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第29話 小悪魔パーティクラッシャーの破壊活動

◾️ディアブロ(バームベルク侯爵)

屋敷に来た侵入者(美女限定)を罠やモンスターを使って捕獲を楽しむ。悪魔伯爵と恐れられているが前世はオタク趣味のサラリーマン。表向きは隣で善良な領主をしている。


●エルザ

アシスタント兼ツッコミ。ディアブロの命を狙う刺客だったが、捕縛され悪趣味な遊びに付き合わされている可哀想な女性。金髪巨乳でお姉様系美女。


「最近パーティの解散が多いのよねぇ……」

ギルドマスターのカタリナが、酒場のカウンターでぼやいた。


「なんでまた?」

僕が尋ねると、彼女は苦い顔をする。


「原因は……わかってるんだけど」


どうにも歯切れが悪い。


「男だけのパーティに女が一人参加してね。しばらくすると、必ず解散するのよ」


――あー、それ。前世でもあったな。

名前をつけるなら『サークルクラッシャー』。


男女比の極端なオタクサークルにひょっこり現れて、複数の男からチヤホヤされ、結果として複数と恋仲(少なくとも男側はそう思っている)になる。

そして人間関係は崩壊。


僕もやられた。なぜか僕以外のメンバー全員が同じ子と「付き合ってる気分」になり、最終的にはギスギスの空気で解散。

……何で俺だけ声をかけられなかったんだよ!

思い出したら腹が立ってきた。


「解散するのはどんなパーティなの?」

「男だけのパーティね。目立たないけど実績を出していた有望株よ」


「その女の特徴は?」

「派手じゃないのよ。むしろ地味。ちょっと世間知らずっぽい雰囲気ね。で、パーティが解散したら――姿を消す。しばらくしたら似たようなことがn別のパーティで起きるって感じね」


……完全にサークルクラッシャーじゃん。


「よし、なら囮作戦をやろう」

「囮?」カタリナが目を細める。


「僕とエルザと、カタリナと……ピエラでパーティを組むんだ」

「なるほど。で、全員男装と」


「もちろん」僕はニヤリと笑う。

「そんで有望なパーティがいるって噂にするんだ。釣れるだろ?パーティクラッシャー」


エルザが冷静にうなずく。

「目的は、誘き出して正体を暴くことですね」


「その通り!」

僕はテーブルを叩いて宣言した。


こうして、“パーティクラッシャー”を捕らえる作戦が始まったのである。


まずは囮となるパーティを作ることにした。


リーダーは僕。偽名はハリー、設定は剣士。

エルザは「エリック」と名乗って補助魔導士。

カタリナは「カール」で闇魔導士。

ピエラは「ピエール」で呪術師。


「なあ、これバランス悪くない?剣士以外、戦力というか……補助役じゃん?しかも回復役いないよ」

「そんなことないですよ」

エルザがさらりと否定する。


多分これ、彼女たちの頭の中ではこう言うパーティが狙われやすいと言う風に思っていると言うことなのだろう。偏見だよね?


「ところでさ。みんな魔術師系の職業を名乗ってるけど、本当に魔法使えるの?」

「そこは大丈夫です」エルザが平然と答える。

「少々値は張りますが、使い捨ての魔導アイテムを使えば誤魔化せます」


「侯爵様。アイテムの援助ありがとうございます」

カタリナが勝手に頭を下げてきた。

……いや、僕が負担するなんて聞いてないんだけど!?


ともあれ、即席パーティは結成。


ーーーー


僕たちオタクパーティは、ギルドに併設された酒場で食事をとっていた。

この手のグループ、仲間内だとやたら盛り上がるのが“定番”である。


「エリック殿、なかなかやりますな」

「ハリー氏こそ……あそこで見事な攻撃、拙者感服でござる!」

「ピエール殿も照れてないで、何か喋るでござるよ!」


……なんか、散らしすぎてカオスになってない?

僕も久々すぎてどんなノリだったか忘れてしまった。


(これ続けるの辛いんですけど……)

3人から目線だけで抗議が飛んでくる。


(もう少し付き合って……!)

必死にフォローする僕。

このままでは3人のメンタルが先に折れてしまいそうだ――そう思った時。


「こんにちは」


女が声をかけてきた。


地味な外見。世間知らずっぽい雰囲気。

条件一致。間違いなく“パーティクラッシャー”だ。


僕はすかさず、チートスキル【鑑定】を発動。


――職業:魔王軍工作員。


(なん……だと!?)


ただのサークルクラッシャーだと思っていたのに。

まさか裏に魔王軍の工作活動が絡んでいるなんて……!


