番外編 用法・用量を守り正しくお使いください
私は魔女のジーン。
ホウキにまたがる魔女が長年悩んできた、お尻の問題(痔)を新薬(エリクサー痔用)を開発したおかげで注目を浴びるようになった。
そのおかげで、今年の魔女オブザイヤーにノミネートされ、研究資金の援助を各方面から受けられるようになった。だが課題はある。
エリクサー(お尻用)の量産体制が作れないのだ。
魔女がホウキに乗る以上、お尻の悩みは付きまとう。そのため、エリクサー(お尻用)の量産が待たれるのだが、どうにも量産には向かないのだ。そのため、ディアブロ領で細々とエリクサー(お尻用)を生産する傍ら、量産化に向けた研究も続けている。
「うーん。また失敗だわ」
量産化は難しい。効果が弱いと魔女の頑固な痔に効果がなく、強いとお尻に塗ると燃えるように熱くなり、激痛が走るのだ。
「今回は効果が強すぎるのかな。しかし、この失敗作、どうしようかしら」
研究室に積み上げられた失敗作の山。さすがに魔法薬なので、川に流すわけにもいかず、処分に困っていた。以前、川に魔法薬を不法投棄した魔女が訴えられていた。なんでも、川から足の生えた魚が出現したそうだ。
「植物にあげるとどうなるんだろう」
試しに、趣味の家庭菜園に水代わりとして与えることにした。ちなみに家庭菜園は、うまく収穫できたことはない。ディアブロ領は不毛な土地のため、家庭菜園すらうまくいかないのだ。できたのは糸のように細い大根とニンジン。さすがに魔法薬でもいきなり喋るニンジンとかはできないと思う。
「まあ、これで枯れかけた野菜が元気になったりしてね」
そんな感じでエリクサー(失敗作)を与えてみた。
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翌朝。自分の目を疑った。
ニンジンの家庭菜園が爆発的に豊作になっていた。
「エリクサーって植物の栄養剤になるんだ」
ちょっと驚いた。
問題はある。この大量のニンジンをどう処分するか。
一応成分を分析したところ、スーパーキャロットに進化していた。
「なんか、いつも家庭菜園を荒らしに来る野ウサギが妙にムキムキだったのは気のせいだろうか?」
そんな気になることがないわけではないが、自分が食べるのもちょっと嫌だなとは思っている。
「まあ、ウサギ獣人じゃなきゃただの栄養満点食材だし、ディアブロ伯爵にでもあげよう」
こうして、私はニンジン(スーパーキャロット)をディアブロ伯爵におすそ分けした。
その帰り、ホウキから地上を見ると……
「あれ、ウサギ獣人じゃない?」
ウサギの獣人がディアブロ邸の方に向かって歩いている。なんか疲れ果てている。きっとディアブロ邸で食料を分けてもらうように頼むつもりなんだろう。
「スーパーキャロットをあげるなら、用法・用量を守らないと大変なことになるって伝えないと……」
とは思ったものの、なんか面倒になった。それに、大量摂取しても死ぬことはないだろうし、どうなるのか興味があった。でも、今日は観察するのは疲れたので帰ることにしよう。
「まあ、後でどうなったのか、屋敷の人に聞いてみればいいっしょ」
そんな感じで家路についた。
ちなみに、後日ディアブロ伯爵からクレームを受けたのは言うまでもない。
こんなくだらない物を読んでくださってありがとうございます。
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