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ブールノイズの罪  作者: デグリーズノート
Chaptre Ⅰ 汚れた目の子供たち
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第5節 仲間


「なんかいい儲け話はないのかよ?」

硬いパンに腸詰肉をのせて、太った少年がそれを大口で一気にかぶりつきながら語りかける。

「こないだのエスペランザ兵から奪った金はどうしたの?バフ」

太った少年とは違って、ジマは腸詰肉のパンをチビリチビリ大事そうに嚙みしめるように食べながら太った少年バフに訊ねた。

「俺は育ちざかりなんだよ!あっという間に腹ンなかに消えちまって、残ってるわけねえだろ」

「いったいどんだけ育つつもりなんだ?ケヘヘ」

そう言って笑ったのは、バフとは対照的に瘦せ細って神経質そうな目をしているニールと同じくらいの年頃の男だった。男は薄ら笑いを浮かべ、ジマのパンを横取りしようと手を伸ばす。

「やめろ!エッツオ」

「ケッ」

バフに咎められエッツオは伸ばした手を引っ込めたが、薄ら笑いを浮かべたままジマにちょっかいを出そうとまだ隙を狙っていた。


「どっちにしてもリンジーが来なくちゃ」

ジマはエッツオの魔の手から、大事な肉とパンを必死に守りながら話をつなげるが、見た目に反さずにというかエッツオという男はネチっこくしつこい。人の嫌がることをしつこく繰り返し楽しむタイプの人間というのがいるが、エッツオも正にこのタイプなのであろう。

「そう言えば、リンジーのヤツ遅ぇなあ。どうなんだニール?」

「大丈夫だろ、ここに集まる事は伝えてある」

皆のやり取りを離れたところから眺めていたニールがバフの問いかけに答える。


「アイツの情報がなけりゃ、どっちにしても動けねえか」

バフはヤレヤレといった様子で、ブールノイズの街並みを眺める。日が暮れたとはいえまだ宵の口、周囲の通りにも人の気配が残っていた。だがその気配に紛れるように誰かが近づいてくるのをジマは感じていた。

「あっ、リンジー!」


暗闇の中から突如現れた中性的な顔立ちのその人物は開口一番こう告げる。

「アルカラン・プールのほとりに"飛んじまった"エスペランザ兵が現れたらしい。見に行ってみようぜ!」

「何、マジか!?」

少年たちは急いで立ち上がると、リンジーが今現れたばかりのその闇の中へと走り出していた。



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