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☆第30話 ラウンドAにて①

俺と愛菜、そして大輝と美織の4人はラウンドAのエントランスに入った。



「きゃはは、さあ、何する?何する?きゃははー」



愛菜一人だけテンションがおかしい。


愛菜のこういうところって、なんか子どもみたいなんだよな。まあ妹感覚で可愛いと思うけど。


すると大輝があごに手を当てながら言う。



「そうだな、まずはボウリングでもやるか」



「いいわね。やっぱりラウンドAにきたら、ボウリングよね」



美織がうんうんと頷きながら大輝に同調する。


確か大輝と美織はボウリング得意だったよな。俺のハイスコアは…130位だっけ。


愛菜はどうなのかな。俺は愛菜に聞いてみた。



「愛菜、ボウリング、ハイスコアはどのくらい?」



「えー、ハイスコア?わかんない。て言うかボウリングなんて、ほとんどやったことないし。あはは」



ああ、そうなんだ。まあ俺もぶっちゃけ、言うほど経験はないんだけど。


ちなみにこの施設は1階が全フロアゲームコーナーで、ボウリング場は2階にある。


俺達はエレベーターで2階に上がる。


エレベーターのドアが開き外に出ると、ガコンと言うピンの倒れる音と、プレイヤー達の歓声が聞こえてきた。



「わあ、ボウリングだ!すごいすごい!あははは」



愛菜のテンションが増々上がってきたな。愛菜は目をまんまるにして、周りをキョロキョロと見渡した。


ボウリング場は休日のためか、かなり混んでいた。


俺達は受付カウンターに行き待ち時間を聞くと、どうやら1レーンだけ空いているようだ。


大輝が代表で受付を済ませ、俺達はそれぞれシューズBOXに小銭を入れて、ハウスシューズに履き替えた。



「俺らは第3レーンだ。空いていてよかったな。」



大輝が受付から戻って来て言った。大輝もハウスシューズに履き替える。


そして俺達は第3レーンのイスに座り、ゲームをどうするか話し合った。



「そうだな、せっかくだから男女二組に分かれて、ハイスコアの合計で勝負するか」



そんな大輝の提案に、愛菜と美織も乗ったようだ。


そうなるとペアは必然的に…。


すると美織がさも当然のように言った。



「そうね、そうなると、私と大輝、そして陽と愛菜ちゃんのペアで決まりね」



「きゃはは、そりゃそうよね!私は陽とカップルーえへへ」



いやいや愛菜、カップルじゃなくて、ペア、な。


すると愛菜は楽しそうに俺にすり寄ってきた。だから、ペア、な。


そして大輝がニヤッと笑って言った。



「じゃあ、負けたペアには、何かバツゲームをしようぜ」



すると愛菜がとんでもないことを言い出した。



「バツゲームね、いいよー!じゃあ、バツゲームは…キ、ス。きゃははは」



「こらこら!愛菜、キスはだめろ!」



俺は慌てて愛菜に抗議をするが、愛菜の暴走は止まらない。


おまけに美織も、「いいんじゃない?」と愛菜の提案に賛同した。おいおい、美織おまえ…。


俺は必死になって更に抗議の声を上げる。



「いやいや、マジでキスはダメだって!大輝と美織の事は知らないけど、俺と愛菜はただの友達だからな!」



「あら、私と大輝だって、ただの友達よ?今のところはね」



美織、なんか含みのある言い方だなあ。まあつまり、ここにカップルは存在しない訳だ。


なら、キスはやっぱりやり過ぎだわ。


すると大輝が今度は妥協案を提示してきた。



「陽、じゃあバツゲームはハグにしよう。負けペアは抱き合って、それをスマホで撮影する。それでいいか?」



「ああ、そうだな。それくらいなら…」



まあ、ハグくらいならいいか。でもそれを撮影してどうしようと言うのか知らないけど。


と言うか、ハグがバツゲームとか、なんか違う気がするなあ。


普通はジュースをおごるとか、そういう感じじゃないの?



