『学年最強』
「スッゴーイ!!あの、ソラっちに勝っちゃうなんて!」
「本当に凄いです!」
「お疲れ様!」
「おお。ありがとな」
リングから降りると、ヒナタ達に一気に囲まれた。
かけられる賛辞の言葉に、握り拳を見せて応える。
それにしても、初戦から疲れた。
本当にソラは強かった。
…次も頑張らないとな。
「…へぇ…ソッちゃんに勝っちゃうなんて、なかなかやるね、特待生。ねぇ、セッちゃん?」
周りから少し離れた木陰で、二人の試合を見ていた俺のところに、リオ君が寄ってきた。その表情はニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべている。
「…まあね。というか、何の用?」
その表情にムカッときて、横目でリオ君を睨む。だが、リオ君は全く気にせず、俺の隣に腰掛けた。
「いや?なんか、特待生、セッちゃんと似てたなぁって…」
「!どこがぁ?」
さすがに、それは不服だ。
確かにサキはまあまあ強いが、闘い方は俺と違うし、まず一緒にして欲しくない。
それでも、リオ君は笑ったままだ。けれど、その表情は、先程の人を馬鹿にするような表情じゃなくて、優しい表情だ。
「んー…努力で才能をカバーしているところ」
「…そうだとしても、一緒にしないで欲しいんだけど?」
リオ君は典型的な天才型だ。トゥラスト家の血筋の為か、偶々かは知らないが、圧倒的な才能がある。そして、それを驕らない程の努力もしている。
それに比べて俺は、目を引く才能は何もなかった。ただ、努力だけで実力を高めていった。しかし、才能がないからと言って、才能がある連中に負けるかと言われればそうではない。
才能なんて、いくらでも努力で補える。
俺のスタンスは、当然リオ君も知っている。
リオ君の方をチラッと見ると、目が合った。すると、リオ君はニコッと微笑んだ。
…何考えてんの?こいつ…。
「さあて、今日はどっちが勝つかな?勝負だね、セッちゃん」
「はいはい。油断して、負けないでよね?」
「俺が負ける訳ないでしょ?」
そう言うと、リオ君はスッと立ち上がって、不敵な笑みを浮かべて、こちらを見た。
まあ、リオ君が負ける可能性なんて万が一にも有り得ないことは、俺が一番よく知っている。
そこが、ムカつくところなのだが…。
…ほんっとムカつくよね。学年最強くんは…。
読んで下さり、ありがとうございます!!
遅くなってしまい、すみませんでした!
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