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AIバイクも、現実から逃げたといえば、逃げた。
今まさに、トップスピードで走りたい主を乗せた、モノ申すバイクは、きっぱり言った。
「主よ、すぐに、私から降りてください。降りたら、順を追って、その理由を話します。」
そう言われ戸惑う男だったが、
「なんだよ、急に…。」と言いつつも、そのようにすると、
バイクは、次に、こう言った。
「今から、私の自動運転のみで、小旅行に出掛けましょう。あの棚に、時々、アナタが、自分の運転のみで、そうするためのセットが詰めてあるリックが、ありますよね?」
確かに、車庫の棚には、それがあり、彼は色々、バイクに言うのだが結局、30分後、彼は一人住まいの自宅を戸締まりすると、バイクの言われるままとなり、自宅を出発するのだった。
そして、瞬く間に、三日間が経過して、
彼は無事故無違反で自宅に戻ってきた。