第六話
「彼女が魔女ですか?」
「あぁ、確かマクス街から外れた丘の上に1人で住んでる魔女がいる。って噂を昔聞いた事があるし、魔女だとすれば森でスネイカーシャークを倒した魔法も説明がつくだろ。」
「たっ、確かに…」
リザルドは怪訝そうな目でこちらを伺った。
あーぁ、やっぱりバレちゃったか。
ここまで言われたら隠しておくほうが変か…
「アラン様の言うとおり、私は魔女と呼ばれております。主で使う魔法は闇魔法、スネイカーシャークに使ったのも闇魔法です。」
「闇魔法…道理で見たこともない魔法だった訳だ。主って事は他にも使えるって事だよな?水と土は使ってたがもしかして、他も使えるのか?!」
「はい。生活に困らない程度ですが、火・水・木・土魔法全て使えます。」
「はっ、それは凄いな。魔法省の人間でさえ使えて3つが限度なのに…全てか…」
アランは呆れてるのか興奮してるのかわからない様な態度だったが、リザルドの顔を見ると明らかに複雑ななんとも言えない顔をしていた為、正直に話さなきゃ良かったかな?とも思ったが後でバレても面倒なのでこれで良かったんだろうと言い聞かせた。
「あの、ご飯冷めますので早く食べて下さい。後で片付けにきますので。」
まだ、手のついてないお粥が既に冷めたかは分からないが、このまま話しているとアランがどんどん突っ込んで話を聞いて来そうなのでさっさと逃げることにした。
バタン。と扉を閉めると自分もお昼を食べていない事に気づきテーブルに向かう。
少し冷めたお粥を一口口に含み一呼吸おく。
「やっぱり魔女だって分かった時のリザルド様の顔…気味悪がられたかな。でも、隠しててもここに居たらいつかはバレるかも知れないし、害がないのが分かれば何もして来ないよね…?」
ミネアは小さな声でボソッと不安を声にしていた。
「別に誰も不気味だとは思ってねーよ」
「!!!?」
誰も居ないはずの部屋から声がしてミネアは飛び跳ねた。
振り返るとアランが部屋の中を見回しながら立っていた。
「へぇー、魔女と言っても部屋は普通なんだな。」
「なっ、何勝手に入って来てるんですか?!大体女の子の部屋には入らないって言ってたぢゃないですか!!」
「あぁー、悪い悪い。魔女って分かったら益々興味が湧いて来ちゃって、入らずには居られなかったんだ。」
いやいや、何それ?
まぁ、興味があるものに対し行動が勝るってのは分かるにしても無断で入ってくるのはどうかと思いますけど??
ミネアが不機嫌さを隠さずにいると、ツカツカとアランが近づいてきた。
そしてフワッと髪の毛に触れたかと思うと一纏めにしていた髪留めを外し髪に触れて来た。
「ちょっ、ちょっと!何やってるんですか?!」
「駄目か?お前が本当に魔女なのか知りたくてな。」
いやいや、駄目でしょー!ってか駄目です!!魔女かどうか知りたい??そんな事は知りません!!それより、何より、いきなり女の子の髪の毛になんか触ったらアウトです!!
人に耐性のないミネアは真っ赤になり、それはもう盛大なパニックを起こしていた。