学年最強は誰!?トーナメント戦開始!
現在時刻八時五十九分。後、一分で一時間目の授業、すなわち学年最強を決めるトーナメント戦が始まる。
もう既に、リングのある、校舎からしばらく進んだ草原には、三年生全員が集まっていた。
朝の登校で無事、学校に辿り着くと、まさかの一時間目から剣術の授業で驚いた。しかも、午前の授業は、丸々トーナメントに使うらしく、学校に着くなり、すぐに体操服に着替えさせられた。
まるで、ミニ運動会みたいだ。
そして今。始業開始の鐘が鳴った。
「…ん。じゃあ、トーナメント戦始めるか…。いつも通り、順番と試合相手はくじ引きで勝手に決めといたから…」
オレの世界でいう体育(全然違うが)みたいな剣術や体術の授業の教科担任は、オレ達のクラス担任であるニト先生らしい。
ニト先生は怠そうにそう言うと、B4サイズの紙に羽ペンで何か書き出した。恐らく、トーナメントの順番を書いているのだろう。
「…よぉし。じゃあ、まず第一回戦初戦は…
A組ソラ・プラネットVS同じくA組サキ・フルーテ!」
「「!」」
覇気のない声なのが残念だが、その言葉に、周りに居た全員の雰囲気が張り詰めた。
「うわぁ、よりによって、ソラっちと試合なんて…」
いきなりオレの出番であることに驚いていると、オレの隣に立っているヒナタが呟いた。
すると、その隣に立っているララたんも頷いた。
「ソラさんとリクさんって、闘い辛いですよね。何て言うんだろう?自由奔放?」
「武器はモーニングスターだし、体術にも秀でてるから、予測不能な攻撃仕掛けてくるし…」
と、ウヅキまでもが同調する。
…いやいや、不安になるんですけど。というか、モーニングスターって…。
そんな武器もあるのか。
こちらは、あまり使い慣れていないレイピア。
全くもってフェアじゃない。
「えぇ、そんなに強いのか、ソラって。意外だなぁ」
「まあ、頑張って来てよ!サッキー!応援してるから!」
オレが弱気になっていると、ヒナタが笑顔で勇気づけてくれる。
少しだけ、心が軽くなった。
体術なら、オレだって空手の全国大会で優勝するくらいには自信があるし、一応特待生だ。
…よし!
オレは「おう」とヒナタ達に握り拳を見せると、リングに上った。
「やっほー!特待生さん!最初に、特待生さんと試合だなんてラッキー!よろしくね!」
リングにはもう、ソラが先に上がっていた。
ソラはオレを見ると、楽しそうに笑った。
「ああ、よろしくな」
オレもソラに笑顔を見せる。
「…では、試合…始め!」
先生の合図で試合が始まった。