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第72話 激闘!皇帝派vs教皇派!推し活合戦?

1話完結型なので気楽に読んでください!


◾️ディアブロ(バームベルク侯爵)

屋敷に来た侵入者(美女限定)を罠やモンスターを使って捕獲を楽しむ。悪魔伯爵と恐れられているが前世はオタク趣味のサラリーマン。表向きは隣で善良な領主をしている。


●エルザ

アシスタント兼ツッコミ。ディアブロの命を狙う刺客だったが、捕縛され悪趣味な遊びに付き合わされている可哀想な女性。金髪巨乳でお姉様系美女。


皇帝と教皇。この世界の最高権威である2人だ。


トップが並び立つというのはなかなか難しい。この世界でもどちらが上なのか……そんな問題が些細なきっかけから噴き出すことになる。


きっかけは怪しい一人の司祭だった。皇帝の宮廷にいる宮廷司祭が、皇宮にいる女性たちに怪しい祈祷をして大金を巻き上げていることが発覚したのだ。異端の疑いもあるような怪しい司祭だったので、教皇庁には後で了承を貰えばいいだろうということで、宮中長官が独断で司祭を追放をした。


しかし簡単には収まらなかった。教皇庁の中からは司祭の人事権は教皇にあるということで、過激な勢力の声に押される形で教会は抗議をしてきた。逆に皇帝側近の貴族達は皇帝の宮廷支配権を教会が侵害していると息巻いている。


この騒動をきっかけに皇帝派と教皇派に貴族達もわかれていく。

もっとも、嫌いな奴が皇帝派だから自分は教皇派に入るというような者も多く、権力争いから日頃の些細ないざこざまで貴族や有力者は皇帝派と教皇派と言う名目で二分されてしまった。


ーーーー


「ご主人様。本日の面会希望の方です」

エルザが今日のアポイント一覧を持ってきた。


「あー。今日も皇帝派と教皇派からのアプローチか……」


「仲間への誘い……というわけでもないんですね」


「そう。どちらかと言うと、『私の敵対派閥との関係を絶ってほしい』という感じなんだよね……友達に誘ってくれるわけじゃないからね。仲良くしたいっていう感じじゃないのが複雑な気持ちだよね」


そうなのだ。どちらかというと敵対派閥の弱体化のために、相手と関係を断絶してほしいという感じで、僕を巻き込もうとするのだ。


「ご主人様。こんな状況なのに仲間に誘われないのも悲しすぎますね……」


「べ、別に仲間に誘ってほしくないもん。争いのための仲間作りだったら、お断りだからボッチを選ぶよ。強がっていっているだけじゃないからね」


「それはそうと、このままでは流血の危険もありそうですね」


それはそうなのだ。前世で有名なロミオとジュリエット。あれも二人の実家が皇帝派と教皇派に分かれて争っているという設定なのだ。

このままでは社会を分断しかねない。


そんなことを考えていると外が騒がしくなった。女性の歓声の声が大きい。


「なんか、外が騒がしいね」


「例のミュージカルパーティが新しいダンジョンを攻略した凱旋パレードだそうです」


女子が男装しているパーティ。最近は娘役に女騎士が加入した演劇スタイルの冒険者。実力はまあまあだが、成果発表だけは華々しい。


「どうせヤラセか、初心者向けのダンジョンなのに大袈裟に言っているだけだろ?」


「まあ、そうですけど。ファンにとっては自分が応援しているメンバーが活躍してくれれば嬉しいんですよ」


確かに、知らないパーティがダンジョン攻略したと言ってもどうでもいい情報だけど、自分がファンのパーティメンバーが活躍すれば嬉しいもんな。ある意味、ファンってそうかもしれない。


「推し活か……」


ふと口にした言葉で閃いた。


「そうか!推し活だよ!推し活!」


僕はいいアイデアを思いついた。


ーーーー


“集え!皇帝派!今こそ教皇派と決着の時!”


このような怪文書が主だった皇帝派のメンバーの元に配られた。

また、逆に教皇派のメンバーにも同様に集合を呼びかける文章が配られた。


場所は町外れの小高い丘。皇帝派は青い帽子やスカーフで、教皇派は赤でまとまっていて、ある意味わかりやすい。丘のてっぺんを境に西と東に分かれるように陣取られた。


何が始まるんだ?

