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第2話 メガネシスターと腐女子の秘密

◾️ディアブロ

屋敷に来た侵入者(美女限定)を罠やモンスターを使って捕獲を楽しむ。悪魔伯爵と恐れられているが前世はオタク趣味のサラリーマン。


●エルザ

アシスタント兼ツッコミ。ディアブロの命を狙う刺客だったが、捕縛され悪趣味な遊びに付き合わされている可哀想な女性。金髪巨乳でお姉様系美女。


挿絵(By みてみん)

「侯爵閣下、ドッカーノ村の村長が陳情に来ておりますが……」

「わかりました。応接室に通してください。」


昼の俺は、夜の顔とはまるで別人だ。

美女を捕まえてはくすぐりの刑に処す悪魔伯爵ディアブロ――その裏側の仮面。

それが“善良侯”とまで呼ばれる、ハインリヒ・フォン・バームブルク侯爵である。


領民たちからは篤実で真面目、領地経営も安定。文句のつけようがないらしい。

村長に面会する準備の前に執務机から腰を上げた俺は、豪奢な肘掛け椅子にぐったりと沈み込む。


「ふー。ちかれた〜。」

思わず素が出る。


「……ご主人様は本当にご主人様ですね」

傍らに控える金髪メイド、エルザが呆れ声を漏らす。

彼女は元・刺客。いまや俺のアシスタント兼ツッコミ役だ。


「まあまあ、真面目やってるおかげでさ。バームブルク領も平和に回ってるんだ。これくらいの息抜きは対価ってやつだろ?」


仮面を被った“侯爵様”としては完璧。

だが仮面を外せば、ふざけた本性むき出しの男――それが僕、ディアブロ伯爵ことハインリヒ侯爵なのだ。


「そろそろ村長が待ってますわよ」

エルザが促す。


「そうだったな」

パン! 頬を叩いて気合を入れる。

「それでは村長の御用を聞きにいきましょうか」


「……不思議なご主人様ね。夜は悪魔、昼は善人。どちらが本物なのかしら」

金髪メイドが肩をすくめる。僕は聞こえないふりをした。


応接室に入ると、村長が深刻そうな顔で待っていた。

「侯爵様、困ったことになりまして……」


どうやら原因は、大司教座から派遣されたシスターらしい。

彼女は真面目すぎるがゆえに、村人たちの生活指導がやたらと厳しいのだという。


「娯楽の一切を禁止し、果ては書物の焚書まで……」

村長は頭を抱える。

「男たちのエロ本は焼かれ、女たちのBL本も没収されてしまいました。このままでは村人が暴徒化しかねませぬ。侯爵様、どうかシスターを宥めていただくか、別の方に交代していただけないでしょうか」


「ふむ……」


「ちなみにシスターの容姿は巨乳の美人で、しかも眼鏡っ娘です。」

村長の補足情報。

(委員長タイプで巨乳眼鏡っ娘だと!? けしからん!)


いかんいかん。素が漏れるところだった。


僕はすぐに侯爵らしい顔を作り直し、提案する。

「ではこうしましょう。皆さんは“ディアブロ伯爵の乱行”を伝えてください。彼女の目が伯爵に向いている限り、村人たちは平穏に暮らせるでしょう。私もディアブロ伯爵の不行跡には困っておりますので。シスターの説教でも響けばありがたいのですがね」


村長は何度も頷き、足早に戻っていった。


――そして間もなく、村で噂が広まる。

“ディアブロ伯爵は退廃的である”と。


次なる訪問者が、美貌の眼鏡シスターであることを、この時の僕はまだ楽しみにしていた。


ーーーー


「ご主人様。お待ちかねのシスターが来ましたわ」

エルザが控えめに告げる。


「よし、わかった。――エルザは、例の件を頼むよ」

僕がニヤリとすると、金髪メイドは妖しく微笑んだ。


「ふふ。久々の隠密行動ですから……張り切って行ってきますわ」

そう言い残し、黒いコスチューム(ちょっとエロい)に身を固めたエルザは姿を消した。


館に一人残った僕は、館の主らしく指を鳴らす。

直後、壁の奥から不思議な気配が広がった。


前回、女騎士を撃退した功績で館がレベルアップ。

新しい罠とモンスターを召喚できるようになったのだ。


罠は――水鉄砲。

「……これ効果ある? まあ使うけど」

どう考えても子どもの遊び道具にしか見えないが、特別な物でなく普通の水鉄砲らしい。


そして、新たなモンスターは――ゴースト。

壁や床をすり抜けて移動できるらしい。


「いや、でもこれ物理攻撃できないんじゃなー……」

俺は頭を掻きながらも、口元には笑みを浮かべていた。


――いいだろう。

新しい罠とモンスターを駆使して、委員長系巨乳シスターを迎え撃つ!


