好きな女の子に告白したいので、お金儲けに走ることにした
俺には好きな女の子がいる。
なので告白しようと思った。
どんなふうに告白しよう。
頑張って色々計画を考えたけど、どうにもしっくりこない。
俺は貴族で、相手も貴族。
身分に問題はない。
でも、不安だ。
俺には目を引くようなかっこいい顔もないし、特別な技能なんてない。
普通の人間なのだから。
なので、とりあえずお金持ちになる事にした。
お金は大事だ。
愛さえあれば何でもできるなんて綺麗事。
何かあってもお金があれば、ある程度の事は解決できる。
だから、もっとお金持ちになろうと頑張った。
鉱山の場所を探し当てようとしたり、商売をはじめてみたり。
特別な力も秀でた長所もないから、増えたのは微々たる資金だった。
けれど、少しうれしくなった。
自分が少し強くなった気がしたのだ。
なんて事をいったら、友達にあきれられた。
そんな事をしている暇があったら、幼馴染にとっとと告白しろと。
幼馴染は可愛い。
可憐だ。
見た目もばっちり好みだし、性格もいいし、一緒にいて楽しい。
そんな幼馴染は恋愛に興味がないようで、男性に言い寄られても断り続けている。
だから、告白を急がなくてもいいと思っていた。
なのに、俺の誕生日のある日、彼女はどこかの男と婚約した。
友達の言葉を素直に聞いとけばよかったと、あれほど後悔した日はない。
俺は泣いて、泣いて、泣きまくった。
でも、数か月後に政略結婚だと知って安心した。
幼馴染には何か目的があるらしく、婚約したのは相手と利害が一致したかららしい。
俺は安心した。物凄く安心して、夢で幼馴染と結婚しているところを見たくらいだ。
さらに、安心した勢いで、金儲けに走ろうとしたらさすがに友達に止められた。
ここは告白するところだろ、と訳の分からない事をいってくる。
婚約を発表したときの彼女の視線はお前に向いていたぞ、ともいってくる。
それはつまり、どういうことだ。
といえば、鈍感がいる、という目をされた。
もっとお金儲けをして、世界一の富豪になろう。
そうすれば告白しても、断られる事はないはず。
お金もうけをやめることができなくなった。
だって、俺は自信がないのだから。
チキン野郎の弱虫なのだから。
でも、どうしようもない。
自分では自分の性格は変えられないのだから。
というわけでお金儲けを続けていたら、幼馴染が病院に通うようになった。
俺はあせった。
世界中の病気の特効薬開発に、もうけたお金をつぎ込もうと考えたくらいに。
幼馴染は、何か不治の病にかかっているのではないだろうか。
不治の病は、お金がいくらあってもどうにもできない。
このまま死んでしまったらどうしよう。
お金で物事を解決しようとしたら、お金ではどうしようもできない壁にぶちあたった。
俺は、どうすれないいのかうだうだ悩んでしまった。
けれど、ともだちに背中を蹴っ飛ばされて、ようやく告白の勇気を持つ事ができた。
幼馴染に告白したら、即OKをもらえて天に上る気持ちになったけれど、呆れられた。
どうやら幼馴染は病気になったわけではなく、怪我をしたいとこのお見舞いをしていただけらしい。
骨折なのでじっとしていればじきになおるそうだ。
でも、お見舞いって言える回数と頻度じゃなかったし、毎日いってたじゃん。
と言えば。
俺がいつまでたっても告白しないからだそうだ。
幼馴染と俺はどうやら両想いだったらしい。
男を立てる風潮があるから、俺が告白するのを待っていたけど、一向に告白してこない。
どころか、俺はお金ラブになってしまった。
ぜんぜんラブじゃないけど、幼馴染にはそう見えてしまった。
だから幼馴染はそれはもう、怒りに怒った。
それで、偽りの婚約をしたり、お見舞いの頻度を増やしたそうだ。
何という事だ。
俺は最初からまちがえてたらしい。
最初から勇気をもって告白していればこんなややこしい事には、遠回りをすることにはならなかっただろうに。
俺はお金と見つめ合うよりも、まず幼馴染をしっかり見つめなければいけなかったのだ。
そういうわけでおさまるべきところに収まった後は、幼馴染は偽りの関係を終了させた。
そして、俺と無事に婚約して結婚。
子供を数人もうけて、夢に何度も描いた幸せ家族になった。
でも、やっぱり告白前の事が尾を引いているらしくて、妻には頭が上がらないんだよな。
あと、金銭の管理は任せてもらえなくなったよ。とほほ。




