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第61話 ポエムを読むまで帰れません!

1話完結型なので気楽に読んでください!


◾️ディアブロ(バームベルク侯爵)

屋敷に来た侵入者(美女限定)を罠やモンスターを使って捕獲を楽しむ。悪魔伯爵と恐れられているが前世はオタク趣味のサラリーマン。表向きは隣で善良な領主をしている。


●エルザ

アシスタント兼ツッコミ。ディアブロの命を狙う刺客だったが、捕縛され悪趣味な遊びに付き合わされている可哀想な女性。金髪巨乳でお姉様系美女。


僕たちは聖都への巡礼の旅を続けている。


中継地の食堂でしばしの休憩。


「いやー。だからね。ちょっと聞いてよ〜」


旅先で出会ったオバチャン軍団と相席になったが、妙に話かけてくる。


「はあ。そうですか。では我々は先を急ぐので……」


「じゃ、最後。最後にこの話だけ聞いてほしいのよ」


もう、オバチャンの近所の猫がどうしたとか興味がない。

先を急ぎたいのだが……。


「まあまあ侯爵。旅先で人々と触れ合うのも巡礼者として徳を積むことにつながりますぞ」


大司教も引き止める。


結局、予定よりだいぶ遅れて中継地を出発した。


「ご主人様。そろそろ日が暮れます。このままでは山の中で夜を迎えそうです」


「今日は次の町まで到着するのは難しいかな」


「この先に女子修道院がありますぞ。そこで宿を借りましょう」


大司教が修道院への宿泊を勧めてくる。女子修道院とは……なんかイイね!

僕は乗り気で修道院に向かうことにした。


ーーーー


到着した僕たちを修道院長が出迎える。メガネをかけた若い女性。この年齢で修道院長というのは意外だった。


「旅路を歩む影よ。

靴裏に絡んだ日の暮れが、

まだ温かいなら、

この門はあなたを拒まない。」


「は?」

院長から歓迎されているんだろうけど、ちょっと意味がわからなかった。


「これは我々を歓迎してくれているのですよ」


大司教が通訳してくれている。


「そうなの?」


「聖都は間もなく、

風を束ねて言葉にする者たちが

空に詩を放つ日。

私たちは、その風を掴む練習をしています。」


修道院長がポエム風に何やら説明した。


「聖都で今度、ポエム大会が行われますので、それに向けて特訓していると言っています」


「え、その内容だったの?さっぱりわからん。

大司教、今回は頼りにさせてもらうよ」


「夜を宿りたいと願うなら、

あなたの胸にも灯をひとつ。

言葉という灯を。

それを読み上げるまで、

旅路はまだ眠っています。」


「宿を貸す代わりに詩の練習に付き合ってほしいということらしいです」(大司教)


結局、大司教に通訳してもらわないとダメだな。聖職者の世界ではこういうやりとりが普通なのか?


「まあ、詩の練習ですか……それくらいならば……」

僕は了承して、宿を借りることにした。


食堂では修道女たちがポエムで会話している。何を意味しているのかさっぱりわからない。ほとんど聞いたことがない外国語を聞いているような気分だ。


「皿の上で祈った実りは、

あなたの舌に祝福を渡しましたか?」


修道院長がにこやかに話しかける。


「食事はどうでしたか?と」(大司教)



「あ、はい。とても美味しく頂戴しました」


院長は大きなため息とともに詩を朗読する。


「――あなたの返す風、

詩の影が薄すぎて、

皿たちがすこし寂しがっています。

外の扉は、影が満ちるまで開きません。」


「きちんと詩で返していただきたいと言うのと、きちんとした詩を読めるまでは修道院の外には出せないのがルールだからと言っています」(大司教)


「え、ポエムができるまで帰れないの?

そ、それじゃあ。コホン!

えーっと……

皿の上の……えー……この、スープが……

僕の胃に……あったかい……感じを……

運んでくれて……

まるで……その……

給食……みたいでした……?」


静寂がその場を支配する。

非常に気まずい。

自分でもわかってる。これじゃないのは。


「言葉の河は、

いま浅瀬をさまよっています。

旅人よ、

その水音では、

実りたちの祈りは渡りません。」


「非常に評価が低いようです。“詩が浅い”と言っています」(大司教)


わかってるよ。そんなこと。

くそ!ポエムを読むまで帰れないのがここのルールだなんて。旅を急がないと破門されてしまう。ここに何日も滞在するわけにはいかない。

僕は焦った。


「詩を知らぬ足は、夜明けに凍る。

旅人よ、急ぐならなおさら詩を。

さもなくば、

あなたの旅路の続きは

この修道院の壁に吸われるでしょう。」


「ちゃんと詩を読まないと出発させてもらえないと言っています」(大司教)


くそ!なんだここのルールは!


