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第17話 悪魔検事の魔眼尋問

◾️ディアブロ(バームベルク侯爵)

屋敷に来た侵入者(美女限定)を罠やモンスターを使って捕獲を楽しむ。悪魔伯爵と恐れられているが前世はオタク趣味のサラリーマン。表向きは隣で善良な領主をしている。


●エルザ

アシスタント兼ツッコミ。ディアブロの命を狙う刺客だったが、捕縛され悪趣味な遊びに付き合わされている可哀想な女性。金髪巨乳でお姉様系美女。


挿絵(By みてみん)


くっ殺女騎士団のオークマッサージツアー。

あの珍事件が、まさか帝国の政治問題になるとは誰が予想しただろうか。

皇帝の政敵である大公が、これを問題視したのだ。


曰く。

「第1皇子が私怨で、ディアブロ伯爵に第4騎士団長を刺客として送り込んだ」――。


……なんでバレてんの!?

僕も思わず頭を抱えた。


皇帝家が諸侯と私闘をしたなんて大問題だ。

事態を受けて、帝国法廷が開かれることになった。

そして調査のため検察官が派遣されることになったのだ。


「困ったことになったね」

僕はメイドのエルザにぼやく。


「皇子が失脚すれば少し落ち着くのでは?」

「エルザはそう言うけどさ、皇子って大事なサプライヤーなんだよ」

「……サプライヤー?」

「ほら、優良な美人刺客を定期的に送ってくれるじゃん」

「……」


エルザは深いため息をついた。


「じゃあ今回は皇子の味方をするのですね?」

「まあね。普段は政治なんて興味ないけど、大公が僕と皇子の関係に気づいたっていうのは面白い。誰か相当優秀な密偵でも――」


僕が言いかけたところで、エルザが「あ」と小さく声を上げる。

僕はニヤリと笑った。


「ふっふっふ。さすがはエルザ君。気づいたかな? そう、もしその密偵が美女だったら? 当然、ディアブロ邸にご招待するわけだ。つまり――大公からマークされた方が、僕にとってはご褒美ってことさ」


「……」

「なんで無言なの?」


ーーーー


「捜査へのご協力、ありがとうございます」


これが噂の美人検事。

お世辞抜きに美人だ。こんな人から拷問……いや尋問を受けたら、僕もあっさり口を割ってしまいそうだ。


「こちらこそ、可能な限り捜査には協力します」

僕は領主らしく返答した。……つもりだった。


だが、妙だ。

さっきから彼女がじっと僕の瞳を覗き込んでくる。

なにこれ……ドキドキするんだけど。僕のこと好き? まさかの一目惚れ?


などと甘い妄想を膨らませていたら――


「コホン」


エルザの咳払いで現実に引き戻される。

危ない危ない。ちょっと理性が飛んでた。


念のため、チートスキル【鑑定】を発動。


――[職業:検察官(悪魔) スキル:魔眼]


なるほどね。そういうことか。

相手を魅了し、心の奥底を暴く能力。心を操るスキル持ちか。これは手強い。


まずは彼女の質問は、くっ殺女騎士団の演習に同行した我が家の騎士たちへ。


「第4騎士団のことを、どう思いますか?」


すると、うちの騎士たちはポロッと答えてしまう。


「第4騎士団? あんなアホな連中に負ける貴族はいませんよ」

「“くっ殺せ!”って叫ぶ訓練、意味不明でしたね」

「まあ、見るだけ無駄でした。……目の保養にはなりましたが」


……お前ら、そんなふうに思ってたのか。

一応、皇帝家の直属騎士団だぞ。少しは遠慮しろ。まあ同感だけど。


結局のところ、騎士団長と対面したのは僕ただ一人。

つまり、真相を知っているのは僕だけということになり――必然的に、美人検事が僕から直接話を聞くことになった。


僕は彼女の魔眼にかからないよう、必死に視線を逸らす。


「閣下。私の目を見てください」


うわ、露骨にきた!

