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65話の2 教皇の影のプロデューサー

教皇グレゴリオ。

歴代の教皇の中でも、稀に見るほどのカリスマを備えた男だ。


そして――

彼をこの玉座に据えたのが、私だ。


私はロドリコ。

若き教皇の後見人であり、影に立つプロデューサーである。


本音を言えば、教皇冠は私自身のものになるはずだった。

だが、教皇選挙は政治力だけで決まるものではない。私の派閥が大きくなると同時に敵も増えていったのだ。

結局、枢機卿達が選んだのは「映え」があるが、政治力のない若者だったのだ。

敵にならなそうな存在ならばということで妥協で選ばれた教皇だったはずなのだ。


若く、整った顔立ちで、声に力があり、祈りの所作が美しい聖職者――グレゴリオ。

その代わり、政治経験がなく敵もいない。


彼を前に出し、私は後ろに回った。

それだけの話だ。


ミサ、祝福、謁見。

すべては金額次第。

金額に応じて距離が変わる。目に見える形で待遇を変えるのだ。

信者はそれを「神との近さ」だと勘違いする。


特に女たちは熱心だった。

若く美しい教皇に、人生相談をし、涙を流し、金を落とす。

最近では、彼のミサに通うことを俗に「パパ活」と呼ぶらしい。


……くだらないが、実に効率的だ。


教皇ファンクラブ。その会員ナンバーワンが、マチルダ女伯である。


聖都近郊の領主。

人を惹きつける話術と、献金を正当化する才能を併せ持つ女。

彼女は領民から金を集め、それを「信仰」として我々に流し込む。


吸い上げる構造は完成している。

だが、私はそこで満足する気はなかった。


教皇になれぬなら、土地を得ればいい。

次の獲物はバームベルク領。


現当主ハインリヒには子がいない。

近い縁者もいない。

つまり、立場は強固に見えて、実は宙に浮いている。もし、彼が領主としての資格を失ったら……例えば破門されたらその領地はどうなる?


そこに、古文書がある。

「我が一族に万一あらば、教会を頼るべし」

バームベルク三代前の当主の名を冠した一通の文書。


真贋など、問題ではない。

教皇が正当と認めれば、それは歴史になる。


……もっとも、

それを“認めさせる段取り”を誤らなければ、だが。


私はマルコ大司教と話をつけ、

ハインリヒに破門予告を突きつけさせた。


さらに、巡礼の旅を妨害する役として、教皇ファンクラブを使う。

彼らは狂信的で、排他的で、命令に疑問を持たない。


「密命」という言葉に弱い。

秘密を与えられた人間は、自分を特別だと思い込む。


「教皇聖下は、バームベルク侯爵が破門に値するか、試すよう仰せだ」


そう言って、私はファンクラブナンバーワンことマチルダ女伯に伝えた。


「この件、あなたにしか頼めません」


人はこの言葉に抗えない。

特に、敬愛する存在からの言葉であれば。


「教皇聖下が……!お任せください、ナンバーゼロ。このマチルダ、必ずや御心に添えてみせます」


彼女の瞳は、陶酔で輝いていた。


忠実だ。

少なくとも、私の知る限りは。


人は皆、

自分が操っていると思っているうちは、安心できるものだ。


バームベルク。

豊かな土地。

実務も、財も、すでに形は見えている。


あとは、舞台に上がる役者が

自分の役割に、最後まで気づかないでいてくれればいい。

こんなくだらない物を読んでくださってありがとうございます。

是非是非感想など聞かせてください♪


いろんな人に読んで欲しいので⭐️評価などいただけると嬉しいです!

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