表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/31

☆第11話 道明寺萌との再会

皆様、毎度ご愛読ありがとうございます。

今回のお話しでは、陽が空に振られて街を徘徊していた時、陽を助けた少女が登場致します。


さあ、物語が始まるようです。

今日は金曜日。やっと週末が来た。



あれから大輝らのいつメンや美織の協力を得て、俺は日常生活を取り戻そうとしていた。


みんなには、本当に感謝している。


愛菜もカラオケ以来、毎日休憩時間には俺の教室に来て、俺と絡んでくれるようになった。


本当にありがたいなあ。


空は相変わらず、俺をガン無視。まあ俺もそれでいいと思っている。


もう終わったんだ。何もかも。




その日の放課後、大輝が俺の席に寄って来た。



「陽、俺、腰を痛めてしばらく部活を休むからよ。今日は一緒に帰ろうぜ」



「大輝、大丈夫か?」



「ああ、大したことはない。ただ、大事をとってな」



それならいいが。まあ屈強な大輝のことだから、すぐに復活するだろう。


俺と大輝は身支度を整え、教室を出て行った。



校舎を後にして、俺達はくだらない話をしながら校門から歩道に出る。


二人で歩いていると、隣の校舎、青蘭学園中学校の校門の前に、一台の黒塗りの外車が止まっていた。


そのまま近づいて行くと、校門から一人の少女が出て来た。


するとサングラスをかけた黒いスーツ姿の男が車から降りてきて、車の後部座席のドアを開ける。


少女が車に乗り込もうとしたその時、少女と俺の目が合った。



「あら、君、あの時の子じゃない。あれから大丈夫だったの?」



少女がそう言ったが、ん?あの時?この子、誰だ?


俺がぼーっとして考え込んでいると、少女があきれ顔で言葉を繋いだ。



「私、君が車に轢かれそうになった時に助けたじゃない。恩人を忘れたの?」



ああ、思い出した。空に別れを告げられて街を徘徊していた時、助けてくれた少女だ。



「えと…君は確か…」



「私は道明寺萌。恩人の名前を忘れるなんて、あんまりじゃない?」



「ああ、ごめん。俺は…」



「紅井陽君でしょ。私はちゃんと覚えているわよ。まったくもう」



その少女、萌は冷ややかな目で俺を見つめている。



「ああ、あの時は、助けてくれてありがとう」



俺は礼を言って、ちょこんと頭を下げた。



「本当にあの時は驚いたわよ。この人、自殺でもしようとしてるんじゃないかと思ったわ」



確かに、あの時の俺はおかしかったかも知れない。まあ自殺までは考えてもいなかったけれど。


すると大輝が俺の脇腹を軽くつついた。



「おい陽、おまえ道明寺萌と知り合いだったのか?」



「知り合いというか…大輝は彼女の事、知ってるのか?」



「お前本当に知らないのか?彼女はあの有名な道明寺グループのご令嬢で、青蘭学園一のセレブだぞ?」



ああ、そんな凄い子だったんだ。学園一のセレブ。へえ。



「お嬢様、そろそろお車にお乗り下さい」



「石川、少し待ちなさい。私はこの子と話があるの」



おいおい、俺は一応年上だぞ。この子という言い方はやめてくれ。


すると石川と言う長身の運転手が、威圧的な感じで俺に近寄ってくる。


そして俺を一瞥して言った。



「紅井様。お宅様はお嬢様とどのようなご関係でしょうか?」



「石川、私は話があるって言ったでしょ。口を挟まないでちょうだい」



「失礼しました」



そう答えると石川は三歩下がって、こちらを警戒しながら車の横に立っている。



「紅井陽君、今から私と紅茶でも飲みながらお話しましょう。とりあえず、車に乗ってちょうだい」



道明寺萌が、さも当たり前のように言う。


いやいや、急にそんなこと言われても困るよ。



「さあはやく。命の恩人の頼みなのよ。聞けない道理はないでしょ?」



すると大輝が俺の耳元で囁く。



「おい陽、お前、どうせ用事はないんだから、お言葉に甘えておけよ」



おいおい大輝、勝手なこと言うなよ。


大輝が「俺は用事があるので、失礼します」と言って駆け出して行った。


ちくしょう、大輝の奴、逃げやがった。



俺は、道明寺萌の有無を言わさない物言いに負けて、車に乗り込んでしまった。


そして萌も乗り込んで来て、石川が車のドアを閉め、運転席に乗り込んで来る。



「陽君、帰りは石川に送らせるから、安心してちょうだい。さあ、石川、出して」



こうして俺は道明寺萌の家に連れて行かれることになってしまった。





俺は高級外車の後部座席に、道明寺萌と一緒に座っている。



「陽君、あの後、家へ帰ったのね?大丈夫だった?」



「ああ、うん。おかげ様で…」



「何があったか知らないけど、気をつけないとだめよ」



「ああ、そうだね…ありがとう」




やがて車はある広大な邸宅の前で止まった。


車が到着すると、入口の鉄柵の門が開いた。そして車は敷地の中へと入って行く。



なんだこの広さは!


広大な敷地に、バカでかい建物。まるでテレビで見るような超豪邸じゃないか!!


こんな豪邸が、この街に存在したのが驚きだ。


庭内をしばらく走り、やがて車は邸宅の門の前に滑り込む。


車が停車すると、運転手の石川が車から降り、後部座席のドアを開けた。



「お嬢様、紅井様、どうぞお降り下さい」



石川がそう言うと、萌が車から降りる。そして俺も恐る恐る降りて行く。



「紅井様、ここが道明寺家の邸宅でございます」



運転手石川が、抑揚のない声で俺に告げる。




「さあ、陽君、中へ入りましょう」



そこで初めて萌はニッコリと笑った。



その笑顔はとても気高く、美しかった。


よろしければ、ブックマ・評価☆(タップ)の応援をよろしくお願いいたします。

下にある、☆☆☆☆☆→★★★★★へお願いします。


これは執筆者にとって、大変な励みになります。

どうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ちゃんと立ち直れて良かった、空との関係は過去の物ときっちり割り切るのが一番、ウジウジしてても良い事ないですからね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