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まさかの繋がり

 名残惜しくもシスタは勉強の途中だったこともあり、私は泣く泣く部屋を後にし、今度は両親に見せに行った。ちなみに会いに行く道中で使用人にすれ違う度に剣を見せびらかして自慢した。

皆大いに喜んでくれたし、中には感極まって涙を流す人もいた。その人達は皆、私が男装をする前から仕えている人達だった。


「お父様! お母様! 見てください!」

「ヴィリアン坊ちゃま、今は来客が──!」


おっと、早く報告したすぎてうっかりノックをするのを忘れていた。

執務室には馴染みのメイド長や執事長、護衛隊長、そしてソルシー、あとは初めて見る顔が二名。一人はうちの魔法部隊のリーダーだろう。我が家の家紋が入ったローブを着ているし。ということは、この鎧を着た赤髪茶目の男性は……誰だろう? どこかで見たことある気がするんだけど……。ただ、この男が強いことは分かる。私が入った時、真っ先に剣を手に当てたのがこの人だった。きっと足音がしていた時点で警戒をしていたのだろう。教官並みの実力者とお見受けする。


「ヴィリアンか。すまない、今はちょっと取り込み中でな。何か急ぎの用でも?」

「え、あ、いえ……」


なんか、全員にじっと見られていると流石に緊張するな。しかし、あんな意気揚々と入ってきて何もないですって退出するのもなんかなって思う。ええい! 剣術が認められたなんて立派なことじゃないか! ちょっと申し訳なさそうに報告して去ろう!


「すみません、本日教官が私の剣術を認め、剣を贈って下さったので。あまりに嬉しくてお父様とお母様に早く報告したい一心で参りました。その、申し訳ありません」


あとは目に涙を溜めてうるうるさせれば、とりあえずお咎めされることはないだろう。


「そうか! それは立派な事だ! よく頑張ったな、ヴィリアン!」


父親は席から立ち上がり、私の前で片膝を付いて笑顔を浮かべて頭を撫でた。


「お、怒らないのですか?」


今度は母親が両膝を付き、私を抱きしめた。


「我が子の成長を怒る親がどこにいますか。ましてやあんなにも嬉しそうに報告に来たのです、とても大事な一報でしたよ。ヴィリア、おめでとうございます」


申し訳なさそうにしたからか、もしくは目に涙を溜めたことか、どちらにせよ怒られなくて良かった。


「ヴィリー様、おめでとうございます」


ソルシーのその言葉を皮切りに、他の人達も祝いの言葉を述べた。


「ヴィリアン様、初めまして。シトロン・バトラと申します。現在は王宮騎士団団長任されており、また、伯爵の地位を授かっております」


王宮騎士団団長かつ伯爵……! この人、攻略対象の父親じゃん! いやいや、取り乱すな私。私はシスタの為に動いているわけであって、別に破滅回避に奔走しているわけではない、つまり無関係! 普通に対応すればいい。


「これはご丁寧にありがとうございます。お初にお目にかかります、ヴィリアン・ロジャーと申します」

「これはこれはご丁寧にどうも。その、良ければそちらの剣を拝見してもよろしいでしょうか?」

「これですか? どうぞ」


汚したり壊したりしないでくださいね。


「ありがとうございます」


団長は剣全体を細部まで注視した。


「とても良い剣ですね。あなたのお師匠様はよほど剣に精通しているとお見受けします」


団長はそう言って鍔を見た。その瞬間、顔が固まった。


「ヴィリアン様、つかぬことをお聞きしますが、お師匠様の名を伺ってもよろしいでしょうか?」


鍔に彫られているのに聞くとは変な人だな。


「ムッシュ・サベルです」

「その名に間違いはございませんか?」

「は、はい。私はそう聞いています」


なんだろう? もしかして教官、元犯罪者とか? ありえる。公爵令嬢だろうとお構いなし、初期の頃は父親に言われていたとはいえ、倒れさすほどのきつい特訓を強いる鬼。今はマシになったとはいえ、防具の上ならば強烈な一撃をお見舞いするゴリラ。黒い歴史があったところで驚きはしない。むしろ納得するくらいだ。


「なんですか? やっぱりあのおっさん前科があるやばい人なんですか? もしくは罪を犯したのに時効となった凶悪犯とか」


こういう時ソルシーって頼りになるなって思う。本当に人を誤れば首飛ばされてそうな人だけど。


「そんな、滅相もありません! サベル様は剣士、また剣士を志す者であれば誰もが尊敬するお方! 今まで相手が誰であろうと、何であろうと不敗を誇ってきたお方! ロジャー様、一体彼をどこで見つけてきたのですか⁉︎ いえ、それよりも本当に彼なのですか⁉︎ 同姓同名とかではなく⁉︎」


団長のその興奮した喋りに、ソルシーが嫌そうにしていた。ソルシー教官嫌いだもんね。てか教官、そんなにすごい人だったんだ。


「まあまあ、落ち着いてください。彼はヴィリアンの家庭教師を務めている方のツテで紹介してもらったのです。家庭教師の知り合いに彼のお子さんがいて、たまたま話を持っていってくださったのです」


まさかの教官もティディから! いやほんと、ティディの人脈どうなってんの……。

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