第73話 ラムボー!怒りのマシンガン
1話完結型なので気楽に読んでください!
◾️ディアブロ(バームベルク侯爵)
屋敷に来た侵入者(美女限定)を罠やモンスターを使って捕獲を楽しむ。悪魔伯爵と恐れられているが前世はオタク趣味のサラリーマン。表向きは隣で善良な領主をしている。
●エルザ
アシスタント兼ツッコミ。ディアブロの命を狙う刺客だったが、捕縛され悪趣味な遊びに付き合わされている可哀想な女性。金髪巨乳でお姉様系美女。
「伯爵に相談があるんだ」
お尻のトラブルに悩む魔女、ジーナがディアブロ邸にやってきた。痔の治療薬として、エリクサー(お尻専用)を作っている魔女だ。
「相談とはなんだ?」
「実は失敗作の処分に困ってて……」
「不法投棄は許さんぞ。この間のニンジンも庭に薬を撒いただろう?」
そうなのだ。魔法薬で育ったニンジンはウサギ獣人には強すぎたらしく、大変だったのだ。
「あの時は、すまなかったよ。それで、今日はこの人を連れてきたんだ」
入ってきたのは、植物の蔓を全身に纏うような感じの人物。植物の妖精?
「こちら、ドライアドのドリスさん。僕の魔法薬の失敗作がちょうど良い植物の栄養剤になるみたいで、ちょくちょく分けてあげてるんだ」
「で、そのドライアドのお願いということか」
「は、はい。初めまして。ドライアドのドリスと言います。うちの子達を育てるために土地を貸して欲しいのです」
「ほう。植物を栽培したいということかな?しかし、自慢じゃないがディアブロ領は痩せた土地。まともな植物は育たないぞ」
「確かにそうなのですが、豊かな土地だと、強くなりすぎてしまうので……」
「伯爵。実はドライアドさんが育ててるのはトレントなんだ」
「トレントって樹木型のモンスターだよな。なんだってモンスターを?」
トレントはよく森で遭遇するモンスターだ。駆け出しの冒険者では苦戦するくらいには強い。たまにはぐれトレントが旅人を襲うので、繁殖した場合は討伐依頼が出ることもある。
「ドライアドさんの生命力はトレント達から供給されているんだ。だから一定程度トレントを栽培しないとドライアドさんが困るんだよ」
「なるほど。モンスターだから討伐すれば良いというだけの単純な問題じゃないんだな」
世の中は複雑にいろんな要素が絡み合っているということを改めて考えさせられる。
「トレントもきちんと栽培・管理すればあばれることはありません。適度な枝打ちや間伐など手入れをしてやれば、良い子達ですよ」
モンスターの個体管理……すごい発想だけど、なんか面白い。
「それで、その件について協力するとして、ご主人様にどんなメリットが?」
僕が聞きにくいことを、エルザが尋ねる。
「トレントの枝は薪や木材としても使えます」
「それ、いいの?ドリスがうちの子と呼ぶトレントを木材にして大丈夫?」
「はい。適度な枝打ちや間伐などの管理は必要なことですから」
意外だ。ドライアドも自然バンザイってわけじゃないんだな。適度な管理が必要なのか。
「なるほどねえ。でも、肥料とかは?大量には用意できないよ」
「肥料については、使い道のない魔法薬がたくさんあるから、ただであげるよ。こっちも困っててさ」
魔女のジーナが答える。まあ、魔法薬を不法投棄されるよりマシだな。変な合成モンスターが自然発生されても困る。
「なるほど。協力する価値があるな……」
僕は協力することにした。
「ありがとうございます」
「伯爵ありがとう。それじゃ、植物用の栄養剤として、魔法薬(失敗作)を置いていくから」
こうして、ディアブロ邸にドライアドが滞在して、裏庭でトレントを栽培するようになった。
ーーーー
ディアブロ邸の敷地内。
裏庭にトレントの苗を植樹した。
そのトレント達をドライアドが育てている。
「あの子を枝打ちしましょう。右側の枝は成長の邪魔ですね。それと……」
ゴーレムとオークが樹木管理を行なっている。オークにとっても自然を相手にした仕事は相性がいいみたいだ。うちのオークは本当に嗜虐性が無い連中だな。
「トレントの枝は燃料としても高く売れるし、領地の新しい特産品になったな。これもドリスのおかげだ」
ドリスも屋敷のメンバーと仲良くやっているみたいだし、特にトラブルもなくトレント栽培計画は進んでいた。
はずだった。
その夜、眠りに落ちた頃、エルザに起こされた。
「……ご主人様。起きてください。侵入者です」
「こんな時間に、迷子かな?」
「いえ、完全に戦闘スタイルなので、刺客だと思います」
エルザにそう言われて、寝ぼけていたのが吹き飛んだ。
「モニターで確認しようか」
僕は館主室にあるモニターで侵入者の様子を見る。
「あれかな?迷彩服だね。女性のエルフかな?」
一人のエルフがディアブロ邸に近付いている。迷彩服に身を固め、頭にハチマキ、顔にフェイスペイントまでしている。特殊部隊か?
