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イキツイタアト
とある世界で、意思を持ったバイクが誰も乗せずに、走っていた。
無意味に走っているようで、決して、そうではない。
バイクは、「自分自身」を探していた。
今いる自分の世界に、自分と全く同じ存在が、あるのか、どうか?をくまなくチェックしていた。
完全なるAI回路における思考のもと、それが済まされ、このバイクは、同じ時代には、同じ自分がいない……今までの経過を経て、ここにいる自分は、ただ一体、自分のみなことを確信した。
バイクは、とあるタウンに入り、その中の一軒屋の車庫に入った。
その時、足跡が聞こえ、口をモグモグさせながら黒基調の上下のライダースーツを纏った男性が、オーバーフェイスのヘルメットを片手に、車庫の電気をつけて入ってきた。
口の中のものを飲み込み、
「相棒、一発で、決めるぞ!」と述べ、
ヘルメットを被り、今、まさにバイクに股がった、その男は紛れもなく、そのバイクの主だった。