「あの……ご一緒してもいいですか?」


パーティクラッシャー女が、遠慮がちに声をかけてきた。


「どうぞどうぞ!むさ苦しい男パーティですが。なぁ!」

「お、おう……」


3人の返事は妙にぎこちない。

こりゃ正体がバレるかと思ったが、そんな心配は杞憂だった。


女は自然な流れで僕の隣に腰を下ろした。


「私、治癒師のリリーって言います」

「へ、へえ……リリーちゃん。治癒師なんだ」


「先月、専門学校を卒業したばかりで、まだパーティに入ってなくて」

そう言いながら、さりげなく視線を絡ませてくる。


……危ない。

もし前世の僕ならこの時点で即落ちしてる。

これが“クラッシャー”の恐ろしさか。


「飲み物取ってくるよ」

そう言って僕が席を立つと、リリーもついてきた


「私も行きます」


カウンターで飲み物を待っている間、彼女が話しかけてくる。


「実はまだソロで、ダンジョンに入ったことがないんです」

リリーは飲み物に手を伸ばそうとしてさりげなくボディタッチを仕掛けてくる。

「じゃあ、これからパーティを探すんだね」

「そうなんです。どこか頼れるパーティに入りたいなって」


――チャンス。ここで釣らねば。


「それじゃあ、うちに入りなよ!」

「えぇ!?ほんとですか!?」


ぱっと花が咲いたような笑顔。

自然に男心をくすぐる“計算された表情”だ。


こうして僕たちは、クラッシャーを招き入れることに成功した。


ーーーー


リリーが加入してから、わずか数日。

その間に――奴の“工作”はすでに始まっていた。


「ハリーさん、剣筋すごくきれいですね。安心感あります」


僕に向けられる柔らかな笑顔。

目をまっすぐ見つめられただけで、心臓がドキッと跳ねた。


「い、いや……俺なんてまだまだだよ」

思わず赤面する僕。だが横を見ると――


「……」

エリック(中身エルザ)が、氷のような無表情でじっとこちらを見ていた。


さらに、今度は。


「カールさんって落ち着いてますよね。頼れる兄貴って感じで……すごく安心します」

「ふ、ふん……当然だ」

カール(カタリナ)はどこか誇らしげに胸を張った。

……おい、ちょっと嬉しそうじゃない?


「ピエールさんって優しいですよね。ちょっと怖い外見なのに、本当は一番気を遣ってくれてる」

「な、なんだ急に……」

ピエラの耳が真っ赤になり、俯いてしまった。


極め付けは夜。二人きりになった隙を見計らって

「今度、ハリーさんに二人きりで相談したいことがあるんです……」

来た!相談と称して男の頼られたい願望をくすぐるやつだ。


コイツ、男心を弄ぶのが上手い。

しかも――二人きりになったら、「あなただけは特別」という感じを出す。


これは……手強い。

僕はとんでもない相手を敵にしているのかもしれない。


ーーーー


「何なんですか!あの女は!」


珍しく、エルザが感情をむき出しにしていた。

……え、これってもしかして――ヤキモチ?

いや、悪い気はしないぞ僕。


「……あの女、私だけ褒めたりしない」


あ、そっちか。


「ま、まあ補助魔導士って褒めどころが難しいんだよ」

「そうそう、そういうことですよ」

カタリナとピエラが、必死にフォローしてくれる。


だがエルザは不満げに唇を尖らせ――


「ご主人様ぁ……早くあの女を八つ裂きにしましょうよぉ……」


……エルザさん?

その“おねだり口調”で恐ろしいことを言うのやめてください。


「じゃ、じゃあ……明日はディアブロ邸に行くことにしようか」


ーーーー


舞台はディアブロ邸。今回は罠だらけだ。


「きゃっ!」

リリーが罠を踏んだ瞬間、鋭い矢が飛んでくる。


「危ない!」

カール(カタリナ)が身を挺して庇い、倒れ込む。囮のデコイが派手に死んだように見せかける。殉職1


「リリーさん……ここは拙者に任せ……!」

次の落とし穴はピエール(ピエラ)が押し飛ばして庇い姿を消す。殉職2


「ぐぬぬ……っ」

最後に僕が石像の大斧を受け止め、粉々になった床に沈んでいった。殉職3


ちなみにエリック(エルザ)は途中で帰ったことにした。


――残されたのは、リリーただ一人。


「みんな……!」

涙目で振り返るリリー。


そこには死んだはずの3人がゴーストになって立っていた。もちろんゴーストの芝居なのだが。

「...リリーちゃん...君のために頑張ったよ...」

「リリー殿。無事で何より...」

リリーのために犠牲になったとアピールする。


「こ、来ないで!」

おいおい、3人はお前を庇って死んだんだぞ。浮かばれないなぁ。


リリーはゴーストから逃げるように玉座の間に入る。


ーーーー


「フハハハハ! 我が名は悪魔伯爵ディアブロ!」


リリーが入ってすぐに僕は手にした魔鏡を掲げた。


「さあ、“正体”を暴かせてもらおうか!」


鏡の表面に黒い霧が渦巻き、リリーの姿を覆う。

次の瞬間――


「ひっ……!」

姿を現したのは角と尾を持つ悪魔だった。


「な、なんで……!?」


観念した小悪魔リリーは、ついに白状した。


「魔王軍から人間の冒険者パーティを壊すよう命じられてたんです……!

仲をこじらせて、冒険者を弱体化させろって……!」


――なるほど。やはり魔王軍の作戦か。

しかし気が遠くなるような作戦だな。


「……貴様には相応の罰を受けてもらう」


「ひ、ひぃ……殺さないで! 命だけは!」


「安心しろ。命は取らん」

僕はにやりと笑った。


「代わりに――この館に伝わる“特別なお仕置き”を受けてもらうだけだ」


次の瞬間、リリーの手首と足首が罠の拘束具にがっちり固定された。身動きできない小悪魔。


「え、ちょっ……何する気――きゃひゃひゃひゃひゃっ!?!」


僕筆を持ったゴースト達がが脇腹をくすぐった瞬間、甲高い悲鳴と共に小悪魔の体が跳ねる。

尻尾がビタンビタン暴れるのもお構いなし。


「やめっ、くすぐりは反則っ……あははははははっ!!」

「ほう、まだまだ余裕があるようだな」


――悪魔の正体を暴いたはずなのに、今やただの“情けない小娘”である。


「フハハハハ! これに懲りたら、二度と男の純情を弄ぶようなことはやらんことだ!」


「人間の気持ちで遊ぶことはしません......」


こうしてパーティクラッシャーはトラウマを植え付けられ、バームベルクから姿を消したのだった。

こんなくだらない物を読んでくださってありがとうございます。

とても暇な方ですか?どうせ暇なら、ついでに感想など聞かせてください♪

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