「旅路の埃を

夜の羽根でそっと払ってください。

眠りは心の杯を満たす祈り。

明日の朝、

新しい詩があなたの舌に宿る頃

私たちは再び、言葉の食卓でお会いしましょう。」


「今日はとりあえず休んでください。明日の朝食のポエム会で判断しましょうという意味です」(大司教)


とりあえず寝かせないとか、そういうペナルティはなくて安心した。


ーーーー


「エルザどうしようか?」


「強行突破して、今夜にでも出発してはどうですか?」


「巡礼中のトラブルは避けたいんだよ」


「しかし、大司教ですが、何か裏があるような気がします」


「確かに、途中でもオバチャンの猫の話を聞かせようとしたし。この修道院がポエムを読めるまで帰さないのを知っていたのかも。なんか足止めさせるように仕向けているような気もするね」


「その線で探っておきます。ところで、この修道院をどうやって脱出するかですが……」


「うーん。ここはあいつを召喚しようかな」

僕はとあるモンスターを召喚した。


ーーーー


院長の執務室。夜中というのに院長は中にいて何かをしている。仕事なのか、ポエムづくりなのかは知らないが。


「お邪魔するわよ!」


騒がしくうちのモンスターが院長室の扉を開ける。

召喚したのはご存知クレームモンスター(オバチャン風)だ。


「月も眠る刻に、

閉ざした扉へ踏み出す影よ。

名を告げぬ風が、

この部屋に入る理由を問う」

(※意味:勝手に入らないで!あなた誰!?)


「は?何言っているかわからないわよ。だいたいね。言葉ってのは相手に通じないと意味がないの!わかる!?い・み・が・な・い!」


クレームモンスター、声がでかいな。


「言葉は光。

なのにあなたの耳は夜のまま。

どうしてその闇で、

詩の朝焼けを見ようとしないのです?」

(※意味:なんでポエムを理解できないの!?)


「何を言っているのかわからないんだけど、面白いね!」


なんかこのモンスター、色々と台無しにするな。


「粗き靴音が、

静寂の庭を踏みにじる。

風雅を知らぬ旅人よ、

礼節の影はどこへ置いてきた?」

(※意味:無礼者め!バカにするな!)


「だから、何を言ってるのかわからないのよ!でも、なんとなく悪口だってのはわかった!」


あ、悪口はわかるんだ。


「心に一輪の花なき者よ。

詩を笑うその唇は、

土よりも渇き、

水よりも遠い。」

(※意味:芸術を理解しないとか心が貧しいわね)



「だいたい、意味が通じないものを詩にするなんて表現者失格なんじゃないの?」


「表現者失格?」


お、ポエム風じゃなくなったぞ。


「そうよ。伝わらなければ意味がないじゃない。あんたの詩は仲間だけのポエムでしょ?世界中の人に伝わらなくていいの?」


「世界中に……」


「聖職者仲間でやる分にはそれでも良いかもしれないけど、一般庶民には通じないわよ」


「………」


「そこのところよく考えることね!」


ーーーー


翌日、食堂に顔を出すと、院長と話をする。


「昨日、神の啓示がありました。私たちは伝わりやすい詩を目指して頑張ります。表現者として、世界中にこの詩を届けるために」


意味がわかるぞ。言葉の意味がわかるだけでこんなに感動するなんて!

しかし、昨日のはクレームモンスターのクレームなんだが。クレームが神の啓示になっちゃったよ。


「そうですか」


「私たちは早速、新しい詩の形を探したいので、旅人の方には早めにご出発いただきたいのですが」


やった!詩を読む話が有耶無耶になったぞ!


「もちろんです。いやー、大変ですね。もし、詩集を出すのであれば、バームベルクで出版してください。待ってますから!」


こうして我々は謎のポエム修道院を脱出することに成功した。


ーーーー


「ご主人様。うまくいきましたね」


「クレームモンスター優秀だな。でも、モンスターのいうとおり。確かに伝わらないと意味がないもんな」


「言葉って難しいですね」


エルザの言葉にゴッツくんがうなずいているが、君はいまだに言葉を発してないよね?




こんなくだらない物を読んでくださってありがとうございます。

是非是非感想など聞かせてください♪


いろんな人に読んで欲しいので⭐️評価などいただけると嬉しいです!

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