集まった群衆からそんな声が聞こえてきた頃、丘の頂上に設営された舞台にスポットライトが当たる。群衆の注目が舞台に集まった時、空気が一変した。


金色の鎧に身を包んだ“皇帝”が堂々と歩み出ると、観客席から一斉に悲鳴にも似た歓声が上がる。


「我が覇を阻む者あらば、今ここで示せ!」

皇帝が剣を振り上げ、斬撃とともに煌めく光が舞台を走る。


なんか皇帝派のおばさまは感動で涙ぐんでいる。


続いて純白の祭服と三重冠を纏った“教皇”が登場した。金糸の刺繍が照明を跳ね返し、まるで神話の一頁のように神々しい。


「神の代理人として、皇帝陛下の挑戦、受けて立ちましょう」

澄んだ声で祈りを捧げると、頭上から柔らかな光が降り注ぐ。観客は目を細め、思わず手を合わせる。


教皇派の群衆も感動している。


「どちらが強いか、決着をつけましょうか?」

「望むところだ」


一触即発の空気の中、二人は舞台中央で剣と杖を構えた。皇帝の剣が音を立てて空を斬れば、教皇の祈りが光弾となって飛び交う。きらびやかなエフェクトに照らされ、彼らの競演はまるで歌舞のようだ。


しかし、突然、背後の暗幕から低い笑い声が響いた。

「ククク…お二人とも、忘れてはいませんか? 本当の敵の存在を」


黒いマントを翻しながら現れたのは、全身から邪気を滲ませる悪魔伯爵だった。深紅の瞳に常軌を逸した笑み。観客の誰かが息を呑む音が聞こえる。


「悪魔伯爵…」

「貴方がまだ生きていたとは!」


皇帝と教皇は視線を交わし、ほんの一瞬だけライバルの仮面を外す。


「仕方ありませんね、一時休戦といきましょうか」「ええ、この悪党を放っておくわけにはいきません」


二人は背中合わせに立つと、皇帝の剣に淡い光が宿り、教皇の杖から白銀の魔法陣が広がる。重なる力が舞台全体を包み、悪魔伯爵の漆黒のオーラとぶつかり合った。


「これが皇帝と教皇の本気だ!」

「神の加護よ、我らに力を!」


剣の一閃と祈りの光が同時に伯爵へと放たれ、観客席からは割れんばかりの歓声が上がる。悪の伯爵はひときわ大きな悲鳴を上げ、煙を残して舞台袖へと消えていった。


残された二人は、衣装の裾を整えながら微笑み合う。


「いやはや、思ったよりもいいコンビでしたね」

「次は観客投票で私の人気が逆転するはずです」


軽口を交わす皇帝と教皇に、客席からはさらに大きな拍手と歓声が飛ぶ。幕が下りるまでの間、誰もが熱狂の余韻から抜け出せなかった。


「ご来場の皆様におしらせです。この後、物販会を行います。」


物販会では皇帝や教皇をモチーフにした薄い本なども売られた。中には皇帝と教皇を美少女にしたものや、猫耳にしたようなものまで売られている。街の作家を動員して創らせたものだが、そこまでやれとは言ってない。


群衆達はこぞって自分の推しグッズを買い求めた。少数だが、悪魔伯爵推しも現れた。残念ながら本当に少数だったけど。


物販会の他にも屋台が多く出店している。皇帝派と教皇派という言葉は権力争いのためのものではなく、推し活のものに変わった。


同時に領主の権限で、相手の推しを悪く言うことを禁止した。そして、推し活警察を発足させ、健全な推し活を行うように指導させる。


人々は自分の意思で自由に皇帝推し、教皇推しを選ぶようになった。今までつけていたスカーフから色を変える人も続出。両方の色をつける両推しも出てきた。


ーーーー


あの丘の両派の大集会の後、各地で皇帝と教皇を主人公にした演劇、書籍、フィギュアなどが出てきた。変わったところでは料理の名前などに皇帝の〜とか出てくるものも。もはや、皇帝派と教皇派という言葉自体に持つ意味が置き換わっている。


「単なるファン活動に置き換えることに成功したぞ!」


「ご主人様。ですが、権力争いですよ。そう簡単には……」


「ふっふっふ。エルザ君。推し活というのは兎に角、金も情熱も必要なものなのだよ。まあ、こういう分野にエネルギーを消費させればそのうち諦めるさ」


「確かに、権力争いの中心的人物達も馬鹿馬鹿しくて諦めているようです」


実際、若い貴族からは、闘争本能剥き出しのおっさん達を冷めた目で見る空気が作られた、社会はその空気に流されている。


「ある意味、闘争なんてのも余力がないとできないことだからね。その余力を推し活という分野で浪費させてやれば、みんなそれどころじゃなくなる。まあ、そのうち推し活も飽きるだろうから、いつまでも続くわけじゃないと思うけどね」


ブームはいつか去る。その時に何か新しいものを仕掛けなければいけないだろうけど、それは僕なのか、僕たちの次の世代なのかわからない。でも、こんなアホな方法で戦争を回避したという実例があってもいいんじゃないかな。

だって異世界だもん。


こんなくだらない物を読んでくださってありがとうございます。

是非是非感想など聞かせてください♪


いろんな人に読んで欲しいので⭐️評価などいただけると嬉しいです!

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