイト)が足りない。

 しかし素早い身のこなしで、たたきつけられた壁から、カサカサと体制を整えます。

 四つんばいで重力に逆らって、ちょっと怖いです。


 その時、懲りずにうごめいていた私が、梁から落っこちました。

 縄がほどけました。肩から板間に落ちてちょっと痛いです。


「リン!」


 鹿角さんが私をたぐり寄せます。

 見事に板間を引きずられました。カーリングになった気分です。


 鹿角さんはナタで、私の手首足首に縛られた荒縄を、切ってくれました。


 ナタ凄い。一刀両断です。間違えて私の手足も一緒に切断されたら、どうしようかと思いました勢いです。

 さるぐつわは自分でほどけます。

 その隙を狙うやまんばさん。

 壁から跳躍します。さっきから、人間の動きではない素早さです。


「ヒヒヒーッ。」


「やかましい!」


 鹿角さんは、煮えたぎった湯釜を、やまんばさんに向かって投げつけます。


 熱湯を受けるやまんばさん。蒸気がジュワアアッと音を上げます。

 やまんばさんは悲鳴を上げながら、焼けた顔を、両手で押さえました。


 敵に対してとはいえ、何とむごい仕打ち……!


 床も、あとからお掃除が大変です。

 鹿角さんはやまんばさんがひるんだ隙に、やまんばさんの出刃包丁を奪います。

 壁にやまんばさんの腕を縫いつけました。


 ッダン ゴリュブシャ


「グアッ。」


 鬼。鹿角さん鬼です。鬼ですけど。

 私は、血のり的な意味で鮮やかなその光景を、ただ呆然と見るだけでした。

 鹿角さんは、やまんばさんを壁に固定したあと、やまんばさんの悲鳴を聞き終わらない内に、私を持って、やまんばさんの家から離脱します。


 しかし脱出の間際、私は見たのです。

 やまんばさんは即座に、自分の腕から出刃包丁を引き抜き、私たちを追って来たのを。


「やまんばさんが追ってくまっ。」


 私は、鹿角さんに不明瞭に報告をします。

 山道で足場が悪く、舌を噛みそうです。とりあえずセリフを噛みました。


 やまんばさんは四つんばいになり、カサカサカッと、人智を超えた早さで山道を走ります。

 なんでしょうね……。人間ありえない早さで、なめらかに自分に迫るモノを見ると、恐怖を覚えるのですね。


 思わず鹿角さんを掴む手に、力がこもります。

 すみません。絶対に落とさないで下さい! 運んで頂いてる身ですみませんけどもすみません!


