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第13話 夢魔とパンツと私

◾️ディアブロ(バームベルク侯爵)

屋敷に来た侵入者(美女限定)を罠やモンスターを使って捕獲を楽しむ。悪魔伯爵と恐れられているが前世はオタク趣味のサラリーマン。表向きは隣で善良な領主をしている。


●エルザ

アシスタント兼ツッコミ。ディアブロの命を狙う刺客だったが、捕縛され悪趣味な遊びに付き合わされている可哀想な女性。金髪巨乳でお姉様系美女。


挿絵(By みてみん)


エルザから突然、食事に誘われた。


「デート?」

「ではないのですが……まあ、食事でもと思いまして」


悪い気はしない。というか、むしろ嬉しい。

最近できた評判のレストランを予約したから来てほしい、とのことだった。

……デートじゃないのかー、と少し肩透かしを食らった気分になったが、それでもエルザが自分から誘ってきた事実が大きい。


僕は歯を磨いてパンツを取り替えてウッキウキで出かけた。


案内されたのは個室。

だが、そこにはすでに先客が二人いた。


ひとりは銀髪の女――カタリナ。

かつて僕の命を狙ってきた刺客であり、エルザを執拗にライバル視していたが、今はその過去がなかったかのようにギルドマスターとして奮闘しているらしい。


もうひとりは……元・暗殺ピエロ。

だが今は、なぜかギルドの受付嬢になったそうだ。

その姿はすっかりギャルっぽく、あの無口で不気味なピエロ像は跡形もない。


「ピエロだった君の名前は……?」

「ピエラでーす。侯爵閣下。いえ――悪魔伯爵様♡」


ドキッとした。

僕の裏の顔が“悪魔伯爵ディアブロ”であることを知っているのは、エルザだけのはずでは……?


「ご主人様……申し訳ありません。彼女たちは優秀な隠密でもあるので、すぐにバレました」

エルザが淡々と釈明する。


彼女たちの凄腕ぶりは僕も知っている。仕方ないか。


「それより……僕の刺客だった三人が揃ってどうした?」


「決して、ご主人様の命を狙うつもりはありません」

エルザが続ける。


カタリナが落ち着いた声で口を開いた。

「私たち、『元暗殺者友の会』――通称『殺友会』を作って、定期的に交流することにしたんです」


「殺友会……?」

またとんでもないネーミングが飛び出した。


「今日は、穏やかに過ごせるようにしてくださった侯爵……いえ、伯爵にお礼としてお招きしました」

カタリナが説明する。


「ディアぴーにはマジ感謝してるんだから〜」

ピエラがノリノリで言う。……いや、ちょっと待て。キャラ変わりすぎてないか?


こうして「殺友会」との会食が始まった。

料理をつつきながら、軽妙な会話が続いていく。


前世でぼっちだった僕に配慮してか、エルザとカタリナは話題選びに気を遣ってくれているのがわかる。

……ピエラは? うん、まあ元コミュ障だから。とりあえず勢いで会話に参加している。


話題は自然と、最近の冒険者事情に移った。


「最近、活躍中の冒険者が突然引退するのよね……」

カタリナがグラスを傾けながらこぼす。


「アタシが担当したマークスってランサーも引退しちゃった。あいつ、彼女と別れてから「見返してやる!」って必死で頑張って、ランキングも急上昇してたのに」


「マークス?」

僕は首をかしげる。そんな有名な冒険者がいたのか?


