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第51話 魔王軍強襲突撃隊

◾️ディアブロ(バームベルク侯爵)

屋敷に来た侵入者(美女限定)を罠やモンスターを使って捕獲を楽しむ。悪魔伯爵と恐れられているが前世はオタク趣味のサラリーマン。表向きは隣で善良な領主をしている。


●エルザ

アシスタント兼ツッコミ。ディアブロの命を狙う刺客だったが、捕縛され悪趣味な遊びに付き合わされている可哀想な女性。金髪巨乳でお姉様系美女。


私はシャラ。魔王軍強襲突撃隊の隊長。

つまり、突撃して、ぶっ壊して、勝つ。それだけを仕事にしてる女だ。

元々は海軍にいた。エビ系水棲魔族として潜航戦闘と船中での白兵戦を得意にしてたが、ある日、試験的に導入された魔導石像(MS)の操縦で才能が開花した。

以来、私は“紅い水棲”と呼ばれるエースパイロットになった。


「シャラ少佐。魔王様がお呼びです」


呼び出しか。まあ、珍しい話でもない。魔王様は戦略を机上で語るより、現場に直接命令を下すタイプだ。


「わかった。準備しておけ。……すぐ行く」


私は軍服を整え、魔王様の御前に出る準備をする。そして仮面のマスク。魔王様の前ではまだ外すわけにはいかない。


ーーーー


「強襲突撃隊隊長、シャラ少佐。参上しました」


「来たか、シャラ」


玉座の間には魔王様の低く響く声。

玉座の横、例によって不機嫌そうなルナが立っている……と思ったがいなかった。


「ああ。ルナか。ルナは前の戦闘の傷を癒しに療養中だ」


「聞いていると思うが、私のルナが帝国のディアブロというチンケな伯爵に酷い目にあってな」


噂は聞いている。なんでも汗臭い匂いが止まらないんだとか。

あの女――魔王様の“お気に入り”で、裏工作担当の参謀。いつも魔王様の横で偉そうにしていたから気に食わなかったんだ。いい気味だ。


「そのディアブロというやつの領地を威力偵察してほしいのだ」


しかし、やっぱりそう来たか。

ルナのプライドがまた傷ついたらしい。あの完璧主義者の女にしては、ずいぶんと人間臭い理由だ。


「ディアブロ……ですか?」


名前だけは知ってる。

領民ゼロ、謎のダンジョン屋敷を構える変態貴族。誰かが攻め込むたび、謎の罠で返り討ちにするって噂の男だ。


「ルナによれば、貴族としての力は皆無だが……我らの脅威となる男らしい」


脅威?

あんな田舎貴族が? ……笑わせる。

ルナもとうとうおかしくなっちまったのか?


「承知しました。今回は威力偵察任務ということで?」


「ああ。やつの防衛力を測れ。わかっているな?」


「了解しました」


魔王様。国境紛争を起こして全面戦争しようってのかい?面白い。だいたいちまちました秘密工作はアタシ達には向かないんだよ。今まではルナが側近だったから姑息な裏工作が中心だったけど、ようやく武闘派の時代ってわけだ。


「承知しました。魔王軍強襲突撃隊隊長シャラ。命令によりディアブロ領に威力偵察をします」


偵察の名を借りた威力偵察。つまりは“殴って確かめろ”。強襲突撃隊に命令するんだから殴ってこいということだろうよ。


魔王様がにやりと笑った。


「ところでシャラ……」


「ハッ」


「その仮面、余の前でも外さないのだな」


「……私は水棲魔族です。地上活動を補助する魔道具ゆえ、ご容赦を」


「そうか。ならば良い」


やれやれ。

この仮面を外すわけにはいかない。

何やら伏線かって?

