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第50話 白い木馬と紅い水棲

◾️ディアブロ(バームベルク侯爵)

屋敷に来た侵入者(美女限定)を罠やモンスターを使って捕獲を楽しむ。悪魔伯爵と恐れられているが前世はオタク趣味のサラリーマン。表向きは隣で善良な領主をしている。


●エルザ

アシスタント兼ツッコミ。ディアブロの命を狙う刺客だったが、捕縛され悪趣味な遊びに付き合わされている可哀想な女性。金髪巨乳でお姉様系美女。


「伯爵。新型要塞ができたよ!」


朝から爆発音とともに、例のアフロドワーフ。発明家ウルバンが駆け込んできた。

髪の毛から煙を上げながら、満面の笑み。どう見ても失敗した後の顔だ。


「また爆発させたのか?」

「今回は爆発じゃなくて、“試運転”だよ」

「今の音は?」

「……ちょっと派手な試運転」


やっぱり爆発じゃないか。


僕、ディアブロ伯爵は、彼女の報告を聞きながら頭を抱えた。

この平和な領地も、最近は穏やかじゃない。何せうちは魔王領と隣り合っている。

以前、魔王軍の女幹部を“魔導サウナ”で撃退したせいで、連中が逆恨みしているらしい。

少人数の襲撃だったら対応できるが、軍を挙げて攻め込んできたらひとたまりもない。そのため、国境地帯に新しい要塞を建てた。


「この要塞は、ディアブロ領みたいに人がほとんどいなくても、なんとかなるんだよな?」

「そう! 伯爵みたいなボッチでも籠城できる“自動要塞”だよ!」


……おい、ボッチは自覚もしているけど、今の悪口は聞き捨てならないぞ。


「なんてったって、今回は僕の師匠の力を借りたからね。――レオナルド師匠!」


その名前を聞いた瞬間、嫌な汗が背中を伝った。

ウルバンの師匠といえば、“狂人レオナルド”。

芸術と発明の両方で各地に混沌を撒き散らした伝説の老人である。故郷のヴィンチ村ではトラブルメーカーとして永久追放になっているらしい。


「ふぉっふぉっふぉっふぉ。レオナルドですじゃ。いやぁ、面白そうな依頼じゃて」


出たな、破壊と創造のジジイ。


「今回は新技術を導入したと聞いているが?」

「実際に見てもらおうよ、ね師匠!」

「うむ、現物を見た方が早いじゃろ!」


ーーーー


「じゃじゃーん!」


森を抜けた先、視界に入った“それ”を見て、僕は思わず立ち止まった。


「こ、これは……木馬?」


巨大すぎる。

まるで山一つが馬の形をしているようだ。白く輝くその姿は、威圧感と無駄な美しさを兼ね備えている。


「師匠がね、別の貴族から騎馬像を頼まれてたんだけど、サイズを間違えちゃったんだって」

「資材を無駄にしてしまったのじゃ!」

偉そうに言うな。ていうか、よその依頼を僕のところでやるな。


「で、それを再利用して要塞にしたわけか」

「そうそう、エコだよ。リサイクル魂!地球にやさしい破壊兵器だよ」

「……地球にやさしい破壊兵器って。要塞ってそんなノリで作るものじゃないと思うんだが」


真っ白な城壁、金色の装飾。どう見ても美術館か高級リゾート施設。でも悪趣味。

目立ちすぎる。

いや、軍事施設ってもっと地味でいいんじゃないか?


「師匠。これ、敵にバレバレでは?」

「隠密性は捨てたのじゃ!」

「捨てたのか……」


「ところで、この城の名前は?」

「まあ、城と言えなくもないけど、あくまでも軍事基地だよ。そうだね……白い基地……ホワイトベー……」

「わかった。城郭のような基地だから城基地でキャッスルベースだ!」

「?。まあ伯爵がそれでいいならいいよ」

パロディはするが、パクるのは……。


ーーーー


要塞の内部に入るとエルザが待っていた。


「ご主人様。物資の搬入は完了しました」


エルザが報告してきた。

彼女の手には搬入リストが整然と並んでいる。魔法触媒、修復用魔道具、非常食。

市販のもので大体賄えるが、要塞は魔力依存型だから、迎撃にはコストがやたら高いらしい。


「これで、いつでも迎撃できるぞ。はよ敵が来んかのう」

レオナルド爺さんがワクワクしている。

やめろ。戦争を待ち望むな。


そんなときだった。


ーピロロピロロピロロー。


耳をつんざくような警報音が要塞中に響き渡った。


「なんだこれは?」

「伯爵! 敵だよ!」

「早すぎるだろ!」


モニターに映るのは、翼を広げ、空を覆い尽くすほどのワイバーンの群れだ。


「空からの侵攻!?」

「ご主人様、迎撃態勢を!」


エルザはすでに司令部のナビゲーションシートに座り、魔導操作パネルを掌で撫でていた。

……うちのメイド、順応力高すぎない?


「自動迎撃システム、起動じゃあ!」

レオナルドが叫ぶと、木馬の両脇から巨大な投石機がせり出した。


ゴゴゴゴゴッ!