 昔話のように三枚のおふだもないのに、はたして私たちは、やまんばさんから逃げ切れるのでしょうか。


 私は後ろ向きに、鹿角さんの肩に担がれて、バックミラーのように鹿角さんの後ろを見ています。

 やまんばさんにとっては歩き慣れた傾斜のようで、徐々に距離は縮んでいきます。

 その距離が縮むごとに、私は腕に力を込めます。


 すると鹿角さんの走る速さが、ますます落ちていきます。

 なぜですか。私が腕に力を込めすぎて、苦しませてしまいましたか。そんなまさか、私の腕力ごときで、いえしかし。


「鹿角さん、やまんばさんがキャアッ。」


 やまんばさんが飛びました。

 下り坂の勢いを生かして、猿のように身軽に飛びかかってきます。


 私は思わず、やまんばさんとバッチリ目が合ってしまいます。


 やまんばさんの目は、狩りと痛みで高揚した、人ならざる目でした。見なきゃよかった。怒濤の後悔です。

 すんでの所で、やまんばさんを避ける鹿角さん。

 やまんばさんの高い跳躍を、逆に、体勢を低くとり避けた形でした。


 再び、ジリリと対峙するふたり。


 鹿角さんは、即座に勝負を付けます。

 相手の呼吸をついて、やまんばさんの長い白髪を、今度は自分のナタで木に縫いつけます。


 さっきの壁の時よりも、深く刻みます。


 動きを封じられたやまんばさんは、鹿角さんに罵声を浴びせます。

 その罵声は、どうやら下ネタのようです。

 詳しくは解読できませんが。ねえさん方がいたら、むしろ、もう聞きたくないってくらい説明してくれるのですが……。

 鹿角さんは、無言でやまんばさんから出刃包丁を奪い、ナタと同様に、白髪を巻き込ませて、木に縫いつけました。

 若干、さっきより力が入ってます。


 ガツッ


 あとから気が付いたのですが、その勢いがあれば、やまんばさんの首をはねてしまえそうです。

 しかし鹿角さんによると、やまんばさんというのは、首を斬っても、動きは止まらないのだそうです。

 首無しで追ってくるやまんばさんの様子を、想像してしまいました。

 それはあかんです。






 ともあれ、やまんばさんを足止めして、鹿角さんは私を持って、山を下りたのでした。


 目の前で行われていた、妖怪ファイトの恐怖や興奮が、やっと、少しずつ冷めてきました。

 てくてくと歩く鹿角さんの、枯れ草のようなたてがみが、後ろに流れていくのを眺めます。


 そういえば、鹿角さんにも血が通っているのですね。

 肌の色から連想される、鉄のような感触ではなく、思ったよりも暖かなのですね。

 などとほっこり思っていると、ほとほと、と涙が出てきました。


 私は無力です……。鹿角さんがいなければ、あっさり死んでいました。

 カンフー好きのおねえさんから、ちょっと護身術を教えて貰いましたけど、出会い頭とか痴漢撃退レベルなのです。

 武器も心得ていない、女の一人旅というのはこんな物なのですね。……情けないです。


「た、助けてくれてありがとうございました……。」


 私は声を絞り出して、鹿角さんにお礼を言います。

 鹿角さんは、私の方を気にしながら、少し非難するように言います。


「なぜ助けを呼ばなかった。」


 助けていただいてなんですが、お説教の流れですか……。


「えーと、さるぐつわを噛んでいて、喋れませんでした……。」

「喋れなくても、そこは何とかひとつ。」


 なぜ、鹿角さんが頼み込む形ですか。頼まれてるのか叱られてるのか分からないです。

 私は落ち武者のようにがっくりとうなだれました。


「……こ、今度からそうします。すみません。」

「いつおれの名を呼ぶか見ていたのだが、」

「えっ?」

「いや助けに入るタイミングを見ていたのだが、きっとリンは、一人でもどうにかして逃げ出せていた。」


 アレいま、見ていたとか、ちょっと人でなしな行動を言われた気がします。気のせいですか。


「……そんなさすがに一人では。生きてる限りは善処しますけども。」

「縄はほどけかかっていたし、やまんばは非力だ。包丁を奪えれば、勝機はある。」


 私は、なんの指導を受けているのでしょうか。

 落ち込んだ気持ちが、現実的な指導への困惑と混ざります。


 アドバイスはありがたいのですが。

 鹿角さんに命を救って頂いたとはいえ、私は、首を切られていたら、いっかんの終わりでした。


 人間、死ぬ時はあっという間です。

 私はふと、もう会えない人たちを思い出して、淋しくなりました。

 鹿角さんに背負われているのが、情けなくなります。


「……一人で歩けます。」


 私は鹿角さんの肩の上で、もぞもぞと居心地悪そうに、うごめきます。