いや単に水棲魔族にとって呼吸に必要なのだ。


ーーーー


出撃前の作戦会議。

今回は空軍との合同作戦だ。


空軍の指令大佐は、新型兵器の魔導石像を嫌っているらしい。

強襲突撃隊に対する牽制から会議は始まった。


「今回は我々空軍が先に攻撃する。君たち石像部隊はゆっくり焼け野原まで来てくれればいいぞ!」


下卑た笑いで大佐は一方的に告げる。

まあいい。こいつらのお手並み拝見と行こうか。


「わかりました。我々は石像ですので歩くのがやっと。大佐の後をついて行きます」


「なんだ。紅い水棲も物分かりがいいじゃないか。まあ日が暮れるまでに国境を越えてくれればいいぞ!ガハハハ」


コイツらで片付けば、ルナの言うディアブロも大したことがないってことだ。


ーーーー


作戦当日。偵察隊が戻ってきた。


「ディアブロ領に変な建物が立っています!」


「それは要塞か?」


「いえ、木馬です」


「木馬?」


こいつ、何を言っているのだ?建物と言ったよな?それがなぜ木馬なんだ?要領を得ない報告だ。


「木馬ではわからん!どんなものか説明しろ!」

空軍指令は怒鳴りつける。偵察兵も困った様子で説明する。

話をようやくすると、どうも城郭らしいものが立っている木馬がやたら目立つと言う。意味がわからん。


「まあ要塞であれば攻撃対象だな!ワイバーン隊出撃しろ!」


だが木馬だと? まるで私達の経験や軍事史の常識をからかうようだ。ディアブロという名の変態伯爵が、どんな奇策を仕込んでいるのか。油断はできない。


ワイバーンの群れが水平線の向こうへ消えていく。やがて国境の向こうで何かが爆ぜる。火花と灰が遠く舞うのが見える。


「さて、私たちの番だな。」


ディアブロの“木馬”が何を意味するかは知らない。だが確かなのは、何かが変わりそうな予感がするということだけだ。


ーーーー


私たちは空軍の通信を聞きながら、ゆっくりと国境線を目指していた。

今回の作戦は、帝国・ディアブロ領への威力偵察。だがもう一つ――新型魔導石像ザ・サイクロプスⅡ(ザプ・ツー)の実戦テストも兼ねている。


試作一号機に比べ、推進の反応速度と魔力伝達効率が向上している。可動域も広く、腰の回転制御がなめらかだ。

操縦桿を握る手に、いつもより軽やかな振動が伝わってくる。いい感じだ。まるで身体の一部みたいに動く。


「さすが、紅い水棲専用機ってところですな、少佐」

「馬鹿言うな。派手なのは塗装だけだ」


冗談を交わしたそのとき、前方に噂の“要塞”が見えてきた。


「……なんだ、あの目立つ建造物は?」

「まるで見世物ですね。帝国の連中、戦争をショーか何かと勘違いしてるんでしょう」


付き従う部下の声が無線に響く。

それも束の間、別の声が上ずって叫んだ。


「少佐! あれを!」


空を見上げると、ワイバーン部隊が突撃を開始していた。

轟音。閃光。続いて空に咲く火の花。


第1波攻撃隊、壊滅。


魔導石の投石機――それも高密度の魔力圧縮型だ。ワイバーンが次々と翼を焼かれ、炎の雨となって落ちてくる。


「……馬鹿な。あんな悪趣味な建物に?」


信じられない光景だった。だが現実は変わらない。

通信魔道具の向こうで、空軍司令の怒声が響く。


『誇り高き空軍が石像部隊に遅れを取るわけにはいかん! 魔導石像隊のシャラが見てるぞ、シャラが! 奴の前で無様はできん! 第二波、出撃ィッ!』


その声に、私は小さくため息をついた。


「ああいう将の下にいるのは、不幸だな」

「まったくです。……おそらく第二波も無駄死にですな」

「よし。見せてもらおうか。帝国の“木馬要塞”の性能を」


私はザプⅡの操縦桿を引き、部下たちに命じた。


「お前たち、山を降りるぞ!」


ーーーー


ザプⅡは快調だった。可動石の反応が鋭い。機体のバランスも良い。

だが、テスト機ゆえに安全域はまだ未知数だ。


「安全な速度で降下しろ」

「ご心配なく、少佐。なあ、坊主?」


副官が冗談めかして笑う。だがその横で、新兵の声が震えた。


「減速できません! シャラ少佐! 助けてくださいっ!」


右後方の新兵の一騎が制御不能に陥った。次の瞬間、視界が白く光った。


 チュドーンッ!


