第七話
「あの!!アラン様少し離れて下さい!」
「何故?まだ魔女様を観察し終えてないよ?」
「/////」
いやー、もう本当勘弁してよ。
髪の毛をじーっと見たかと思うと腕を掴んでみたり周りを一周されたり…
私は珍獣か!!
それに、、、魔女様…ね。
「あの、その魔女様って辞めてもらえますか?ミネアってちゃんとした名前が有ります!!それに…その呼び方は、あまり好きではなくって…あっ!!珍獣が如く観察するのも辞めてください!!居た堪れないです!!」
「あぁ、すまない。ミネアがあまりにも可愛い反応をするもんだから遂辞めるタイミングを逃してしまったよ」
「もう!からかうのはやめて下さい!!」
クスクスと悪戯っ子の様な笑みを見せてアランが笑っている。
アラン様もこんな風に笑うんだ。
少し以外だったけど…でも、それは今は関係ないわ!!
もぉ、こんなに近くで人に触れられた事なんて無いんだから心臓に悪いわ!
ミネアは笑っているアランを横目にぷくっとほっぺを膨らませて無言の抗議をした。
「はぁ、笑った笑った。悪い悪い。」
「もう!アラン様全然悪いと思ってなさそうですけど!」
ミネアがプイっと横を向くと、アランが椅子に座ったのかドサッと言う音が聞こえた。
「ミネア機嫌を治しておくれ。それと、敬称などは要らない。アランでいい」
まだ少しからかっている様な口調のアランがポンポンとソファーを叩き横へくる様に促す。
行った方が良いのだろうか?
ミネアが考えていると
「ほら、こっち。」
と座る様に促された。
仕方なくミネアは警戒しながらもソファーの隣に腰を下ろした。
「さて、さっきは遂からかってしまったが、ミネアは闇魔法を使うって言ってただろ?闇魔法って具体的にはどんな魔法なのか聞きたくてね。」
「闇魔法ですか…」
「あぁ、俺も文献でした読んだことがなくてね、しかもそう言う魔法があるってだけで詳しくは載ってなかったんだ。」
「そうですか、うーん、何て言ったら良いのか適切な表現かは分かりませんが、先ほどスネイカーシャークを倒した時の魔法は一般的に呪詛と呼ばれていると思います。」
「呪詛か、それなら呪いとして使われているのと同等なものって事か?」
「同等かは分かりませんが、一般的な呪詛は闇魔法を元に皆さんが使える様に考案された物だと思ってます。一般的な呪詛では魔物を呪い殺すことは出来ませんからね。」
ニコっと笑うミネア
「呪い殺すか…中々物騒だな。」
たっ、確かに!言われてみれば聞こえはすっごく物騒だ。
笑う所ぢゃなかったのか!!失敗した、、、
「あっ、でも呪い殺すって言っても人は呪い殺せませんよ!!効くのはあくまで魔物に対してだけで、人には…」
「人には何んだ?」
「えっと、人には…一生寝たきりにさせるくらい…ですかね…。」
いやいや、言ってて思ったけどこれも十分物騒だよ!!
「あっ、でもでも解呪も出来ますので!!闇魔法を元にした呪詛なら全部解呪できますよ!!」
慌てて取り付けた。
「ふっ、何をそんなに慌ててるんだ。闇魔法か、中々面白いな。」
えっ、面白い…?
普通はこんな魔法を知ったら怖がられるし、気味悪がられるものなのに?
あの人達みたいに…
やっぱりアランは少し変わってるのかしら?
「あのー?」
いきなり黙ってしまったアランにミネアはどうしたのかと思い話しかけたが、何かを考えている様で返事はなかった。
話が終わったのかな?と思いミネアは立ち上がろうとしたが、グイッと腕を掴まれてまたソファーに座る形になった。
「わっ、ちょっと何ですか?!」
「なぁ、その闇魔法みせてくれるか?」
えっ?
闇魔法を見せる??初めて人に見せて欲しいなんて言われたけど…
「えっと、人に使わないなら見せても良いですけど…」
「当たり前だ!!人に使うか!!なら明日だな。明日の朝から森に行くぞ!後ジュードが起きるまでしばらく庭を借りるからよろしくな。」
ポンポンっとミネアの頭を軽く叩いてアランはそのまま玄関へと歩いて行った。
「あっ、そうそう、ここにさっきの器置いてあるから。美味しかった、ご馳走様。」
そういってアランは庭へと帰って行った。
うん、今さりげなく頭ポンポンしたよね?
だーかーらー勝手に触ったら駄目なんだってばー!!
ミネアは思い出しまた赤面した。
「もう、何なのよ!あの人は!!
でも…魔法の事で怖がられなかったのはアランが初めてかも…」
ミネアの言葉の最後は消え入りそうな声だった。
その後、ミネアは玄関に置いてある器を取りに行く。
美味しかったって、ご馳走様って言ってくれた。人に食べて貰った事がないから知らなかったけど、こんな暖かい気持ちになるのね、それだけでも彼らを泊めて良かったって思える。
うん、でも今日の私の寝床はどうしよう…