表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/31

☆第22話 萌とのお出掛け②

皆様、ご愛読ありがとうございます。

執筆初心者で素人同然の筆者ですが、現在まで日間ランキング100位以内に留まっております。

これも皆様の応援のお陰と、本当に感謝しております。

今後もよろしくお願いします。

俺は、イケメン店員の青山さんに連れられて、VIPルームに入って行った。


中に入ると、部屋の壁が黒色で、全体にシックなイメージの部屋だ。


中央にガラステーブルと濃茶色のソファが並び、部屋の周りには青い照明、そして絵画や調度品が並んでいる。



「さあ陽様、お着替えを致しましょう」



部屋の隅に試着室の様なスペースがあった。


そこで俺は服を脱ぎ、着替えを始めた。


インナーシャツの上にワイシャツ、ジレベストとやらを着てネクタイを締める。ネクタイは青山さんに手伝ってもらった。


そしてジャケットを羽織り、スーツパンツを履き、ベルトを締めた。


更に革靴に履き替え、ショルダーバッグから荷物を取り出して、新品のバッグに詰めて変えていく。



「陽様、とてもお似合いです」



青山さんはそう言うと、満足げにほほ笑んだ。



「さあ、萌お嬢様にお見せいたしましょう」



そうして俺と青山さんは、VIPルームを出て行った。


俺が店内に戻ると、アクセサリーを見ていた萌が俺のほうに振り向いた。



「陽君…素敵だわ…」



「そ、そうかな?」



「ええ、とても素敵よ、本当に」



そう言って、萌は頬をピンク色に染めて、うっとりとした顔で俺を見ている。



濃いグレーのスーツの下に薄いブルーに縦じまのワイシャツ。そしてジャケットと同系色のジレベスト。


ネクタイはシンプルな濃紺のネクタイで、斜めに薄く縞模様が入っている。


そして革靴は濃茶色で、みるからに高級そうだ。この革靴だけでも一体いくらするのか…。


スーツもよくわからないが、おそらくブランド品なのだろう。


そして、黒色の、プラダのバッグ。


これって、俺みたいな高1のダサ男子に、本当に合っているのか?



「陽君、今、自分には似合っていないと思っているんでしょう?」



萌が俺の目をじっと見つめながら言った。



「ああ、うん。だって、俺みたいなダサイ男が、こんな立派なスーツ…」



「陽君、もっと自分に自信を持ちなさい。少なくとも私は、本当に素敵で似合っていると思うわよ」



そう言って萌は俺に近づいてきて、俺の手を握りしめた。


その手は、柔らかくて温かかった。



「青山さん、陽君の荷物は、今日中に陽君のご自宅に届けておいてくれるかしら?」



「かしこまりました、お嬢様」



そして俺はメモ帳に住所を書いて、青山さんに手渡した。



「じゃあ、支払いはいつものようにお願いね」



「はい、萌お嬢様、お買い上げ、ありがとうございました」



そう言って青山さんとお姉さんは、深々と頭を下げた。




ショップから出てきた俺は、唖然としながら思わず萌に聞いた。



「あの、萌ちゃん?合計金額っていくらになったのかな?」



「さあ、わからないわ。私、そんなの気にしたことがないから」



「え?だって、すごい金額になるんじゃ…」



「支払いはお父様のところに行くから、気にしないでちょうだい」



はあ、左様でございますか。まるで別世界の出来事が、今の俺の身に起こっているぞ。


金額を気にするなと言われても…なんだか、冷や汗が出てきて止まらないよ。


すると俺の顔をじーっと見つめていた萌が言った。



「陽君、メガネを止めて、コンタクトにしてみない?」



コンタクト…いやいや、ずっと眼鏡できたからな。コンタクトはちょっとあれだな。


それに、正直俺は自分の顔が嫌いだ。だから眼鏡をかけていた方が、安心感があるんだよ。



「いや萌ちゃん、俺、眼鏡でいいよ。眼鏡が好きなんだ」



「そう…わかったわ、じゃあ今度は、メガネを買い替えましょう」



え?眼鏡を買い替える?俺、今の黒縁の眼鏡が気に行ってるんだけど。


フレームが太めで、顔が隠れるから。



「萌ちゃん、眼鏡はこれでいいよ」



「それじゃダメよ。陽君のそのスーツに合ったメガネを買いましょう」



萌はそう言って、俺の腕に自分の腕をからめながらまた歩き出した。





そして歩くこと5分。眼鏡屋さんに到着した。ここもなんか高級そうな店構えだなあ。



「陽君、ここにしましょう」



そうして俺と萌は、店内へと入って行った。



「いらっしゃいませ」



女性の店員さんが笑顔で頭を下げた。


萌が店員さんに話しかける。



「彼のメガネを新調したいのですけれど、視力検査をしてくださるかしら」



「はい、かしこまりました。ではこちらへどうぞ」



そうして俺はイスに座って、視力検査を受けた。


その間、萌は店内を見て回っている。


やがて視力検査が終わり、俺は萌に近づいて行った。



「陽君、これなんてどうかしら?」



萌が手にしているのは、細身のシルバーフレームで、スタイリッシュな眼鏡だった。



「こんな洒落た眼鏡、俺に似合うかなあ」



「ええ、似合うと思うわよ。だって、今の陽君のメガネ、全然似合っていないもの」



なんだって?似合ってない?


