表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヤンデレ乙女ゲームのモブ令嬢は、最推し王子の誘惑を全力で拒否したい。  作者: 清澄 セイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/88

時は経ち、摩訶不思議な関係。

 ♢♢♢

 それからまた月日は流れ、私は十一歳を迎えた。ライオネルも十歳となり、火災に巻き込まれるであろう年まで、後りは一年に迫っていた。

「やぁ、マーガレット嬢」

「エドガー殿下、ご足労感謝致します」

 出会ってから約二年。紆余曲折あったようななかったような、ともかく彼とアンドリッサが会う時には、なぜか我が屋敷を使うようになっていた。


 婚約者二人の逢瀬をことごとく邪魔し続けた私は、側から見れば明らかに横槍を入れている性悪な令嬢。けれど当のアンドリッサがそれを嫌がるどころか、何かある度にマーガレットの名前を出し、勝ち誇ったような瞳で「あの子は私がいなければ生きていけないの」と断言する。


 これにより私は彼女の腰巾着的存在と思われ、仲を取り持てと命令されているのだろうと囁かれた。

 周囲からどんな風に思われようと一向に構わないのだけれど、それよりもこの二年で様変わりしたエドガーの態度の方が私を悩ませていた。

「随分余所余所しい物言いだね。マーガレット」

 彼は私の腕をくいっと引き寄せ、耳元で甘く囁く。そしてさらに、こう続けた。

「君の願う通り、アンドリッサを愛する()()をしている僕を、もっと褒めてほしいな」

「は、はひぃ」

「ああ、可愛い」

 いつの間にか私を呼び捨てるようになったエドガーは、遺伝子レベルで完璧だった。造形はもちろん、纏う空気感、放つ香り、視線から漂う色香その他諸々。

 私の行動を読みきった彼は、いつだったか私を呼び出し「アンドリッサと僕をどうしたいの?」と問いかけた。考えあぐねいた末に「仲良くしてほしいけどあまりしてほしくもない」とバカ正直な珍回答をしてしまった私の目の前で、なぜかエドガーは涙を流しながら大笑いしていたのだ。

 そして、その要求を呑む代わりに「僕を楽しませて」などというふわっとした交換条件を私に提示して来た。


 こうして、婚約者二人プラスマーガレットという奇妙な関係が成り立ったというわけだった。

「君の瞳は僕に見惚れているくせに、他の令嬢とは何かが違う。そういう、単純に見えて案外複雑そうなところが、僕は好きだよ」

 一瞬の隙を突いてするりと彼の腕から抜け出した私。くすくすと笑う絶世の美少年の破壊力は凄まじく、気を抜けば「私と死にましょう」と口走りそうになるのを必死に堪えるというのは、最早恒例行事と化していた。


「アンドリッサ様も間もなく到着されるかと」

「ふぅん、そうなんだ」

 さして興味もなさそうな声を漏らしたエドガーは、またすぐに私に向き直る。

「今日は珍しいお菓子を持って来たんだ。君がチョコレート好きなのは知っているけれど、たまにはと思って」

「それはそれは、楽しみですわ」

 彼が私の反応を揶揄っているだけというのは分かっていても、泡を吹いて倒れそうになるくらいには恥ずかしい。リリアンナやアンドリッサだった頃には、戸惑いなく受け入れられたというのに。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