第4節 腸詰肉
「おう、なんだ。もう行っちまうのか?」
ふてくされた様子のニールがジマと共に立ち去っていく姿をみて、オーズが店から声をかけてくる。ニールはへそを曲げているのか何も答えず、ジマが代わりにまた来るよと返答した。
「ちょっと待ちな!」
そのジュネの声にニールはぴくっと反応したが、感情の揺れを気取られまいとしているのか、冷静を装いながら振り返りもせず、歩くスピードを変えようともせずに立ち去ろうとしている。無視を決め込んだその態度に苛立ちながらジュネはもう一人の同行者に目を向けた。
「待てって言ってんのに!おいジマ、持っていきな」
その言葉に振り返ったジマへ、ジュネが手渡したのは腸詰肉の一束だった。まだ作られてから間がないのかほんのりと温もりの残るその肉の塊は、プリっと今にもはじけそうな弾力をもっていた。
「お~っ、肉だ!」
「仲間たちにも分けてやんな。いいかい、悪さするんじゃないよ?」
「だからジュネは大好きなんだよ!」
「調子いいこと言ってんじゃないよ!」
テヘヘと満面の笑みでそんなことを言うジマに、ジュネはため息をつきながら少年たちの後姿を見送った。
ちなみに腸詰肉、つまりはソーセージです。