うっかり目を合わせたらアウトだ。


「う、うむ……」

演技のつもりが、動揺が隠しきれてない。


「騎士団長はあなたになんと言いましたか?」


ぐっ……来たか。

なんとか彼女の魔眼を避ける方法は……。


そのとき、前世で見た“ある写真”を思い出した。

モデルの女性が手で目元を隠している、あのエッチな感じの広告写真――!


(あれだ! 彼女は目を隠してるんだ!)


そう思い込むことで、僕は彼女の魔眼を回避することに成功した。

が、同時に脳裏に浮かぶのはセクシーなビジュアル。


(いかん……笑いが込み上げてくる……!)


顔が引きつるのをごまかしつつ、僕は答えをひねり出す。


「彼女はディアブロ領に行くとは言っていましたが……何が目的かまでは、ハッキリと聞きませんでした」


のらりくらり。嘘はつかないが、言葉をあえて足りなくする。というか、真面目に答えていられない。


――結果。


「結局よくわからなかった」という結論になった。


不満そうに眉をひそめた美人検事だが、最終的にこう言った。


「ディアブロ伯爵本人に聞いてみないと判断できませんね。現場検証を兼ねて、そちらへ向かいましょう」


こうして、美人検事はディアブロ邸へ行くことになった。


ーーーー


悪魔の女検察官が尋問にやって来る――!

僕はディアブロ邸でお迎えの準備を始めていた。


まずは恒例の“レベルチェック”。

今回は新アイテムだ

魔法鏡――魔法を跳ね返し、変身魔法なら正体を暴く。

「おお!これは魔眼対策にぴったりだ」


今回はこの魔法鏡で、悪魔の女検察官をお出迎えしようじゃないか!


―――――


「ご主人様。女検察官が来ました」

エルザの報告が入る。


迎撃は後回し。今回は正面から堂々といこう。

ギイ……と扉が開き、僕――悪魔伯爵ディアブロは仰々しく姿を現した。


「これはこれは、検察官殿。ようこそ我がディアブロ邸へ!」


執事やメイドも揃えてある。もっとも、エルザ以外は普段留守番用の役者パペットだが。


「伯爵自らのお出迎えとは恐れ入ります。早速ですが、第4騎士団長が訪問した際のことを――」


「ふむ、それならば……実際の様子を再現しよう!」


僕は女検察官を玉座の前の長い廊下へと案内した。


次の瞬間。


ズガガガガガ!


天井から大量の槍が突き刺さる勢いで降り注いだ。


「ひぃっ!」

女検察官が飛び退く。


「こ、これは……侵入者を迎え撃ったということですか!?」


「ふはははは!悪魔伯爵にとっては遊びに過ぎぬ」


僕は槍を一本手に取り、差し出す。先端はゴム素材で、見た目は凶悪でも実際は安全仕様。

「仮に刺客ならば、こんなオモチャで仕留められるはずがなかろう。我が屋敷は――そう、遊園地のアトラクションのようなものだ」


「……た、確かに……」


おお、納得しちゃったよ。ほんとに大丈夫?


だが、まだ序盤だ。


次はタライ。

ゴンッ!


