第58話 ファッションリーダーの香水革命
◾️ディアブロ(バームベルク侯爵)
屋敷に来た侵入者(美女限定)を罠やモンスターを使って捕獲を楽しむ。悪魔伯爵と恐れられているが前世はオタク趣味のサラリーマン。表向きは隣で善良な領主をしている。
●エルザ
アシスタント兼ツッコミ。ディアブロの命を狙う刺客だったが、捕縛され悪趣味な遊びに付き合わされている可哀想な女性。金髪巨乳でお姉様系美女。
「伯爵。相談に乗って欲しいんだ」
ディアブロ邸お抱えのマッドサイエンティストこと発明ドワーフのウルバンが相談に来た。
「どうしたんだ?改まって」
「実はドワーフの里で仲の良かったエイビーと言う子がいるんだけど、相談にこって欲しいんだ」
「お前、友達いたんだ?」
「失礼しちゃうな。同じ時期にドワーフの里を家出しちゃった仲間なんだ」
「へえ。そうなんだ。で、悪魔伯爵に相談って?」
「エイビーは、服飾職人なんだけど、ファッションショーを開くらしいんだ」
「ふんふん」
「なんかね、モデルとトラブルがあるみたいで、僕に助けを求めてきたんだよ」
「あのなあ……うちは何でも屋じゃないんだぞ。トラブルの仲介はなんてのはやったこともないし。それ、ディアブロが解決するの無理じゃない?」
「いや、エイビーが言うには伯爵にお願いしたいんだって。伯爵なら上手く解決してくれるって言ってたけど、どこかで会ったこととかあるの?」
「エイビーなんて知らないぞ。服飾系ドワーフ……あ!」
「ご主人様。服飾職人に転職したドワーフといえば……」
「それに、名前がエイビー、エイビー、エビ!」
そう来たか。
「そのエイビーって服飾職人になる前は何をやってたか知ってるか?」
「え?ああ。ええと、確かエビの養殖の投資の営業をやってるった言ってたよ」
やっぱり。
「ご主人様。これって?」
「ああ。投資詐欺のドワーフだ。あいつエイビーって名前だったんだ」
※作者が名前を管理できないから基本的に1回だけのゲストの名前は出てきません。投資詐欺ドワーフは予定になかったのですが急遽登場です。
「まあ、エイビーは知っている。あったこともあるのはわかった。だけど揉めてる相手方はどうなんだ?」
「エイビーが言うにはディアブロ伯爵のおかげで人生が変わった人達らしいから」
「うーん。うちは何でも相談室とかじゃないんだけどなぁ。でもなんか気になるし……わかった。エイビー達を一度連れて来ていいぞ」
こうしてかつての投資詐欺ドワーフと再会することになった。
ーーーー
「お久しぶりです伯爵様」
かつて投資詐欺を働いていたドワーフのエイビー。今やバームベルク近辺では指折りの服飾職人として成功している。
「ところでどうしたんだ?何か頼みたいことって?」
エイビーは僕の顔をじっと見ていて、なかなか本題に入って来ない。
「あの……伯爵って普通に話すんですね」
え、そこ?
「ああ。この間はダンジョンボスとして登場したからね。あんな感じの迎撃モードの方がいい?今ならもれなく、あの時のクレームモンスターもついてくるけど」
エイビーは勢いよく顔を左右に振っている。よほどクレームモンスターは嫌な思い出らしい。
「それで本題なのですが、今度ファッションショーを開くことになりまして」
「おお。出世したな。で、何が問題なんだ?」
「ファッションショーのモデルに小劇団を起用しようとしたのですが、そこに問題が……」
「小劇団?」
「はい。バンディッツという女性をリーダーにした元山賊の5人組なんです」
あー、ひょっとして、あいつらか?