岩塊が空を裂き、次々と飛び上がる。

一斉射撃された魔法石が空中で爆ぜ、火花のように散る。


「右側の群れは撤退していきます!」

エルザが報告する。

「よっしゃ、見たか!」

「ですが、左側……左舷の一群、攻撃体制に入っています」

左側のワイバーンが炎を吐き出し、キャッスルベースに攻撃してくる。

「左舷、弾幕薄いぞ!」

僕も叫ぶ。左舷てなんだよ。そもそもここ船じゃないよね!?


僕は自分にツッコミを入れながらも、僕は椅子にしがみつく。要塞全体が揺れている。

やがて、ワイバーンの群れは散り散りに逃げていった。


「ふう……撃退完了だな」

「さすが我が新型要塞じゃ!」


レオナルドがドヤ顔。

ウルバンも嬉しそうに頬を黒くすすけさせていた。


だが、安堵も束の間――。


「ご主人様。新手です」

エルザの声が硬い。

「サイクロプス……? いいえ、サイクロプス型の“石像”が三体。高速で接近中です!考えられない速さです!」


「奴じゃ……紅い水棲のシャラ!」


爺さんが目を見開く。


「なにそれ? なんかのパクリ……いや、誰?」

「海の魔族、水棲魔族でありながら、“魔導石像ザ・サイクロプス”――通称ザプのエース搭乗員になった伝説の女パイロットじゃ!」

「紅い水棲……って、これ完全に――」

いや、完全に“あれ”だろう。仮面の人。


紅いザプが先陣を切り、残る二体が追随。

山を踏み砕き、白亜の要塞へ突進してくる。


「集中光魔法線、発射じゃ!」

木馬の口がガバッと開き、光魔法が走る。

紅い個体は紙一重で回避したが、もう一体を直撃――。


ドゴォォォン!


「やった! 一撃!」

ウルバンがガッツポーズ。

僕はそれどころじゃない。地面が揺れる。要塞の脚部がきしんだ。


「この威力……反則級だな」

「ふぉっふぉっふぉ、芸術は爆発じゃ」


やっぱりこいつら親子弟子、危険すぎる。


もう1体も光魔法の餌食となり、残るは紅いザプ一体。

回避を繰り返しながら接近してくる。光魔法をもう一発撃とうにも、エルザが制止した。


「在庫限界です。魔力石が尽きます」

「くっ……ジリ貧か」


「相手が“マジック石像(MS)”なら、こっちも出すしかないね!」

ウルバンの目が光る。

「まさか……」

「そう! 機動石像ガンゴイル、出撃準備じゃ!」


「了解。ハッチオープン!」


背中の格納庫が開き、翼を持つ黒い石像が姿を現す。

人型に近いフォルム、胸に“U”の紋章。ウルバンが搭乗し、魔力の脈動が走る。


「アフロ、いきまーす!」

まあ、もういいや。


ガンゴイルが飛び出し、紅いザプに突撃。光る剣を振り下ろすも、敵は紙一重でかわした。

まるで踊るような機動。ウルバンのアフロが戦闘中でもフワフワ揺れているのが腹立つ。


「今じゃあ!」

レオナルドが最後の光魔法を放つ。


光線が紅いザプの右腕を吹き飛ばした。


「命中! 敵中破!」

「ガンゴイル、敵を捕らえろ!」

「了解!」


ガンゴイルが一気に距離を詰めた、その瞬間。


ドシュウウウウッ!


紅いザプの全身から黒い煙が噴き出した。

煙幕。視界が奪われる。


「なにがあった!?」

「視界ロスト!」

「エルザ、探知魔法!」

「……反応、国境の方へ。逃走しています!」


煙が晴れたとき、紅い影はすでに山の彼方へと消えていた。


ーーーー


戦闘後。

要塞の修復魔法が作動し、焦げた外壁がじわじわ再生していく。

焦げ臭い匂いと、爆発の余韻だけが残っていた。


「ふむ。戦果は上々じゃな」

「一体にがしたけど、まあよしとするか」


僕の心臓がまだドクドクと鳴っているのを自覚する。僕は一応貴族だから軍を率いたこともあるし、指揮も初めてじゃない。だけど、この戦闘はなんだ?ものすごく疲れる。


「……しかし、魔王軍がここまで本格的に動くとはな」

「彼らにとっても、伯爵は厄介な存在なのでしょう」

エルザが静かに言う。目は真っ直ぐ、どこか誇らしげだ。


「ふぉふぉふぉ。これが戦乱の幕開けじゃ。芸術の炎が戦場を彩るのじゃ」

「やめてくれ。僕は静かに過ごしたいだけなんだ」


僕はため息をつきながら、キャッスルベースの白壁を見上げた。

その輝きは、まるで「戦争という舞台の幕」を照らすスポットライトのようだった。


まさかこの要塞戦が、帝国全土を巻き込む“新時代の開戦”の火種になる……という感じなのだろうか。


まあ、そんなことないよ。これにそんなシリアスな展開は向いてないからね。


こんなくだらない物を読んでくださってありがとうございます。

とても暇な方ですか?どうせ暇なら、ついでに感想など聞かせてください♪

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