「っ……痛い!」

女検察官の頭にクリーンヒット。


「ちなみに騎士団長は避けたぞ」

ジト目で睨まれた。


さらにドラゴン(幼生)が炎を吐く。

「熱い熱い!」

「騎士団長は(以下略)」


続いて水鉄砲。

「きゃあっ!」

「騎士(略)」ん


トリモチ床。

「うえっ、ネバネバする……」

「(略)」


……とまあ、騎士団長は見事に全てを切り抜けたが、女検察官は片っ端から引っかかっていく。


「そしてここで、伯爵と騎士団長が対峙したわけですね?」

女検事が問いかけてきた。


「うむ。我がアトラクションのラストは――悪魔伯爵との対決だからな」

僕は堂々と答える。


「……では、そのあとに何が?」


「再現しよう!」


パチン、と指を鳴らす。

現れたのは万能型ゴーレムと、オークの軍団。


「な、なにを……!?」


事態が飲み込めない女検事を、そのままオークたちが取り囲み――。


マッサージ開始。


「ふへぇぇぇぇ……」


さっきまでの刺々しい威圧感はどこへやら。

女検事はすっかり骨抜きにされ、リラックスモード全開だ。


「どうだ? 癒されきった自分の姿を、見てみるがよい」


僕が魔法鏡を掲げると――。


「なっ……!?」


鏡に映ったのは、人間の姿ではなく、変身魔法が解けて露わになった女悪魔の正体だった。


「な、何を!?」


僕は胸を張り、わざと仰々しく言い放つ。


「ここは癒し処 ディアブロ庵!

ここにいるときくらいは、ありのままの姿でリラックスするが良い!」


「……はぁぁ〜……」

女悪魔は肩の力を抜き笑った。


「確かに……人間界に紛れるため、ずっと変身を続けてたから……もう、肩が凝ってたのよね……あぁ……疲れが取れていくぅ〜」


「女悪魔よ。お前も色々と大変そうだな」

僕が水を向けると、彼女はコクリと頷き――。


「私は戦闘に強いわけじゃないから、魔王軍では仕事がなくって……それで帝国にやってきたの」


おおっと、やけに素直だ。

……鏡越しに彼女自身の魔眼が反射されて、自白モードになってるのか。


「ほう。お前も苦労しておるのだな」


「そうね。大公様が雇ってくれなかったら、本当に行き場がなかったわ」


なるほど……大公が魔族を雇っているのか。

だから優秀な密偵がいてもおかしくないわけだ。


「ふむ。我も以前から、大公閣下とはお近づきになりたいと思っておった。……他のお前のような魔族の者もいるのか?」


「ええ、結構いるわよ。魔族にも居場所を与えてくれるのはありがたいの」


(……ということは、大公も立派な刺客サプライヤー候補じゃないか!? なんとかして美人の刺客を送ってくれる関係になれないかな〜)


「ねえ伯爵〜。大公様の傘下にならないかい?」

女悪魔が上目遣いで僕を見つめてくる。


ああ……その瞳に吸い込まれそうだ……。


「ご主人様!」

エルザの鋭い声で我に返った。危なかった。


(そうだ、目のところを手で隠すイメージ……!)


脳内で必死に対処する。

が――。


悪魔姿の彼女が“目を隠す”イメージをした瞬間、前世で見た広告写真の構図が悪魔の姿で頭にフラッシュバックしてしまった。

挿絵(By みてみん)

(こ、コレは!なんか悪魔姿のコスチュームがピッタリで笑いが込み上げてくる……!)


「フハハハハ! いかに大公といえども我を使いこなすことなど出来ようはずがなかろう! 女悪魔よ、帰って大公に伝えよ。悪魔伯爵ディアブロ、逃げも隠れもせぬとな!」


……なんとか高笑いでごまかす。危機一髪だった。

そして、できれば、美人刺客のおかわりを頼みたいところだ。


女悪魔は妖艶に微笑み、腰をくねらせながら言う。

「ふふ……確かに伝言を受け取ったわ。ディアブロ伯爵。あなた、面白い人ね。また会いたいわ」


そう言い残し、彼女は闇に消えていった。


――嵐が去った。


「ご主人様。よく魔眼を凌ぎましたね」

エルザが冷静に言う。


「う、うん。まあ、ちょっとしたコツがね」


前世見たエッチな感じの広告写真を思い出して凌いだなんて……

さすがにエルザには言えない。


「怒ったりドン引きしたりしませんから。私の目を見て教えてください」


エルザさん?それ卑怯じゃない?


僕は悪魔の魔眼からは逃れられたけど、エルザの魔眼からは逃れられそうに無かった。

こんなくだらない物を読んでくださってありがとうございます。

とても暇な方ですか?どうせ暇なら、ついでに感想など聞かせてください♪

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