「マー君のことです。バカップルパーティの」

エルザが淡々と補足する。


ああ、マー君。思い出した。第4話でビッチな彼女と別れてからソロになって見違えるように強くなってたったんだ。


「なんで急に引退するの?」

僕の素朴な疑問。


「みんな“人生に満足した”って言って辞めていくのよねぇ」

カタリナはため息混じりに答える。


「冒険者は欲望を原動力にしていますから。それが満たされれば、戦う理由を見失ってしまうのかもしれません」

エルザが冷静に分析する。


なるほど……。


その時、不意にピエラが口を挟んだ。

「それって――サキュバスかも?」


意外な言葉に僕は目を丸くした。夢魔とも呼ばれる悪魔だ。


「でもサキュバスって、エロい欲望を満たすだけの奴じゃないの?」

僕のオタク知識ではそういうイメージが定番だ。


「サキュバスは欲望全般を扱います。ただ淫らな欲を持つ者が見た夢の話ばかりが伝わっています。その印象が強いだけです」

エルザが説明する。


「教会関係者とか、性欲を無理やり抑えてる人ほど淫夢ばっかり見るんだよね〜」

ピエラが続ける。


「へぇ〜……勉強になったなぁ」

僕は頷いた。


ーーーー


その夜、不思議な体験をした。


一面真っ白な世界。

その中心に、テーブルと椅子がひとつずつ置かれていて、僕はそこに座っていた。


やがて目の前に現れたのは――清楚な雰囲気をまとった女性。

どことなく、前世で片想いしていたあの子に似ている気がする。


「こんばんは」

彼女が微笑みながら声をかけてきた。


「ここは夢の世界。あなたの願望を叶えられる場所。何をしてもいい世界よ」


……改めてそう言われると、僕は自分が何を望んでいるのか、分からなくなった。

その時――ふと、さっきの会話を思い出す。


「夢の中で願いを叶えてくれる……ということは、君はサキュバスかな?」


「あら、分かってるなら話は早いわ」


次の瞬間。

女性の姿は揺らぎ、角と翼、尻尾を持つ悪魔の女へと変貌した。

まるで別人のようだが、確かにさっきの彼女だ。


「私は夢魔。人間の中には“サキュバス”と呼ぶ者もいるわ」


その声とともに、夢魔はにじり寄ってきた。

「ねえ……あなたも、えっちなことに興味があるでしょう……?」


夢魔がにじり寄り、吐息が首筋をかすめる。

甘い香りと柔らかな感触。


――やばい。オッパイの感触と吐息、これだけで現実の僕のパンツが汚れてしてしまうかもしれない。

僕の鼻の下は勝手に伸び、頭の中はお花畑だ。


その時――。


「……そのパンツ、洗濯したくないんですけど」


どこからか、エルザの冷え冷えした声が聞こえた気がした。


「えっ、え、今の空耳!?」

「空耳じゃありません」


僕は一気に現実に引き戻される。

なんで夢の中でまでエルザに生活感丸出しのダメ出しをされなきゃいけないんだ!?


「ご主人様の願望は……そんなものだったんですか?その...パンツにあれを出して満足するようなものなんですか?」


願望、か。


「女の刺客を変な罠で迎え撃って、変なことをするんじゃないんですか!?」


エルザの絶叫が響いた瞬間、僕の中で何かが弾けた。


「ふはははは! 我が名はディアブロ! 悪魔伯爵ディアブロだ!」


白一色だった夢の世界が揺らぎ――一変して、見慣れたディアブロ邸の館主室へと変貌していった。


「な、何よこれ!?」


一変した空間――不気味な館の中に放り込まれた夢魔は、あからさまに混乱していた。


「あんた!善良な領主じゃなかったの!?こんな変態だったなんて!」


逃げ腰で叫ぶ夢魔。

それにしても酷い言われよう。


「ふはははは! 出口まで辿り着けるかな? 悪魔伯爵ディアブロ流のおもてなしを、心ゆくまで味わうがよい!」


「じょ、冗談じゃないわ! こんな悪趣味な夢、美味しくない! 絶対脱出してやるんだから!」


夢魔は必死に夢に中の屋敷の廊下を駆け出す。

その瞬間――。


ズガガガガガッ!


天井から無数の槍が降り注いだ。


「ひ、ヒィィ! ちょっと! 殺す気!?」


夢魔は間一髪で回避する。

ただし避け方が妙に艶めかしく、いちいちポーズがえっちい。……まあ、僕の夢だから仕方ない。


続いて、急な坂道を登ると――。


ゴロゴロゴロッ!

