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モテる男(女)は辛い

「はぁぁぁああ…」

「何で今日の主役が溜め息()いてんの?」

 学年トーナメント戦が終わって、現在午後七時。まだまだ眠るには早い時間だが、オレは既に疲労困憊だった。

 エラからフォスキア騎士団に誘われた後、それから十の騎士団に誘われた。こんなに誘われると思ってなかったオレは、結局誘ってくれた全ての騎士団への返事を保留にしてしまった。ヒナタ達は「じっくり悩んで、サッキーが一番入りたいところに入れば良い」と言ってくれたが、何だか申し訳ない気持ちになる。

 スカウトが沢山きて、何処の騎士団に入れば良いか悩んでいますなんて、贅沢な悩みだろうが、どうすればいいのか正直わからなくてお手上げ状態だ。

 そして、先程の大きな溜め息である。

 そんなオレの様子にリオは呆れた声をかけた。

 …せめて心配そうな声を送ってくれ。

 心の中で呟くが、オレの声が届く筈もないので、オレは机に突っ伏していた顔を上げて、リオの方へと振り返る。

 …もういっそのこと、リオに相談しよう。

「いや、どの騎士団に入れば良いのかわからなくて…」

 右手で後頭部を掻きながら苦笑すると、リオは「ああ」と声を上げた。

 どうやら今ので納得してくれたらしい。

「まあほら、俺に勝ったんだから引っ張りだこになるのは当然だよねぇ。で、何がわかんないの?あんたが入りたいところに入れば良いじゃん」

「うっ…」

 正論だが、痛いところを突かれて堪らず俯く。

 入りたいところがわからないから困っているんだ。

 確かにヒナタ達の気持ちに応えたいという思いもあるが、当然これはお友達ごっこじゃない。

 自分の将来のことを考えて決めないとダメだ。

 まして、オレの目標は学校をトップの成績で卒業して、王族直属騎士になることなのだから。

「いやぁ、そうなんだけどな…」

 はっきりしない返事をすると、リオは興味がないと言わんばかりに、もうベッドに入った。

 …えっ、放置!?

 まだまだリオとの心の距離は遠いという切ない情報を得たところで、オレはベッドに寝転んだ。

 …はぁ、どうするかなぁ…。


 そんな苦悩の日々もあっという間に過ぎていき、明日は到頭『conflict(コンフリクト)』開催日になってしまった。

 つまりどの騎士団に入るか、入隊届の締め切り一日前。

 …結局、決めれなかった…!

 流石にこれはまずすぎる。

 いくら何でも今日中には、誘ってくれた人達に返事をしなくてはいけない。それなのに、まだ入るところを決めきれない優柔不断な自分。

「はぁ…」

 自分自身に呆れて、教室前の廊下の窓枠に腕を乗っけたまま、思わず溜め息を溢す。

「何かあったの?」

「!セナ!」

 声をかけられて、振り返るとオレの後ろにセナが立っていた。

 リオとは中々距離が縮まらないが、この一週間でセナとは大分仲良くなれた気がする。元々、セナは面倒見の良い奴なのだ。

「いや、未だに騎士団を決められなくて…」

「はぁあ!?締め切り明日でしょ?というか、明日『conflict』なんだけど!?そんなんで、大丈夫なわけ!?」

 悩みの種を告げると、セナは信じられないと言ったように捲し立てた。

 セナの言葉がグサグサと心に刺さる。

 オレのHPが底つきそうになるが、まあ事実なので仕方ない。

 というか、本当に今すぐにでも判断しなくてはいけない。

 …とは言ってもなぁ…あれ?そういえば、エラには誘われたけど、リオやセナからは誘われてないよな?

「そういえばさ、セナやリオはオレのこと勧誘しないよなぁ。まあ、お陰で心は楽だけど」

「は?」

 オレが苦笑いを浮かべながら言うと、セナから何やら怪しげな反応が返ってきた。

 セナの表情かおは、何言ってんのとでも言いたげな感じだ。

 …え?何その反応…まさか…。

「…えっと…エラからフォスキア騎士団に誘われてんだけど…知らね?」

「…」

 オレがエラのことを打ち明けると、セナから表情が消えた。何を考えているかはわからないが、何だか怖い。

 それよりも問題は、何とエラはセナ達に勧誘のことを話していなかったのだ。

 いや、何で話してないの!?

 オレが心の中で慌てふためいていると、セナの方から明確な怒気が伝わってきた。

「…セナ?」

「…悪いんだけどさ、その話無かったことにして」

「え?」

 オレが聞き返すと、セナは冷たい眼でオレを見つめた。

「フォスキア騎士団勧誘の話、無かったことにして。俺達に…『joker』は要らないから」


読んで頂きありがとうございました!

そして、誠に申し訳ございませんでしたぁああああ!!!!!!

大変更新が遅れてしまい、本当にすみません!!

こんな風に、マイペースな更新になってしまいますが、どうかこれからも楽しみにしていて下さい。

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