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第八話

ー翌日ー


昨日の話通りに、朝からアラン達と森へ出かけた。

特に目当ての物はないが、折角森へ行くのだから必要最低限の採取はさせて貰おうとミネアは昨日と同じように腰に採取用の籠を下げて森へ入っていく。

当てもなく歩いて、途中に咲いてる薬草を摘みミネア達は更に森の奥へ入っていく。

森の緑は増しどんどん草木が深く生い茂って行く。


「アラン、今日は魔物に出会わなそうだぞ。やる事ねーし帰ろうぜ!」


ブランが暇だ。と足で地面を蹴りながら不満をもらしていた。


ーーあれ?ーー


ふとミネアは違和感を覚え辺りを見回した。


そういえば、この辺に来てから小動物を見かけてない気がする。いつもなら木の上には鳥がさえずり、野ウサギなどが地面を跳ねているのに。今はただ、風が吹くたびにサァーっと木々が揺れる音しかしてこない。


「あの、もしかしたら近くに魔物がいるかもしれません。ここに来てからいつもなら聞こえるはずの…」


ミネアが途中からまで話した時


グォーーー!!


一際響く鳴き声が聞こえた。

この声は…サラマンダー??


ミネア達は声の聞こえた方へ向かって行った。草木の隙間から様子を伺いながら覗くと、少し開けた場所にサラマンダーがいる。

前足に獲物を捕らえ捕食中だった。


「おい、あれ!!昨日ジュードをやったサラマンダーじゃないか?!」


アルバートがサラマンダーの顔を指差すので見てみると、その顔には刀で斬られた様な傷がしっかりついていた。


「あぁ、あの傷は俺がつけた奴だな。丁度いい。あの時は逃げられてしまったが今度こそ討伐してやる。」


昨日の仕返しではないが討伐し損なったサラマンダーを騎士団で退治する様だ。


この場合私は蚊帳の外だから、見ていればいいのかしら?


なんて思っていたら大間違いだった。


「さて、ミネア闇魔法みせて貰おうか?」


えっ?!

私がやるの?!


「あのー、この話の流れはジュードの仇打ちで騎士団が討伐する流れぢゃないの??」


思わず本音が出てしまった。


「何言ってるんだ。今日森へ来たのはミネアの闇魔法を見せて貰う為だろ?俺たちが出たら意味ないだろ?」


何言ってるんだ?と言う顔でアランがミネアを見る。


あー、そうですか…偶々出くわした魔物が逃したサラマンダーであってもアランの興味は闇魔法って訳ね。

それならいいですよー。お望み通り見せますよ!!

でも、、、


「すみません。もう少し近づかないとサラマンダーに魔法が届きません。」


「魔法が届かない?スネイカーシャークの時と距離は同じくらいだが?」


「届かないというか…あの、スネイカーシャークよりサラマンダーの方が個体としては強力ですので、一発で仕留めようと思うとなるべく近くで術を発動した方が効果的なんです。」


ミネアはアラン達に答えると、どうやって近づこうかと当たりを見回す。


「それなら、これでどう?」


アルバートが手を前にかざしたかと思うとサラマンダーの近くまで草木の茂みが数個現れた。


「この影に隠れて近づけないか?」


「わぁ、いいですね。これなら何とかなりそうです!」


ミネア達は早速茂みに身を寄せ徐々にサラマンダーへ近づく。

上手くあと一歩の所まで来れた。ここからなら呪術も十分に届く位置である。


ミネアはアランにコクっと首を縦に振り、合図を送りサラマンダーに見つからないように魔法を唱えた。


「滅びよ。滅せよせよ。呪いをおこし彼の者を闇の中へ誘いたまへ。」


サーっとサラマンダーを黒い霧が覆う。

そして、次第に霧は細い線のようになりサラマンダーに巻きついて行く。


「スネイカーシャークの時と同じだな。あの時も黒いもやがかかったと思ったらその後に倒れたんだったな…」


グォーーーっとサラマンダーが苦しげに声を上げ地面に倒れ込んだ。


ふぅ、これで闇魔法を見せることも出来たし今日の目的は達成ね…ってあー!!あれは今度こそ私の七色アザミ!!

2日連続で見つけられるなんてやっぱり私ついてるわ!!サラマンダーも倒れたし、よし取りに行こう!


ミネアはサラマンダーの腕の先あたりに生えている七色アザミに向かって一直線に向かって行った。


「ミネア危ない!!」


声が聞こえたと同時にサラマンダーが最後の力を振り絞り爪を振り下ろしてきた。


やっ、やばい!!


ミネアはギュッと固く目をつぶった。


あ、あれ?痛くない?


恐る恐る目を開けるとそこにはサラマンダーとミネアとの間に岩の壁が出来ており、木の蔓がサラマンダーの腕に絡みついて動きを止めていた。

更によく見るとミネアの周りにも水と風がミネアを守るように渦巻いていたのだ。


これは、騎士団の人達の魔法…


「たっ、助かった…」


「大丈夫か!?ってかお前は何をしているんだ!!もう少し周りをよく見ろよな!!」


「はい、、、すみません。」


確かに仰るとおりです。

いくらサラマンダーが倒れていたとはいえ少し軽率でした。七色アザミ欲しさに欲が…ってあれ?そう言えば七色アザミは?!


ミネアは慌てて顔を上げ七色アザミがあった場所を確認した。

が、既にそこは騎士団方の魔法によって綺麗さっぱり何も生えてなかった。


はぁー、またしても七色アザミを取り損ねたわ…

ミネアはガクッと肩を落とした。

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