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無力な私

 あれから数日が経ち、私の怪我は完治していた。けど、シスタは今日も部屋の中から出てこない。


「シスタの様子はどうだった?」

「お変わりありません。以前よりも表情は暗いままで、人に触れられることに多少の恐怖心があるように感じます。お怪我の方は少しずつですが良くなっています」

「そう。ありがとうニーファ」


シスタの精神的なことを思うと、私は会いにいかない方がいい。だけど、シスタが辛い時に側にいられないことがこんなにも苦しいとは思えなかった。何より、それが私のせいということが、自分の心を苦しめている一番の理由ということが、私は何よりも辛かった。


「ヴィリアラ様、こんな時に言うのはあれですが、魔法の先生が来週から来られることが決まりました」

「そう。ティディに感謝しないとね」

「ヴィリアラ様……」

「ニーファ、私のことどう思う?」

「どうとは?」

「私のせいでシスタはあんなにも傷ついたのに、私はなんともない。おかしいと思わない? なんでシスタなのかな。私が呪われた子であれば、シスタはあんな目に遭わなかったのに。私がヴィリアラ・ロジャーだから、シスタがあんな目に」


ニーファはそっと私を抱きしめた。


「そのように言わないでください。ヴィリアラ様は正しいことをなさりました。ヴィリアラ様がいたから、シスタ様は助けられたのです」


違う、違うよニーファ。私がヴィリアラだったせいでシスタは怪我をしたんだよ。ヴィリアラのままならシスタは罵倒されるだけで済んだんだよ。全部私のせいなんだよ。私がシスタを傷つけたんだよ。


「私は、ただシスタを守りたかっただけなのに、傷つけたくなかっただけなのに、どうしてこうなっちゃうの。どうすれば良かったの。教えてよ」


ニーファの服を握って、ニーファの胸に顔を埋めて、答えの分からない問いを涙と共に溢し続けた。


「私なんて、生まれてこなければ良かったんだ」


零れた言葉を否定するように、ニーファの抱く力が強まった。


「私がこうしてロジャー家でメイドをできるのも、シスタ様が笑顔を見せられるのも、全てヴィリアラ様のおかげです。ですから、どうかそのような言葉だけは言わないでください」

「ごめんなさい、ごめんなさい、シスタ。ごめんなさい」


ここ数日はこうして泣き続けて眠ってしまうことが多かった。昨日も今日もそして明日も、きっと泣き疲れて眠るのだろう。そんな生活を案じた両親は動き出した。

夜にもう一話投稿します

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