 落ちそうになったので、鹿角さんに強く押さえつけられました。


「履き物がない。それにもうすぐ麓に着くから。」


 鹿角さんは、そう言います。

 大体の荷物は、やまんばさんの所に置いてきてしまいました。

 換えの効く物ばかりでしたが、まだ使える物もありました。ちょっともったいないです……。

 まあ、自分の命の換えはないので、それどころではないのですが。

 鹿角さんは、自分の物はある程度、持ってきているようです。


 鹿角さんは、履き物がないと言いますが、山道をはだしで歩くくらい、何でもないです。

 落ち葉も雑草もあります。枯れ枝に気を付けてれば、やわらかいです。


 ……しかし、とりあえず、早く泣きやまなければ。


 そう思って顔を上げると、鹿角さんの言う通り、本当にもう、山の麓まで下りていました。






 山の麓には、民家が連なり、店も宿も数件あるようです。

 またすぐに、旅装を整えられそうです。


 しかし、今は夜も更け、どの家も固く雨戸を閉ざしていました。

 村の出入り口で、鹿角さんは私を降ろします。


「鬼の縄張りでもない、このような小さな村では、警戒されてしまうから。」


 しばらく別行動をとる旨を言います。

 私は了解して、鹿角さんにお辞儀をしながら、


「分かりました。ここまで背負ってくれて、ありがとうございました。――おやすみなさい。」


 ぽすん


 頭を持ち上げようとしたら、鹿角さんの手の平にぶち当たりました。なんという古典的ないたずらを。

 行き場を失った私の頭は、鹿角さんにつかまれます。


 私はもう、泣きやんでいます。

 鹿角さんの手のひらは、私の頭蓋骨をすっぽり包むのですね。握りつぶされそうで、ちょっと怖いですが。

 鹿角さんは、私の頭をぐるんぐるんと前後左右に揺らして、私の目を回そうとします。


 ――その時。


 私は、急に、昔の事を思い出したのです。

 ぐるんぐるん回されたのが、若干の催眠効果でもあったのでしょうか。

 数年前、私は、沼で溺れたことがありました。

 そのとき、私は確かに、どなたかに助けてもらったのです。


 飲んだ水を咳き込んでいる間に、そのかたは姿を消してしまいましたが……。

 助けて頂いたときも、この様なのっしりした手で、頭をなでられました。

 あれはなんだか、タヌキに化かされたような出来事でした……。

 私は確信めいた心持ちで、鹿角さんに問います。


「鹿角さん……。もしかして昔、沼で私を助けて下さいましたか?」


 鹿角さんの手がぎょっと固まります。

 顔を上げた私と、鹿角さんの目が合いました。


 鹿角さんの目は、相変わらず薄い色で瞳孔は小さくて、感情がよく分かりません。

 しかし、その目もよく見ると、独特な趣があるように、見えなくもありません。


「私、沼でどなたかに助けて頂いた事があるのですよ。」


「……。」


「その時、そのかたに、私が今度、養女に入る家の事で、注意を頂きました。それでなんとなく気を付けていたら、私は生き延びられたのです。」


「……。」


「鹿角さん。どうして目を背けるのですか。」


 不自然なまでに体をひねって目をそらす鹿角さん。

 追う私も、物凄く体をひねります。前衛的なダンスのようです。


「あの時、助けてくれたのは、水神さまかと思っていたのですが、もしかして鹿角さんだったのですか?」


「そんな昔の事など覚えてない。」


「…………。」


 鬼というのは、人間よりも長く生きるので、物忘れが激しいのかもしれません。


「鹿角さん。助けて頂いて、本当にありがとうございました。」


 私はもう一度、お礼を言いました。

 ちゃんと、鹿角さんの目を見て言えました。


「……。」


 鹿角さんは私の頭をなでて、私は赤べこのように頭を上下しました。軽い脳しんとうを起こしそうです。

 そういうふうに私が目を回している内に、気が付いたら鹿角さんは、沼の時みたいに、姿を消していました。






「……。」


 鹿角さんって、もしかして……。ものすごく良い人なのかもしれない。

 私は感動にも似た心持ちで、鹿角さんの消えていったらしき林を見つめます。

 しばらく立ちつくしていました。

 頭をシャッフルされたので、ちょっと酔っぱらいました。


 ちなみに、やまんばさん最寄りのこの村は、深夜にたずねてきた不審な旅人に対して、なかなか雨戸を開けてくれなかったのは蛇足です。


 渡る世間は鬼ばかり、ア、いえ。正式には鬼はない……。


 よくわからないのですが、鹿角さんは、とてもいい人のようです。






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