そんなことを思っていた時、扉が開く。
「ボッチ伯爵!久しぶり!」
やたらと熱血っぽい感じの声と汗臭い匂い。こいつらか!第8話に出てきた青春山賊団。
「ボッチ伯爵のおかげで山賊を辞めて、今ではファッションショーのモデルになっちまったよ!」
「ほれへ、まんだいというのは、ほのにおひかな?(それで、問題というのは、この匂いかな?)」
僕は思わず鼻をつまむ。エルザは耐えられなくて部屋の外に逃げていた。
「そうなんだ。バンディッツのメンバー。風呂に入らないから臭いんだ。ランウェイを歩くと臭いが会場に蔓延しちゃうから何とかしたいんだよ」
「ほひゅひんさま。これほ(ご主人様これを)」
エルザが消臭剤を持ってきた。
パシュッ!
さすが、ダンジョン専用アイテム。これで臭いがだいぶマシになった。
「ふー。ようやく普通に息ができる。それで、山賊団はなんで風呂に入らないんだ?」
「山賊はやめたけど、風呂キャンセルの自由までは捨ててないんだぜ!」
それ、威張って言うことか?
「なあ、エイビー。このバンディッツじゃなくて、別のモデルに頼んだら良いんじゃないのか?」
「今からじゃ間に合わないんだよ!彼女達の体型に合わせた服だから」
「なあ、バンディッツ。お前らはそこまで風呂に入らないのは何でなんだ?」
「深い意味はない!」
それ、威張っていうことか?(2回目)
「ご主人様。話が平行線のところ申し訳ありませんが、次の来客の予定があります」
「え、もうそんな時間?エイビーとバンディッツ。悪いけど、ちょっと来客の対応をするから、ちょっと待ってて」
「そんな、伯爵。このわからずやを説得してくれよ」
「そうだよ。ボッチ伯爵。風呂キャンセルする自由の大事さを理解させなきゃ」
どっちも主張を引っ込める様子はない。どっちがいいとも悪いとも言うような立場でもないけど、お互いの言い分を聞いていると、青春山賊団。お前らの言い分はこれっぽっちも理解できない。
「あのー。お邪魔でしたら出直しますが……」
来客が客間に顔を出した。マザコンエルフのフリントとミーナ。今日は何やらエルフの里の新しい特産品を持って来てくれると言ってくれたのだ。
「あ、大丈夫だから。どうせ大した話をしているわけじゃないし」
僕は二人のエルフを客間に招き入れる。
「伯爵!大した話じゃないことはないよ。こっちにとっては死活問題なんだけど!」
「そうだぞ!ぼっち伯爵!風呂キャンセルする権利は誰にも邪魔させない!」
風呂に入る・入らないだけで何でこんなに揉めてるんだ。
「ところで、バンディッツ。何で風呂入らないんだ?」
「え?それは……なんでだろう?」
おいおいおい。疑問形になっちゃったよ。どうせめんどくさいとかそういう大した理由じゃないんだろう?
「別に毎日入れと言っているわけではないんだから、ファッションショーの時くらい協力したらどうだ?」
「し、しかし……あ、そうだ。風呂に入らない方が病気に強いって、どっかで聞いたんだよ」
嘘だな。今思いつきで言ったろう。
前世の世界では垢を落とすとペストへの耐性が落ちるという迷信があったけど、間違った知識は正していかないと。
しかし、この連中、なんでそこまで頑ななんだろう。
「あのー。それ、今日、持ってきたあたらしい特産品にちょうど良いかもしれません?」
エルフのミーナが話を切り出す。フリント族長はとなりで頷いている。族長はマザコンは卒業しても喋らないんだな。
「これは?」
「花の香りを油に溶け込ませたものです。今まで香料は固形のワックス状のものでしたが、これは液体ですので、布などにも振りかけることができます」
なるほど。香水か。確かにこの世界にはまだ香水はなかった。
「おい!バンディッツ!お前達、この香水を服に振りかけろ」
青春山賊団は渋々といった感じで服に香水を振りかける。
「エイビーどうだ?」
「これ、悪くないね。だいぶ不快な臭いが軽減されて、花の香りがいい感じになっているよ。伯爵ありがとう!」
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その後、エイビーのファッションショーは大成功。特にバンディッツの風呂キャンセル体臭と香水の香りがなぜか観客の心を捉えたらしく、香水ブームが巻き起こることになった。
いや、風呂入ろうよ。
こんなくだらない物を読んでくださってありがとうございます。
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