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大掃除①

 まずはクローゼットを設置する床と壁を掃除する。もうこの時点で心が折れそうになった。我が家は日々どれだけ綺麗に掃除されていたのかと、使用人のありがたみをひしひしと感じるよ。


「あの、私は何をすればよろしいでしょうか?」


この部屋の主だ、掃除をさせたところで絶対碌なことにならない。もう全部やるからその辺座ってていいよって本当なら言いたいが、そんなこと言えるわけもないので、邪魔にならないかつ手伝っていることを実感できる仕事を頼む。


「じゃあ、その床に放られている服を種類別に分けて。洗濯してないやつがあればそれは避けて」

「はい!」


 さてと、床と壁、あと埃を被ってたクローゼットも綺麗にした。あとは立てるだけ。


「…………」


お願いだから虫とか出てこないでよ。お願いだから。


「ふっ!」

「わぁ〜、ボス力持ち〜」


膝を抱えて座ってるとまるで小学生だな。

一応リシアがイスとか用意してたけど、まあ、座りたくないよね。


「ほ、本当に何入ってるの? クローゼットとは思えない重さなんだけど」

「何でしたっけ? 適当に家から持ってきた物を詰めたので、私も把握していないんですよね」


本当に怖いこと言わないでくれる? と、とりあえず、この悲鳴を上げているクローゼットをどうにかしないと。


「い、いくよ、開けるよ」

「い、いいよボス。僕はもう覚悟出来てるよ」

「変なものはないと思いますよ」

「その言葉、信じるからね」


クローゼットを思いっきり開けると、中からバラバラと危険物が落ちてきた。


「ああ! こんなところにあったんですね! 無くしてしまったかと思って焦っていたんです」


リシアは嬉しそうに落ちてきた物を回収していく。


「の、農作業グッズ?」

「はい! もしかしたら学園でもやる機会があるかと思いまして。私農作業は家でよくやっていたので得意なんですよ!」

「そ、そうなんだ」


 ──ぐに。…………ぐに?

靴の裏に嫌な感触がして恐る恐る足を退けると、そこには土からウヨウヨ出てきたミミズの大群がいた。


「──────⁉︎‼︎⁉︎‼︎」


もう衝撃なのと気持ち悪いのとで頭がおかしくなった。いや、私も庭の手入れとかしてたから虫は平気だよ。でもね、外で見るのと家で見るのじゃ全く別物なんだよ⁉︎ もうアドラなんて顔真っ青にして口ぱくぱくさせてるし!

てか何でミミズ⁉︎ 他のもいるし!

そう思って再びクローゼットに目をやると、破れた袋から溢れた大量の土が目に入った。


「クローゼットは物置じゃない! 服入れる場所! それに、土なんて持ってこない!」

「すみません。肥料の役目もしますので、少しくらい持ってきても良いかと」


少しじゃない!


「だとしても! 百歩譲って土は良いとする! でも虫は取り除いてくる! 分かった⁉︎」

「す、すみません。ちゃんと確認したつもりだったのですが、卵が入っていたのかもしれません。今後はもう持ってこないようにします」


それが当たり前だよ。


「いやー! ボス、ボス! む、虫がこっちに来る! いや! いやいや!」


女子より女子の反応してるな。


「これで大丈夫ですよアドラ様」


リシアはサッと虫を掴むと窓から捨てた。下に人いたりしないよね?


「この土、どうしましょう。袋は破れてしまいましたし」


私はねリシア、君のことを正統派ヒロインだと思ってたよ。でもね、この部屋を見た時残念ヒロインだと思ったんだ。それがほんの数分でもうダメヒロイン認定だよ。攻略対象達もダメ人間だが、今のリシアを見て正直納得したよ。攻略対象は性格だけど、リシアは生活力がダメだ。たぶん、私が今見てるリシアはおそらく運営の人がお酒のノリで面白半分で付けた死に設定の部分なんだろうな。知りたくなかったよ。


「捨てるよ」

「やっぱり捨てちゃうんですか……」


リシアは少々残念そうにしている。可哀想とは思わないぞ。私の方が可哀想なんだから。


「文句は言わせないよ」

「分かっています」


私は杖を出して、風を操作する。氷ほど慣れてないから、少しずつ土を窓から捨てる。


「ボスの魔法って氷じゃなかった?」

「私は二属性持ちなの」

「え、すごいですね!」

「まあ、たしかに珍しいね。じゃ、掃除再開しようか」


そう言うと、アドラは付いてきたことを後悔する顔をした。けど、無理やり付いてきた手前、一人だけ帰ると言えないのだろう。

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[良い点] アドラは一番普通だった
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