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寮案内!

「えっと、じゃあ、オレはリオと同じ部屋でこれから一緒に住むってことか?」

 色々と内容を噛み砕いて、恐る恐るリオに尋ねる。すると、リオは思いきり顔を顰めた。

「そうだけど…いきなり呼び捨てとか、馴れ馴れしくしないでくんない?別に友達でも何でもないんだけど」

 ゆったりとした喋り方なのに、その口調には明確な敵意が込めてあり、ドスも効いている。眼差しにも明らかな敵意が込めてあるので、ウッと尻込みしてしまう。

 そんなに嫌われることはしてない筈だが…。

 あーそう言えば、一人部屋だったのが、二人部屋になったのが嫌とか何とか言ってた気がする。

 …いや、オレの所為じゃなくね!?

 いきなり呼び捨てで呼んだのは失礼だったと反省するが、部屋割りは断じてオレの所為じゃない。

 あまりの理不尽さに言い返す気も起きないオレの横で、ヒナタは「アハハ」と軽く笑っている。ウヅキとララたんは苦笑い、目の前のリオ…君?の前の席に座っているセナは興味なさそうにしている。

 …何、この面倒くさい空気…。

「あ!そうだ!今日は午前の授業で終わりだから、終わったら寮の案内してあげる!」

 何とも気まずい雰囲気の中で、勇敢にもヒナタが声を上げた。ヒナタの場合は軽率と言っても過言ではないが、ある意味『天の助け』だ。

 それに乗っかり、オレは「おう、ありがとな」と笑顔を返すと、自分の席に座った。それに倣って、セナも自分の席に戻り、ヒナタ達もそれぞれの席に座る。


「はぁ〜、広いなぁ…」

 あの後、本日の最後の授業である『貴族』の授業という、有名な貴族(主に御三家)や重要な役割を担っている貴族のことを学ぶ堅苦しい授業が終わり、ヒナタ達に連れられ寮に来てみれば、豪邸のような造りに唖然とする。

 だが、見た目は確かに豪華で大きいが、よく見ると木製らしい。外見は白で統一されているが、中は落ち着きのある茶色だ。

 アットホームな感じに少し和む。

「そう?まあ、ここの寮は中等部と高等部が使っているから、120人くらいはいるからねー。結構広いとは思うよ!」

 中を案内しながら、ヒナタが口を開いた。

 この寮は南に向いて建っており、西棟、東棟、中央に北棟と別れ、それぞれの棟は渡り廊下で繋がっている。

 ウヅキが言うには、東棟が高等部の部屋、西棟にオレ達中等部の部屋、北棟は共同スペースである食堂や大浴場があるらしい。それぞれの棟は一階から三階まであり、一階に一年、二階に二年、三階に三年の部屋となっている。学年で階を分けているのは、学校の構図と同じだ。北棟の方は、一階が食堂、二階が大浴場、三階が憩いの場となっているらしい。北棟の前には、大きな中庭もある。

 それらを順々に見て回り、次はオレ達の部屋がある西棟三階だ。

 廊下には一メートル間隔くらいで、アンティーク調のウォールランプが取り付けてあり、十二メートル間隔くらいで扉が並んでいた。

「う〜ん…部屋の案内だったら、俺達よりリッちゃんの方が良いよね」

「まあ、そうだけど。リッチャン君がサキ君を案内するとは…」

 ヒナタが三階の廊下に差し掛かると、ボソッと呟いた。それにウヅキが応える。

 まあ、ヒナタの言うことも最もだ。だが、リオ君がそんなことをしてくれるとは思えない。

「まあ、いっか!じゃあ、サッキーの部屋だけ教えてあげる!…ここだよ!」

 自己解決すると、ヒナタはパッと笑顔になり、オレの部屋なのであろう扉の前まで走った。

 扉は廊下の両側に六つずつ取り付けられており、オレの部屋は向かって左側の奥から二番目の部屋らしい。

「へぇー、ヒナタ達は何処なんだ?」

「俺はサッキーのお向かいさんだよ!えっとねぇ、リッちゃんやセナなんと同じ騎士団に所属してる隣のクラス…B組の子と一緒!」

 そう言って、今度はオレの部屋の向かいの扉まで走る。それに続けて「僕達はサキさんの部屋の二つ手前の部屋です」とララたんが言った。僕達ということは、どうやらウヅキとララたんは同室らしい。「へぇ」と頷いたところで、ふと思い出した。

 …あ、騎士団のこと忘れてた…。

「あー…ヤバい。騎士団のこと忘れてた。マジでどうしよう」

 つい頭を抱えて、そう漏らしてしまうと「そうそう」と思い出したかのようにヒナタが口を開いた。

「ちょうど一週間後に、総当たり戦があるんだよね。学園の全ての騎士団参加で、参加しなかったり、結果が良くなかったりしたら成績が下がるってやつ!結構重要イベントだから、早めに決めた方が良いよ!」

「へぇ、そんなのがあるんだな」

 騎士団同士の総当たり戦なんて、それこそ騎士団の学校らしい。

 だが確かにそれは、早いところ所属するところを決めた方が良さそうだ。

「『conflict(コンフリクト)』って言ってね。ポイント制で、一番取得したポイントが多い騎士団が優勝。どれだけ戦っても良いけど、負ければポイントを失うから、退き際も見極めないといけないんだよね」

 ヒナタの説明に付け足すようにウヅキが言った。

 なるほど。つまりは、騎士団同士が戦い、勝った方が相手のポイントの幾らかを貰え、負ければ相手にポイントを捕られる。負けるのにビビって戦いを挑まなければ、所得ポイントが無しで、成績が下がる。だが負けても成績が下がる。

 かなりハードなルールだ。要は「強くない奴は用無し」ということを暗に伝えている。

「…弱肉強食だな」

「ハハッ!まあね。でも、勝てば良いだけだから、わかりやすい」

 ヒナタが呆気らかんと笑う。その横で、ララたんとウヅキも頷いた。

 …負けるつもりは無い、か…。

 当たり前のことだ。

 どんなことでも、負けるつもりで挑戦する奴はいない。

 …オレも頑張らないとな。

 強く拳を握って、そう思った。


遅くなってしまい、本当に申し訳ございませんでした!!!

そして、読んでくださりありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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