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運命の出会い

 私が前世の記憶を取り戻したのはオムツを変えられた時。

 そう、変えられた時だ! 

 なんともいえぬ羞恥が私の前世の記憶を取り戻させるトリガーとなった! 

 いや、まあ取り戻したところで名前は覚えていないし、死因も年齢も覚えていない。自分のことは本当にあまり覚えていない。

 ただ、生前どハマりしていたであろう乙女ゲームの内容は覚えている。ゲーム内容というよりはあるサブキャラクターに関してなんだけどね。

 はぁ、可愛かったな。もう二度と拝められないなんて酷いよ神様。前世の私そんなに悪い子でした? この世界では改心して良い子になるから、せめて次死んだ時はまた会わせてください。

 あと、せめておまるください。私生後何ヶ月? 思い出す前までの記憶遡ったところで生後何ヶ月かなんて分かんないよ。


「おや、どうされましたかお嬢様。涙が溢れていますよ。奥様と旦那様はもう少しでお戻りになりますので、お辛いとは思いますがそれまでは耐え忍んでくださいませ」


 赤ちゃんというのは感受性豊かすぎるのか、私の悔しさが涙として溢れてしまっていたらしい。なんと不便な体なんだ。

 そう思っていたのもちょっとの間。

 この体何もしなくていいから、オムツを変えられることさえ除けばめちゃくちゃ便利! まるでお姫様にでもなった気分。

 というか、内装的に外国の良いとこの家だろうしほんとラッキー! まあ、色々と時代遡ってそうなのは目を瞑るけど。


 そんなこんなで、自分なりに快適に食べては寝ての暮らしを満喫していた。

 しばらくして、両親が帰ってきたのだろう。屋敷の中が騒がしくなった。


「奥様、旦那様、お帰りなさいませ。……そちらのお嬢様は?」

「弟に押し付けられたのです! 私だってこんな気味の悪い子、側におきたくなかったです!」


 茶髪に紫目のおそらく母親と思われる者が罵声を浴びせたと思われる子は、真っ白な髪にくりっくりの可愛い黒い目をした幼子だった。

 そう、私の人生で一番の推しと同じ姿の。

 運命だと思った。


「まあまあ、貴族が子供を捨てたなんてバレたらそれこそ大変なことになっていたんだ。ここは我慢してほしい。……ん?」


 こっちは父親だろう。母親よりも濃い茶髪に灰色の目の男性。

 しかし、私が興味を持ったのは両親なんかではない。

 私は父親に抱かれている幼子に向かって必死に手を伸ばした。

 身を乗り出し、全身で彼女に向けて手を伸ばした。

 これがかつての推しかは分からないけど、この子は間違いなく、私がこの世界で生きていく上で一番の宝物、いや、宝人だ。そう、確信した。


「んん〜」


 あと、もうちょっと。届い──。


 私の手が彼女のその綺麗な髪に触れる前に、母親がそれを阻止した。

 まるで、不潔なものを触ろうとする子供を止めるように。


「パティア、警戒しすぎではないか?」

「ヴィリアに悪魔が乗り移ってでもしたらと思うと心配で心配で。ああ、考えるだけで頭が──」


 ヴィリアって、嫌な名前。


「パティア!」

「奥様!」


 母親が倒れたことや、それに懲りずに妹に近づこうとする私の態度に危機感を持ったのか、妹は一室にほぼ監禁に近い状態で過ごすことになり、そこに私が入ることは許されなかった。

 だが、それで諦めるほど私の愛は軽くなかった。

主人公の容姿は次話です。

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