まあそれはともかく、こうして俺と愛菜、そして大輝と美織のペアでゲームをすることになった。


但し、俺と愛菜のペアでは大輝達に負けるのは必然なので、俺と愛菜でそれぞれ30ポイントのハンデを貰った。


うーん、これでもハンデが弱い気がするなあ。



ゲームの順番は、大輝、美織、愛菜、そして俺の順番で投げることに決まった。


そして合計3ゲームをやって、1ゲームごとに勝敗を決め、2勝以上したペアが勝ちと言う流れだ。



まずは最初に大輝が投球する。大輝は重量級の15ポンドのボールをチョイスした。



「じゃあ、行ってくるわ」



そう言うと大輝はレーン前に立ち、キレイなフォームで15ポンドの玉を豪快に投げた。


玉は少しカーブしながら、レーン中央めがけて高速で走って行く。



「ガコーーーン!!」



大きな音とともに、全ピンが勢いよく吹っ飛んだ。いきなりのストライクだ。


大輝はニヤリと笑って帰ってきた。そして美織とハイタッチ。美織はうんうんと頷きながらニコニコとしている。


それを見た愛菜は、口を開けたまま固まっている。



そして次は美織の投球の番だ。美織は11ポンドのボールをチョイスした。以外に重い球を投げるなあ。


美織はレーンまで行くと後ろを振り向き、ニコッと笑った。


そしてこれまたプロボウラー並の綺麗なフォームで投球をした。


玉は大輝と同じようにカーブを描きながら、これまたレーン中央めがけて玉が吸い込まれて行く。



「ガコーン!」



ピンは惜しくも左側2ピンを残してしまった。


美織はしれっとした顔で帰ってきて、戻ってきた自分の玉を布で軽く拭いた。



「まあ、これはスペアね」



そう言うと美織はまたレーンに歩いて行き投球した。


美織は言葉どおりに残りの2ピンを倒し、スペアをとった。


笑顔になって帰ってきた美織は、また大輝とハイタッチをした。



さて次は…いよいよ愛菜の投球の番だ。なんだか嫌な予感しかしない。


愛菜は棚から11ポンドの玉を、よいしょよいしょと言いながら持ってきた。持つというより、担ぐという表現の方が適切か。


俺は思わず愛菜に声をかけた。



「愛菜、それ、おまえが投げるには重すぎると思うわ。9くらいにしてみなよ」



「これでいいの!これ、11って美織ちゃんと同じでしょ?」



そう言うと愛菜は、11ポンドの玉を重そうに持ちながら、レーンに向かってしまった。



「ようし、いくわよー!ストライクとっちゃうからね!きゃはは」



俺は半ば呆れ気味に愛菜を見つめていた。どう考えても愛菜には重すぎる玉だ。


そして愛菜は、玉に左手を添えながら右手に持って、レーンに玉を投げようとした。



「せーのっ!よいしょっ!」



すると玉が投げ放たれたと同時に、愛菜は前のめりにドスンと倒れてしまった。


玉は右サイドのガターゾーンに入り、ゆっくりと遠ざかっていく。


倒れ込んだ愛菜のミニスカートからは、黒いフリルの付いた濃ピンクのパンティが丸見えだ。


俺は愛菜を助けるのも忘れて、パンティに見入ってしまった。


そして愛菜は床に手をついて、四つん這いの体勢になる。


おいおい愛菜、なんかいやらしい格好になっているぞ!


俺は愛菜の姿を見て、ゴクリと唾を飲み込んだ。


愛菜の…パンティ…。いやいや、俺は何を考えているんだ!



すると美織が立ち上がり、愛菜に駆け寄って行った。



「いたたたた」



「愛菜ちゃん、大丈夫?」



そう言って美織が愛菜を抱き起こす。



「いたた、もう、膝、擦りむいちゃったわよ」



愛菜は頬を膨らませて少し怒った様な表情になった。だから言ったじゃないの。



「愛菜ちゃん、ボールの重さを下げましょう。それに、投げ方も教えてあげるから」



美織は愛菜に優しい口調で言って、棚から8ポンドの玉を持ってきた。


そして親切に、愛菜に投球の仕方を教えてくれた。


もちろん今の愛菜にキレイな投球フォームは無理だから、初心者用の投球スタイルを教えている。



そして愛菜の2投目。


8ポンドの玉はゆっくりと放たれ、真っ直ぐにレーン中央へと向かって行った。



「ガコン」



愛菜は今度は8ピンを倒すことができた。



「やった!当たったあ!あははは」



愛菜はそう叫んで、飛びあがって喜んだ。そして俺達に向かってピースサインを送る。


まあ8ピンも倒したなら、まずまずと言っていいよな。



「陽、私やったよ!褒めて褒めて」



そう言いながら愛菜は両手を胸の前で組んで、まんまるお目めで俺をじっと見上げる。


俺は「よくできました」と言って、愛菜の頭を撫で撫でした。



次は俺の投球の番だ。ぶっちゃけ、俺も愛菜の事をどうこう言える程上手くはない。


俺は、12ポンドの玉をセレクトし、ぎこちないフォームで投球した。



「ガコーン!」



運悪く、ピンが左右に分かれてしまった。仕方がないな。


俺は2投目で、右の2ピンに照準を合わせて投球した。でも狙い過ぎたのか、玉はガターゾーンに入っていった。


俺が渋い顔で戻っていくと、愛菜が俺の顔を見て「残念ー」と言った。


でもその顔はニコニコ笑顔で、全く残念そうには見えなかった。



その後も俺達は順番に投球していった。


さて、敗者は一体どちらのチームになることやら…。

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