萌、今まで俺の事をそんな風に見ていたんですか?めっちゃショックなんですけど。



「陽君、とりあえず、かけてみてちょうだい」



「ああ…うん」



俺は眼鏡を萌から受け取り、かけてみた。そして萌に顔を見せた。



「ど、どうかな?」



「うんうん、やっぱり似合っているわよ。素敵よ、陽君」



萌はニッコリ笑顔でそうこたえた。


どれどれ。俺は目の前の鏡を見てみた。


うーん…確かに今のやつより断然こっちの方がいいのは、認めざるを得ない。



「陽君、これにしましょう。店員さん、これをお願い」



「レンズの種類は、どういたしましょうか?」



「レンズは、薄くて、いちばんお高いものを用意してくださる?」



「かしこまりました。暫くお待ちください」



そうして眼鏡が出来あがるまでの間、二人で店内を見て回っていた。


すると萌が、腕時計のショウウインドウで何かを見つけたようだ。



「あら、この腕時計、素敵ね。陽君、これ付けてみましょう」



「ん?どれどれ」



!!


これは、ロレックスじゃないですか!!


いやいや、これはいくらなんでもダメなやつだよ。


萌、流石にこれは平凡な高1のダサ男子が身に付けるものではないですよ。


なんだか、吐き気がしてきた。



「萌ちゃん…これはさすがに、まずいよ…」



「何がまずいんですの?文字盤とフレームがブルーで、綺麗じゃない」



「いや、そういうことじゃなくて」



「店員さん、この腕時計見せてくださる?」



すると男性店員が近づいて来た。



「こちらですね。こちらは、ロレックス、サブマリーナーデイトのロイヤルブルーでございます」



そして白い手袋をした店員がロレックスを取り出し、俺に手渡した。


俺は店員に、小声で聞いた。



「あの、これって、おいくらでしょうか?」



「こちらは、税込み3百10万円になります」



さ、さんびゃく、じゅうまんえん!!


俺の顔から汗がどっと拭きだした。それになんか眩暈めまいが…



「さあ、陽君、はやく付けてみてちょうだい」



萌が俺に、なんだか子どもがおねだりする様な表情でうったえかけてくる。


まあ…とりあえず付けてみるか。そうすれば、萌も納得するだろう。


俺はロレックスを、左手首に付けてみた。



「すごーい、陽君にとても似あっているわ!私これ気に入ったわよ。店員さん、これ、くださるかしら」



「はい。お買い上げ、ありがとうございます。只今ご用意いたします」



俺はロレックスを外して店員に手渡した。


そして萌に近寄って、小声で話しかけた。



「萌ちゃん、これはさすがにダメだよ。これは貰えないよ」



「なぜ?とても素敵な時計じゃない。それに陽君に本当に似合っているわよ」



「いや、じゃなくて、萌ちゃん、あれ、3百10万円もするんだよ!これダメでしょ!」



「だから陽君、私は金額なんて気にしないのよ。さっきも言ったわよね?」



「いやいや。萌ちゃんね、俺は平凡な一般家庭の人間なんだよ?萌ちゃんとは住む世界が違うんだよ」



「ちょっと陽君の言っている意味が分からないわ。同じ日本に住んでいる同じ日本人じゃないの」



うーん、困った。萌ってもしかして天然娘だったのか?


それとも、ご令嬢と付き合うと言うことは、こういうことなのか?



「とにかく陽君、これは私からのプレゼントよ。二人が初めてデートした記念日なんだから。今日くらい私のワガママを聞いてくれても良いのじゃないかしら?」



初デート…いつの間にか、デートに変わってしまっている。


でもこれが、恋愛小説ばかりで恋愛経験のない萌の、楽しい現実なのかも知れないな。


まあ、後で萌に返すことも出来るし、ここは萌に従っておこうか。



「お客様、ご用意ができました」



店員が、眼鏡とロレックスを持ってきた。



「ありがとう、じゃあ、支払いはこれでお願いしますわ」



そうして萌が、財布から黒いカードを取り出して、店員に渡した。



「さあ陽君、メガネと腕時計、ここで付けていきましょう」



萌にせかされ、俺はその場で眼鏡を交換し、ロレックスを左手首に付けた。


萌を見ると、満足そうにニコニコと微笑んでいる。



「あら、お昼をずいぶん過ぎてしまったわね。陽君、お昼を食べにいきましょう」



「ああ、うん」



「この近くにね、うちの行きつけのお店があるの。そこにしましょうね」



萌の家の、行きつけのお店…


いや、こうなったらもう、萌に最後まで付き合うよ。


まあ、萌が楽しんでくれているなら、それでいいや。



そうして俺達は店を出て、また仲良く歩き出した。

よろしければ、ブックマ・評価☆(タップ)の応援をよろしくお願いいたします。

下にある、☆☆☆☆☆→★★★★★へお願いします。


これは執筆者にとって、大変な励みになります。

どうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 萌ちやんナイスの女の子ロレックス最高です [一言] 読んでいて面白いし楽しいです。続き期待しています。
[一言] いくら見た目が変えようとしでも主人公が成長しなければ意味ないとおもうので、彼にこれからの成長を期待していますね。
[一言] 萌さんの「自分が変えてやる」という気概が見えてとても良い 札束で連打してるのは見ない事ということでw 元カノの変わらない事を不満と言ってた事との対比になってて良いですね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