爆炎が弾け、破片が私の機体の装甲を叩いた。

耳の奥で空気が震え、残響が残る。


「な、何だ今の光は!?」

「強力な光魔法のようですな……」

「帝国の要塞は化け物か!」


司令官の怒声が再び通信を突き破る。

『続けて突撃せよ! 空軍の名誉を見せるのだ!』


ワイバーン隊は無駄死にとも言える波状攻撃を続ける。だが今のところ木馬要塞に目立った損傷はない。明らかに分が悪かった。


「なあに……当たらなければどうということはない」


私は舌打ちしつつ、ザプⅡを急旋回させた。

閃光の軌道を読み、目と勘で回避行動を取る。


「一旦、物陰に隠れろ!」

私はそう言って副官に一歩下がるよう指示をしたが命令を聞かなかった。

副官が無線の向こうで吠えた。


「ここで手柄を立てれば、シャラみたいな小娘の下に居なくて済む!」

副官よ。お前、そんなふうに思ってたのか。それよりも


「よせっ!」


止める間もなく、副官機は前へ飛び出した。

次の瞬間、再び閃光が走る。副官のザプⅡの機体は熱を帯び、赤く燃え上がりそうだ。


「魔王軍に――栄光あれえええええ!!」


光が、彼を呑み込んだ。


静寂。通信途絶。

……一瞬のうちに、彼は消えた。


「くそ……!」


歯噛みしながら、私はザプⅡで回避しつつも接近を試みる。

視界の端、木馬要塞の影から新たな動体反応。


「なに……!? ガーゴイル型の石像だと!?」


空を裂くように、ガーゴイル型の魔導石像が飛び出してきた。

帝国も、魔導石像を実戦投入している。

これが、史上初の“魔導石像(MS)同士の戦い”になる。


私とガーゴイルの武器がぶつかり合う。火花が弾け、魔力が軋む。

互角――いや、わずかに奴の方が上か。


だが、その瞬間。要塞から再び閃光。


「ちっ……!」


私は反射的に身を捻り、直撃を避けた。が、機体の右腕が吹き飛んだ。

警報が鳴り響く。


「ここまでか……!」


偵察任務だ。生還こそが目的だ。


私はスイッチを叩き、緊急離脱モードを起動した。

ボシューッ――。


白煙が機体を包み、敵の視界を奪う。煙幕展開。

追撃をかわし、山影へと機体を滑り込ませた。


背後で、まだ爆音が響く。

空軍の悲鳴、ガーゴイルの咆哮、そして――木馬の不気味な沈黙。


ザプⅡが安定した頃、私は小さく呟いた。


「……認めたくないな」


自分の、そしてあの空軍大佐の愚かさを噛み締めながら、私は仮面の奥で目を閉じた。

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操作に不慣れ。 申し訳ございません。
2025/11/21 22:29 ごめんなさい
50話はガン○ムのパロディでしたが 今作「魔王軍強襲突撃隊」は 紅椿先生の「ガンゴイルシリーズ」になっていると思います、 「ガンゴイルシリーズ」 この話はとても面白いので「足は飾りです」まで書いて…
2025/11/21 22:20 俺ガイルいやダルシムだよ
50話はガン○ムのパロディでしたが 今作「魔王軍強襲突撃隊」は 紅椿先生の「ガンゴイルシリーズ」になっていると思います、 「ガンゴイルシリーズ」 これ話はとても面白いので「足は飾りです」まで書いて…
2025/11/21 22:17 俺ガイルいやダルシムだよ
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