リオvsセナ
無事一回戦を突破したオレは、何とか二回戦も勝つことができた。
オレ達中等部三学年は、全員で二十一人しかいない。なので、二回戦まではシード権が発生する。
驚いたことに、そのシード権を勝ち取っているのは前回優勝者のリオだった。
普段、あんなにやる気のないリオが、学年最強だなんて、とてもじゃないが信じられない…が、ヒナタ達が言うには、強すぎてレベルが違うらしい。
…そんなに、強そうに見えねえけどなぁ…。
まあそんなこんなで、三回戦まで勝ち上がってきたのは、オレ、リオ、セナ、ヒナタ、エラ、そして B組のドレッタ・アンフュートという優男っぽい奴の六人だ。
三回戦の試合順は…
第一試合エラ対ヒナタ
第二試合オレ対ドレッタ
第三試合リオ対セナ
という感じになった。
…そして、オレは三回戦も勝ち進んで、今はこれから始まる第三試合リオ対セナの試合に意識を向けていた。
リング上に上がる二人。リオは楽しそうにしているが、セナは真剣な表情を浮かべていた。
「…三回戦で当たるなんて、ちょっと不本意だね。どうせなら、決勝戦で当たりたかったよね、セッちゃん」
「どのタイミングで闘っても一緒でしょ?今日こそ、勝つから」
試合開始前から、既に、二人は火花を散らしている。
…というか、二人とも決勝戦まで勝つこと決定だったのか…。
流石というか何というか、とにかく余裕なのはわかった。
だが、セナにしたら今の状況は余裕じゃない。何せ、今目の前にいるのは、学年最強の男なのだから。
「…それじゃあ、三回戦第三試合…始め!」
ニト先生の合図で、二人は同時に飛び出した…。
二人の試合は本当に凄まじかった。
二人共、スピードがだんだん上がっていき、なかなか技が当たらない。当たったとしても、全て剣で受け止められる為、勝敗がつかない。
だが、リオの方が笑顔であるのに比べて、セナは少し顔を歪ませている。
リオの方が余裕なのがわかる。
リオの余裕の表情を見て、セナは舌打ちをした。
「…いやぁ、やっぱりセッちゃんと闘うのは楽しいね。俺が本気を出せる数少ない一人だし…」
「本気?それのどこが、本気な訳?喧嘩売ってんの!?」
激しい戦闘をしながら、普通に会話する二人。
…どっちもヤバいな…。
二人の試合を傍観しながら、オレは呆然とする。
しかし、やはり優勢なのはリオの方だ。
リオは舌で唇を舐めると、纏う雰囲気を変えた。
「!…ッ!」
リオの目にも止まらぬ早技が、セナの頬を切っていた。頬からは、一筋の血が流れた。
「本気だよ、セッちゃん!じゃあ、今回はこれで終わりにしようかなぁ」
「良いよ。これで、終わりね」
そう言うと、二人は少し距離を置いて、互いに構えた。
そして、同時にリングを蹴った…。