ギィィ……。

重厚な扉が開き、シスターが堂々と姿を現した。


「神の教えを説きに参りました!」

澄んだ声が館の奥に響く。まるで講堂で説教しているかのようだ。


僕は高らかに告げる。

「我が名はディアブロ伯爵。この奥にてお前を待ち受けている!」


スピーカーを通して玄関ホールに響く。

決まった。完璧に決まった。

(エルザ、今の見てた?……いや別任務中だったか。くそっ!)


まずは恒例の罠――タライ。

カランッ……。


……が、落ちたのは委員長シスターの目の前。

「……」

(あータイミングむずっ!)


次のスライム投入。

「浄化!」

光魔法で即消滅。早すぎる。


だが次の部屋が本番だ。新兵器――水鉄砲。

「えいっ!」

「きゃっ!」


間違えて床に設置した水鉄砲が、真下から水を噴き上げる。

シスターの修道服の股間がずぶ濡れになった。


(……お、お漏らししたみたいに見えるぞ……!)


妙案が閃いた僕は、すかさずゴースト軍団を召喚。


「シスターはお漏らしした……シスターはお漏らしした……」

館中にこだまするゴーストの声。


「ちっ、違うっ!」

委員長シスターは顔を真っ赤にしながら、光魔法を乱射してゴーストを片っ端から消していく。


だがこちらも負けじと、金に物を言わせてゴーストを無限投入。

シスターの魔力はみるみる枯渇していった。


「はぁ……はぁ……」

力尽きたその瞬間――俺は特殊スキル《バインド》を発動。

光の鎖がシスターの手足を絡め取り、見事に捕縛完了だ。


そこへタイミングよく戻ってくるエルザ。

「首尾はご主人様の読み通りでしたわ」

「……やっぱりね」


僕は満足げに笑みを浮かべた。


さあ――お漏らし委員長と、いよいよご対面だ。


「ふはははは! 我が名はディアブロ伯爵――お漏らシスターよ、よくぞまいられた!」

決まった。これぞ悪役ムーブ。……なのに、今日のエルザは突っ込んでくれない。ちょっと寂しい。


「お、お漏らしなどしていない! 卑怯な!」

シスターが必死に否定する。


「いや、お前は“お漏らシスター”であり、“BLシスター”でもある」

俺がそう告げると、彼女の顔が一瞬で青ざめた。


ばさっ。

俺は証拠の本を投げて見せる。


「これは修道院のお前の部屋から出てきたものだ! 村人からBL本を没収しておきながら、夜な夜な自分で楽しんでいるお漏らシスターが、神の道を説くなど笑止千万!」


「な、なぜそれを……?」


「私の隠密は優秀でな。この通り、コスチュームはエロいが優秀だ」

横に控えるエルザを顎で示すと――ゴスッ!


「いったぁ!」

肘で突かれた。普通に痛い。


観念したシスターは、震える声で言った。

「……知られてしまった以上、生きてはいけません。どうぞ殺しなさい……」


新手のくっ殺だ。


「ふふふ。まあ、そう死に急ぐな」

僕はわざとらしく笑い、BL本を指でつまみ上げる。

「お漏らしのこととBLは黙っておいてやろう。村人の楽しみを奪うのは感心せんな。大人しくしていればBL本は保管しておいてやろう。返して欲しくば、また来て再戦すればよい」


「……悔しいですわね。ですが必ず、その本を取り返しに参ります!」

あ、やっぱ取りに来るんだ。


僕はふと思い出して付け加える。

「それから……お漏らししたパンツでは帰りづらかろう。新品を用意しておいた。これを――」


「い、いえ! 大丈夫です!」

「……え?」

「ですから大丈夫です。もう大体乾きましたので」


「……う、うむ。ならば気をつけて帰るのだ」

なんか、調子が狂った。


気まずい沈黙のあと、俺は手元の新品パンツを見てつぶやく。

「ところでこの新品のパンツ……どうしようか。エルザ、いる?」


「……はぁ」

エルザは深いため息をつくだけだった。

こんなくだらない物を読んでくださってありがとうございます。

とても暇な方ですか?どうせ暇なら、ついでに感想など聞かせてください。

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