「エルフってもっと、『自然と生きる』みたいな感じで平和的だと思ってたけど……」
「かなりの重武装です。しかも見慣れない武器まで持っています」
よく見ると武器まで特殊部隊仕様。前世の戦争映画を彷彿とさせる。
「本当だ。マシンガンか?あれ?」
この世界に銃火器は無いはずだが……。なぜそんなものが?
「ちょっと本気で迎撃しないと危険かな」
色々と気になることが多いが、迎撃準備をしないと。
迷彩エルフは静かに侵入してくる……と思いきや、派手に入ってきた。
“ドカーン!”
正面扉を爆発で破壊して侵入してくる。
「また扉を破壊されましたね」
「扉の修理代が一番高いんだよな。乱暴なやつだな」
乱暴エルフめ。正面突破タイプであればこちらも容赦はしない。
ガイコツ剣士軍団を投入だ。
と、言ってもほとんど戦闘力も無いし、耐久力も無い。見せかけだけだ。
“ダダダダダ!”
乱暴なエルフはマシンガンをガイコツ軍団に乱射する。ガイコツ達は一撃で倒れる……と思ったが、何発か受けてから倒されていく。
「ガイコツは見た目だけで雑魚なのに、あのマシンガンは一発で倒せないんだな。」
「ご主人様。よくみてください。弾丸はドングリですよ」
「本当だ。落ちている弾はドングリだ。さすが、森と共に生きるエルフ」
マシンガンがドングリだったらそんなに警戒しなくていいかな?
でも扉を破壊するほどの火力を持っているから厄介だな。
「フハハハハ!我が名はディアブロ!悪魔伯爵……って痛い痛い!」
名乗りを上げている途中で乱暴エルフがドングリマシンガンを撃ってきた。
「お前、名乗りを上げている時に銃をブッ放すなんて常識がないぞ!腕のここ、見てみろ!青くなったじゃないか……」
腕に青タンができた。痛いんだよドングリ。
「うるさい!ドライアドを拉致して、変なことを考えているんだろう!悪魔伯爵!」
乱暴エルフが、喚いているところにドライアドのドリスがやってきた。
「ドリス様!ご無事で!」
「げ、乱暴者のラムボー。なんでここに?」
ドリス。普段はおっとり喋るのに素がでているのか、いつもと喋り方が違う。
「何だ?お前ら、知り合いか?」
「そうです!ドリス様はエルフの世界では崇拝すべきドライアドです。私の里でトレントの栽培を任せてくださったのですが、突然、里を出てしまったのです。探しましたよ!」
ラムボーと呼ばれたエルフは今までの経緯を興奮気味に説明する。
一方、ドリスの方は淡々と説明する。
「ラムボーの里はトレントに過剰に肥料を与えたりして、トレント達が暴走するのです。私は適正に管理するように何度も言ったのですが。結局、管理をしない植林は森の荒廃につながるのに……最後はトレント達も暴走して旅人を襲う始末。それにエルフが全員あの戦闘スタイルですし。何よりラムボーの里のエルフは一切耳を貸さないので出て行きました」
エルフ、全員コマンド部隊スタイルなのかよ。
「だって、ドリス様が育てるトレントですよ。全身全霊で大事に育てるのが私の使命です!」
何となく、この二人の関係がわかった。
エルフはとにかくトレントを大事に大事に育てる。まあ、甘やかす感じかな。そのせいでトレントが暴走するようになった。一方、ドライアドのドリスは、枝打ちや間伐などもして、トレントをきちんと管理していこうという方針らしい。
「とにかく、私はエルフの里には帰りません!きちんとトレントを育てられないエルフより、話を聞いてくれるディアブロ伯爵と一緒にトレントを育てるのです!」
「そ、そんな……」
「あのー、ラムボー?人の話を聞こうな。今までの話をまとめると、ラムボーは“自然を守るため”にうちの屋敷の扉を爆破して、マシンガンをぶっ放し、ドライアド本人の意思を無視してトレントを暴走させたわけだ」
ラムボー、言葉に詰まる。そこへエルザ。
「ご主人様。弁償してもらうために、屋敷で働いてもらってはいかがでしょうか」
なるほど。さすがエルザ。いい考えだ。
「というわけでラムボー。君はディアブロ邸で扉の弁償代を稼ぐまで働いてくれ」
出てきたゴーレムに確保され、ドングリマシンガンを没収されるラムボー。
その後、ガックリとしながらも、ドリスの指示に従って、トレントの管理に精を出すことになった。
こうして、一番自然を愛するが故に、自然破壊をしていたエルフの認知を矯正することになったのだ。
こんなくだらない物を読んでくださってありがとうございます。
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