挿絵(By みてみん)

「な、なんなのよぉぉーっ!」


廊下いっぱいの巨大な鉄球が転がり迫ってきた。

完全に某映画で見たやつだ。必死に走る夢魔が可愛い。


さらに続くのは落とし穴。

「ちょっと、危ないじゃない!」

間一髪で大股広げて踏みとどまる。やはりエッチい。


火を吹くガーゴイル。

「あち、あち。もう髪が焦げちゃったじゃないの!」


そして戦闘用ゴーレム。

「ちょっと待って!強いんだけど!」


現実のディアブロ邸では絶対にお目にかかれない、高レベル罠とモンスターが次々と牙をむく。ところどころエロいポーズで回避する夢魔。


「ひぃぃ……なによこれ、趣味悪すぎるでしょ!」


髪は乱れ、服はボロボロ。


(楽しい!これだよこれ!ダンジョンディフェンスってこう言うのだよね!?)

僕は現実のしょぼさと違う展開に感動した。


そして夢魔は全身に煤をまといながら、疲れ果てた様子で僕の玉座の間へとたどり着いたのだった。


「お、お前! 絶対に許さないからな!」

夢魔は息を切らせ、ボロボロの姿で僕を睨みつけた。


「よくぞ我が元に辿り着いた。褒美に――最後の“おもてなし”をしよう」


僕が指を鳴らすと、ズシンと音を立てて現れる現実世界ではお馴染みの万能ゴーレムだ。


「ちょ、ちょっと! なんなのよ、それ!?」


夢魔はあっさり捕らえられ、強制的にマッサージチェア――いや、死にかけのセミ体勢の拘束椅子にセットされる。

手足は固定され、逃げ場はない。


「ディアブロ邸・特別マッサージを堪能するがいい!」


まずは温められたスライムが体中を這い回り、マッサージオイルの代わりにぬるぬると塗布する。

そこへゴーレム指圧師が登場し、全身にマッサージを施した。


「ひゃああっ! くすぐったい! 痛い! キャハハハ!」


くすぐったさと痛みが交互に押し寄せ、夢魔は声にならない悲鳴を上げる。


「どうだ?マッサージによって体の調子が...」


言いかけていたところ夢魔は声を荒げる。


「ふざけるな!こんな悪趣味な夢、こっちからゴメンだよ!」


サービスのつもりでマッサージ用意したのに...

散々文句をぶちまけ、夢魔は僕の夢から飛び出していった。


ーーーー


そして――目を覚ました。


「ご主人様。おはようございます」


目を開けると、エルザが枕元に立っていた


「おはよう、エルザ」


「昨夜は……サキュバスが出ませんでしたか?」


「えっ? なんで分かったの?」


「なんというか、その……サキュバスに狙われるような気がして寝室で見守っていたんです。すると……ご主人様の寝顔がデレデレしていたので、あーこれはやられてるなーと思って」


「見てただけ!?」


「一応、声はかけました。その...パンツが汚れると色々と面倒なので」


エルザが言うが、心なしか恥ずかしそうだ。

あの声はエルザだったんだけど


「でもよく考えたら、ご主人様の悪趣味な願望を叶えられないだろうと思い……ずっと見てただけです」


なんだよそれ。


「一晩見守ってくれたんだ。ありがとう」


「当然です。私はいつでもご主人様のそばにいるんですから。」


ちょっと待てエルザさん。

そういうドキッとするセリフを、無表情で言うのは反則だ。

このまま夢のような異世界生活が続くようにーそう願わずにはいられなかった。

こんなくだらない物を読んでくださってありがとうございます。

とても暇な方ですか?どうせ暇なら、ついでに感想など聞かせてください。

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― 新着の感想 ―
夢魔とパンツと私 タイトルから選ぶならこれ一択!! このタイトルからは想像出来ない衝撃的な物語! 更にエルザの可愛いさ際立つ神回! 遅くなってしまい大変申し訳ありませんm(_ _)m
2025/11/12 17:48 生まれてすみません
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