番外編 隠密名鑑
◾️ディアブロ(バームベルク侯爵)
屋敷に来た侵入者(美女限定)を罠やモンスターを使って捕獲を楽しむ。悪魔伯爵と恐れられているが前世はオタク趣味のサラリーマン。表向きは隣で善良な領主をしている。
●エルザ
アシスタント兼ツッコミ。ディアブロの命を狙う刺客だったが、捕縛され悪趣味な遊びに付き合わされている可哀想な女性。金髪巨乳でお姉様系美女。
第2皇子カールの元に送り込まれた侍女が、実は西の王国のスパイだった。
そんな事実に僕は密かにため息をついた。
この世界、本当にスパイ多すぎない?
隠密の派遣会社まであるし。
どんな治安なんだよ。
「そういえばエルザって、うちに来る前は隠密の派遣会社にいたんだよね?」
「はい。あの時は単発依頼でご主人様を狙いましたが、普段は王侯貴族のお抱え隠密として派遣されることが多いです。ご主人様みたいに隠密を正規雇用で雇う貴族は聞かないですね」
隠密が派遣社員主流というのにはちょっとした驚きなんだけど。
「派遣会社の同僚とかと顔を合わせることってあるの? ほら、襲撃先とかで」
ちょっと意地悪な質問をしてみた。
「普通にありますね。敵対貴族双方に派遣することは少ないですが……情勢はめまぐるしく変わりますから。“また会いましたね”みたいなことはよくあります」
「そういう時、どうするの? まさか同僚を手に掛けたりは……」
「そこまではしません。お互い実力は分かってますから、弱い方が身を引きます。
なので、闇の世界では実力ランキングは要チェックなんですよ」
実力ランキング。なんか急にスポーツみたいな雰囲気が出てきたな。
「へえ、うまくやってるんだねえ。てっきり“スパイ死すべし”とか“死して屍拾うものなし”とかだと思ってた」
「そんなのは昔の話です。この業界も“安全で明るい職場です”って言っておかないと、新卒が入ってこなくなりますから」
隠密業界も人手不足……世知辛い。
「で、そのランキングってどうやって知るの? 気になるんだけど」
エルザはコクリとうなずき、一冊の本を取り出した。
“隠密名鑑 最新版(期待の新人特集号)”
帯が巻かれていて、「急成長しているあの隠密は今!?」とか、よく分からないコピーが踊っている。
「これが帝国の今年の主な隠密の一覧です。有名になると、依頼人も実力を把握しやすいので仕事が増えるんですよ。私も現役の時は載っていました」
ふーん。まあ隠密同士のルールみたいなものかな。それにしても……
「有名な隠密って、もう隠密じゃなくない?」
「ご安心ください。この本は業界の内輪にしか出回りません」
ページを開くと、各隠密の手配写真風のイラスト(なんで笑顔なんだ)が掲載され、
特技欄には「毒見」「高速着替え」「拷問」とかそれっぽいものから、「遠距離恋愛の経験あり」「毒入り料理で彼氏をマインドコントロール」など、どういう基準なんだよという情報が並んでいた。
……隠密とは一体?
こんなくだらない物を読んでくださってありがとうございます。
とても暇な方ですか?どうせ暇なら、ついでに感想など聞かせてください♪




